自分の老後を見える化する作業をしてみよう!
お金があるのに老後に不安を感じるのは、不安の「正体」がわからないからでしょう。その正体は、老後にいくら貯蓄があれば大丈夫かわからないことでは? 確かに、何歳までどんな風に生きて、どんな死に方をするかは神のみぞ知ることなので、人生の終焉を迎えるまでに必要な金額は正確にはわかりません。最近は、余命がどんどん延び、それに伴って老後資金として必要な金額は増えているのは確かです。お金のある人こそ、金融リテラシーは高いので、漠然と不安を感じるのでしょう。そんな人には、一般論ではなく、自分の老後を「見える化」する作業をしてみることをおススメします。
まず、今のペースで、60歳か65歳までに準備できる老後資金を計算してみます。例えば、現在の貯蓄額が2000万円で、積み立てられるお金が500万円、退職金が1500万円、貯蓄性のある保険の満期保険金や解約返戻金が300万円だとしたら、4300万円の老後資金を作れることになります。
次に、想像力を働かせて、老後の最低限の生活費(支出)を紙に書き出すなどで把握します。老後は、住宅ローンや各種保険の保険料、子どもにかかっているお金など現役時代に発生していた支出がなくなる一方、健康維持や持病の通院にかかる医療費など新たな支出が発生します。これらを足し引きし、つつましく暮らした際の最低限の生活費を推計します。
65歳以降の収支をざっくり計算すると、老後資金がいつまでもつか見えてくる
さらに、65歳以降の収入(公的年金、働いて得る収入)の見込み額を推計してみます。公的年金は、ねんきん定期便やねんきんネットで調べられます。働いて得る収入は、現状では65歳以降にどんな働き方をしているかわからないと思いますので、月10万円や15万円などの希望額でOKです。何歳まで働くかも、想定してください。人生100年時代に突入していることを考えると、男女とも、80歳から85歳まで、あるいは生涯現役で働くことを想定した方がいいでしょう。そして、65歳以降の収入と最低限の生活費を見比べてみます。働いている間はトントンかプラスでしょうから老後資金を温存できます。働くのをやめた後はマイナスになるでしょうから、公的年金で足りない生活費は老後資金を取り崩しで補うことになります。何年くらいもつかを計算してみましょう。
このザックリ計算には、ちょっと贅沢するためのお金、入院したときの医療費や介護費用、マイホームのリフォーム費用などの臨時的な支出は入っていませんが、これらを支出したとしても、老後資金はけっこうもつことがわかって不安が解消されませんか? つまり、簡単な老後資金プランを作って、老後を見てみるということです。
逆に、もちそうもないとわかったら、何をすべきか、何をしない方がいいかも見えてきます。例えば、働くのは70歳までと考えていたがもう少し長く働いた方がいい、住宅ローンは65歳までに完済していないと後が苦しい、リフォームは最小限にとどめた方がいい、贅沢のレベルを少し落とさないといけないなどです。
多少、ピンボケでも老後の生活が見えれば、そんなに不安を感じないでもすむはずです。
こうした計算を手計算で行うのは面倒なので、無料で使えるライフプランソフトでシミュレーションしてみてもいいでしょう。
※All About生命保険ガイド・小川千尋さんの記事を編集部が最新情報に加筆
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