1位「ネットもリアルも信用できない!?健康情報を"選ぶ"決断」
■記事が相次いで非公開になった事件の報道がきっかけ
新聞、テレビ、雑誌、インターネットといったメディアに、さまざまな情報や体験談があふれる今の時代。昨年末には、キュレーションサイト(まとめサイト)や医療系サイトに、根拠の不明確な健康・医療情報がノーチェックで掲載されている問題が相次いで指摘された。この事件をきっかけに、玉石混合の情報の中から信頼できる健康・医療情報をいかに探し出して活用するか、個人の「ヘルス・リテラシー」の重要性が叫ばれるようになった。
オールアバウトが今年10月下旬、20代以上の男女を対象に行ったインターネットリサーチ(有効回答553名)によると、情報サイトやキュレーションサイトにおいて、健康・医療に関した根拠の不明確な情報掲載が問題視されていることを知っている人は、約6割。そのうち約9割が、「この事件の発覚後、インターネットで健康・医療情報を取得する際に何か気をつけるようになったことがある」と、答えた。
具体的に行っていることとしては、「情報を鵜呑みにしないようにしている」「複数のWebサイトを参照するようにしている」「出典元を確認するようにしている」の順に回答者数が多かった。同調査で回答者の約半数が「自分のヘルス・リテラシーに自信がない」と回答し、その理由の一つが「情報の正誤が判断できない」であった。前述の報道以降は自身のヘルス・リテラシーを見直すきっかけとなり、個人で向上する努力を始めた人が多いと言えるだろう。
■著名人の闘病に関する報道などでセカンドオピニオンの認知度も上昇
また、小林麻央さんや元プロボクサーの竹原慎二さんの闘病に関する報道が後押しして、複数の医師から診療方針の意見を求める「セカンドオピニオン」の重要性が話題になった。前述のインターネットリサーチでも、約6割が「セカンドオピニオン」の言葉の意味を知っており、言葉だけ知っている人も含めた人数は、約9割に上った。このうち約8割が、セカンドオピニオンを知ったきっかけとして「セカンドオピニオンに関する報道」や「芸能人の健康・闘病に関する番組・報道」を挙げている。
ガイドの解説コメント
「医療情報ガイド」 森 臨太郎
専門家においては、製薬会社による臨床研究データの改ざん問題、一般市民では情報サイトの報道に端を発して、医療情報の信頼性に関心が集まりました。医師の提示した方針に納得がいかなければ、第三者に意見を聞いたり(セカンドオピニオン)、企業などから影響を受けず確かな医療情報をまとめている専門サイトを参考にしたりと、自衛策も広く知られるようになりました。セカンドオピニオンは多くの病院で先方の窓口が設けられ、保険でカバーされるなど、正当な権利として、抵抗なく受けられる工夫もされていますので、積極的に活用されてはと思います。
巷に流れる医療情報の信頼性を自らの力で見抜くヘルス・リテラシーを向上しなければ、騙されて健康被害にあったり、大事な治療を見逃してしまうこともあります。こうした動きは国内に限りません。Testing Treatment Interactiveのように、医療情報の信頼性を自分で判断するためのヘルス・リテラシーを上げるためのサイトなど、多くの国で自衛力を身に着けるための努力が始まっています。
今後は、情報の伝え方が工夫されるようになるにつれ、患者市民と医療従事者が同じ情報源を利用することで透明性が高まるように思います。
参考:コクラン・レビュー(日本語サイト) http://www.cochrane.org/ja/evidence
医学論文のシステマティック・レビューを行なう国際的団体のコクラン共同計画が作成している、医師も参照する医療情報が集約された情報サイト
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