「叱らない育児」は学んで実践しないとその後が大変に!
叱らない子育ては魅力的、だけど……。
でも、「叱らない子育て」は、我流でやってしまうとほぼ失敗してしまいます。なぜ自己流だと上手くいかないのか、子育て心理学で解説していきます。
自己流「叱らない子育て」よくあるパターン
世の中には数々の子育てメソッドがあります。「〇〇メソッド」「〇〇式」。ネーミングからイメージが湧きやすいものとそうでないものがありますが、「叱らない子育て」は、ママにとってイメージしやすいメソッドのようです。それもあり、自己流に流れやすい傾向があります。これまでに、公園などで、こんな場面に遭遇したことはないでしょうか? たとえば、
- お友達を叩いた
- 順番を守らず、横入りした
- 勝手に砂場道具を借りた
- 他の子が作ったお砂のケーキを壊した
「えっ!? 何も言わない? 注意しない?」
自己流だと、ただ目を瞑るタイプの「叱らない子育て」になってしまうことがあります。「叱らない=のびのびと自由に育てること」という印象があるようです。
自己流だと失敗しやすい理由
私は、子供を強く叱ることの弊害をこれまでも数多く伝えてきており、考案したポジティブ育児メソッドの中でも、叱らない子育てを推奨しています。しかし、それでも、”自己流”はおすすめできません。叱らない子育ては、きちんと心のからくりを知った上で実践しないと、結果的に、数年後に収拾がつかなくなり、強く叱る方に転換する確率が高いからです。ママも大変、子供もかわいそうという状況に陥ってしまうのです。なぜ失敗するのか、その一番の理由は、子供にルールを示せていないからです。教えてもらっていない以上、その子はルールに従うのは難しいもの。お友達遊びがスタートする1歳半過ぎあたりから、少しずつ必要になってきくる社会的なルール。それにも関わらず、ただただ「何も言わない」で過ごしてしまうと、その子は、知っておかなくてはいけない社会のルールを学ぶチャンスを逸してしまいます。
社会の一員として、私たちは社会のルールを学ぶ必要があります。そして、子供たちに教えていく責任があるのです。
ママは「審判」ではなく「応援者」
子供にルールを伝えるには、強い力も必要だと思っている人は多いと思います。しかし、怒鳴りつけたり、罰を与えたりと強い力をかけてしまうと、ルールは覚えるかもしれませんが、罰による悪影響も免れません。つまり、ただ叱らないのは全然ダメ、叱り過ぎるのもダメ。では、子供にどのようにルールを教えていくのが望ましいのでしょうか?
親が子供の行動を見るとき、つい「ルールを破った瞬間」に敏感に反応してしまいがちです。サッカーでたとえるなら、約束で決めたラインを超えた瞬間に、「だめって言ったでしょ~!」とイエローカードを出す、そんな感じです。親は「審判役」になってしまうのです。でも、ルールを設定した一番の目的は、その約束を守らせることであり、破った瞬間を告知することではありません。
多くの人がスルーしてしまっているのが、子供がルールを守って約束通りできている間の時間です。サッカー観戦をしていれば、ルール内で善戦しているとき、「イケ~ッ!」「その調子!」と応援します。それと同様に、「ルールを守っているときに子供をねぎらう」という形で、ルールを子供に教える選択肢があるのです。親がルール違反をチェックする「審判」にならずに、善戦を後押しする「応援者」になれると、叱らない形のままルールを教えることができます。
たとえば公園に遊びに出かけたとき、着いていきなりケンカを始める子はいないでしょう。ケンカというのは、だいたい友達同士で仲良く遊んでいたのに、途中でいざこざが起き、ケンカになるケースがほとんどです。到着早々というのは、たいがい「上手く遊んでいる状態」なのです。それを「上手に遊んでいるね」「かわりばんこができているよ」と声をかけることで、「叱らずにルールを教えること」もできるのです。
真の叱らない子育てはママの観察眼があってこそ成り立つ
ママが教えたいルールは「友達と仲良くすること」であり、別に「叩いてはいけない」「意地悪はしてはいけない」「勝手に取ってはいけない」である必要はありません。約束を破ってからだと、どうしても語調が強まりがちなので、子供が仲良く遊んでいるとき、機嫌がいいとき、ポジティブ感情に包まれているときを見逃さず、「その調子!」「いいねいいね」と声をかけると、ルール内にとどまろうとする心理が働きやすくなります。叱らない子育ては、子供のやることを傍観するだけの楽ちん子育てではありません。子供が、ルールの中で遊んだり行動したりすることを積極的に促す、ママの観察眼があってのメソッドなのです。
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