2013年から再び本格的に歌手活動を開始!
その後、松田聖子とデェットをしたシングル『真夏の夜の夢』(2008年)、2013年の『She is my new town/I just want to hold you』(2013年)といった松田聖子による作詞作曲で二つのシングルを発表するものの、この二つのシングルの間はTHE ポッシボー with 音の素(藤井隆&椿鬼奴)のよる『やべ~なべ~な 圧力ベ~ナ~』(2010年)以外は目立った歌手としての活動はありません。その後の藤井隆の方向性を予見する上で節目と考えられるのは、Small Boysの「Selfish Girl feat. 藤井隆」(2013年)とtofubeatsの「ディスコの神様 feat. 藤井隆」(2014年) のフィーチャリング参加です。また、2014年のDead or Alive的なネーミングのトリオ、Like a Record round! round! round!(藤井隆、レイザーラモンRG、椿鬼奴)による名曲「ナウ・ロマンティック」(TOWA TEIがプロデュースしたKOJI1200)のカヴァーも忘れてはいけません。なお、この作品は、藤井隆自らが立ち上げたSLENDERIE RECORDからの第1弾となりました。
そんな中、満を持してリリースされたのが、5作目のアルバム『Coffee Bar Cowboy』(2015年)です。藤井隆自身が多くの作詞・作曲を手掛けつつ、西寺郷太(NONA REEVES)と冨田謙を共同プロデューサーに迎えました。ポップスとしての良質性を失うことなく、藤井隆を自らのラジオ番組「ウィークエンド・シャッフル」で絶賛した宇多丸(RHYMESTER)、藤井隆の伴侶である乙葉、作詞家としても協力してきたYOUをゲストにダンスナンバーに仕上げた作品となっています。
Coffee Bar Cowboy (amazon.co.jp)
ちなみに藤井隆が乙葉と結婚したのは、2005年。藤井隆が『ロミオ道行』を発表した2002年に乙葉はOtoha名義で『OtohaCD Volume1』と『OtohaCD Volume2』の2枚のアルバムを出しており、斉藤由貴のカヴァーを2曲しています。一つは、奇遇だと思いますが、松本隆&筒美京平・作の「卒業」、もう一つは銀色夏生・作の「かなしいことり」です。歌唱力が際立つ人ではありませんが、彼女のピュア度を生かす上で、斉藤由貴を選んだのは正解です。
OtohaCD Volume1 (amazon.co.jp)
最新作では“90年代CM音楽”の世界観を披露
藤井隆に戻りましょう。2015年には自らの代表作を集めた『ザ・ベスト・オブ藤井隆 AUDIO VISUAL』、2016年にDJミックス・アルバム『DJ MIX "Delicacy" mixed by DJ DC BRAND’S』、2017年にはリミックス・アルバム『RE:WIND』、そして6作目のオリジナル・アルバムとして『light showers』をリリースしました。最新作は前作から引き続き冨田謙。藤井隆も冨田塾の塾生と自認をしており、ここで繰り広げられるのは“90年代CM音楽”の世界観です。細かい説明をするよりも、プロモーションのためだけに作ったとは思えない異常に高いクオリティーのビデオを観てください。素晴らしいの一言です。
light showers (amazon.co.jp)
最後にお子様(多分、読んでいないと思うけど)そしてお子様がいるママ・パパのために「エチケットマン」(2017年)をご紹介します。これは教育番組「しまじろうのわお!」からの楽曲で、DE DE MOUSEが手掛けた教育的エレクトロ童謡。同番組ではPUFFY=石野卓球という異色の組み合わせによる「トモダチのわお!」(2012年)もあり、藤井隆だけでなく、しまじろうも侮れないのです。