2017年はブルゾンちえみで始まった!
2017年はお笑い、バラエティーにとって、どんな1年だったんでしょうか? 先ごろ発表された「流行語大賞」を見渡しても、芸能関係の用語が少なく、前年の「ゲス不倫」「PPAP」などと比べると、いまひとつ盛り上がりに欠けた感がありました。その中でも唯一トップテンに選出されたのが、ブルゾンちえみwith Bの「35億」。これまで言われてきたジンクスに、「上半期に流行ったお笑い系のギャグは、年末まで持たない」というのがありました。しかし、あのネタが初オンエアされたのは、17年に切り替わった直後の特番「ぐるナイ!おもしろ荘」であり、まる一年間持ったのはもう少し高評価されても良いかもしれません。
一年を乗り切った自信で、ブルゾンもwith B(正しくはブリリアン)も、来年以降何とかやって行けるんじゃないでしょうか。ただ、このユニットの新ネタを見ることは難しいかも。紅白歌合戦でのパフォーマンスを花道に、発展的解消を遂げていく予感がしてなりません。
R-1王者のアキラ100% 裸芸は60歳までやる!?
じゃあ、来年以降も今の芸風で突っ走るヤツはいるかというと、やっぱりアキラ100%でしょうか。ある健康診断の番組で「このままだと60代に入って突然死の可能性がある」と宣告されてましたが、それまでずっと裸芸を続けてる前提なのかと、衝撃を受けました(笑)。お盆一枚でピン芸人の王者に立ったアキラ100%(画像はAmazonより:http://amzn.asia/10xnWcL)
「R-1ぐらんぷり2017」で優勝して一躍認知度を高めましたが、それ以前から数ある裸芸人の中でも注目を集めていた存在であり、安易と思われがちな芸にもかかわらず、ストイックさが透けて見えるキャラクターは、60代はともかくとして長く演じて行くべきだし、そのためにもできるだけ体型を維持してもらいたいものです。
様々な収穫のあった賞レース
賞レース繋がりだと、10月の「キング・オブ・コント」で優勝したかまいたちと準優勝のにゃんこスターは、記憶に新しいところです。今のところは、話題性でにゃんこスターがリードしてますが、将来的には実績のあるかまいたちが安定した人気を持続させていくでしょう。問題になるのは、すでに関西で忙しくしている2人が、そっちをセーブして東京に軸足を置くことができるのか? ここは当人たちの腹の括り方次第でしょうね。一方のにゃんこスターの場合は、典型的な一発屋と見る向きが多いようです。確かに今のバラエティー界の中では、前に出て行くタイプではない彼らは、埋没してしまいがちなキャラクターかもしれません。しかし、コンビ間で堂々と交際宣言するなど、これまでの芸人とは違った展開を見せ、そこに世間の関心も集まっているだけに、彼らのような新しいタイプを生かせるプログラムの誕生が望まれているのではないでしょうか
今後への期待が膨らむ結果となったM-1グランプリ
ここまで、あまりポジティブなことを書けなかった2017年のお笑い界チェックですが、年末に開催された「M-1グランプリ」は、今後への期待がふくらむ充実した大会でした。優勝したとろサーモンだけでなく、準優勝の和牛、惜しくも決勝進出はならなかったものの審査員の松本人志が最高点を付けたジャルジャルなど、これからのお笑い・バラエティーの世界で活躍できる逸材が勢ぞろいしていました。その中で、個人的に今後の飛躍を熱望しているのが、意外かもしれませんが、惜しくも最下位に終わったマヂカルラブリーです。すでにM-1名物になってしまった上沼恵美子審査員からの激辛コメントで、大会に爪跡というかコンビ自身に傷跡を残してしまった彼らですが、昔からのファンの1人として言わせてもらえば、大いに笑かしてもらったものの、上岡さんの評価もうなづけなくはないというところです。
なぜなら、一度も見たことのない演者が漫才という枠の中で、あの支離滅裂なネタを延々と続けたならば、面食らう人が続出するのは当然中の当然。あのスタイルで大受けを取ろうとするには、まず演じているのがどんな人なのか見る側が承知している事こそが、少なくても現在の日本では重要になってきます。
今回のM-1では、ダークホースという扱いさえもされなかった彼らですが、来年の大会に参加できるとすれば、その時に世間の目は「あのマヂカルラブリー」という見方をしてくれる筈。そうなれば「野田ミュージカル」以上にぶっ飛んだネタであっても、お客さんを引き込めるでしょう。そこで上沼さんを笑わせられれば、まさに「恩返し」を果たす事にもなりますし。
2大長寿番組の終了……あえてポジティブに考えると
最後に、芸人個々を離れて今年のテレビ界全体を振り返ると、長らくバラエティーの世界に君臨していた「とんねるずのみなさんのおかげでした」と「めちゃ×2イケてるッ!」の2本が、終了を発表したのは、間違いなく世間を揺るがせるニュースの一つでしょう。これをネガティブに捉えることは簡単ですが、バラエティーに地殻変動を起こすための布石と見れば、来年以降もテレビを注視していくべきでしょう。様々な名企画を生み出しためちゃイケ。オカザイルも2007年から続く大人気企画のひとつ (画像はAmazonより:http://amzn.asia/c9nlWlH)
もちろん、新番組が健康診断やらダイエット企画もののように、有りがちな所に納まってしまわないことが必須条件ですが。M-1をはじめとして、すぐれた若手が続々と現れているのだから、彼らがより面白くなれるような番組作りを目指していただきたいものです。