子育てでも燃え尽き症候群があるらしい!?
頑張りすぎて、燃え尽きてしまっていませんか?
今回は、その背後にある原因と、それに陥らないための秘訣を、子育て心理学の観点から見ていきます。
ママが燃え尽きてしまう理由とは
4歳くらいのお子さんを持つママは、「なんか最近、すっかり気が抜けちゃった」
「育児がひと段落、なんだかやる気が出ない…」
と感じやすい傾向があります。
幼稚園も始まり、もう”幼児”というよりは、”子供”。その姿に、ママ自身が、育児の節目を感じ、それまで頑張ってきた分、気が抜けてしまうことがよくあるようです。
さらには、4歳になって何か問題が浮上すると、
「もしかして私のやり方が間違っていたのかも」
「ここまで一生懸命やってきたはずなのに」
とそれまでの自分の子育てを疑問視する思いも出てくることがあります。
この背景には、根強く残る「3歳児神話」の存在があると考えられます。3歳児神話とは、「子供が3歳になるまでは、母親が子育てに専念すべきであり、さもないと成長に悪影響を及ぼす」という考え方のことです。
実際には、1998年に厚生白書が、「合理的な根拠は認められない」としているのですが、実際には、いまなお、ママの心には、「3歳までがカギ」「何かあったら大変だ」という思いがあり、おまけに、世間からも、同様のプレッシャーで押されている感があります。
3歳を育児の大きな節目と捉える気持ちが強くなるため、全身全霊を我が子に注いだ3年間が過ぎると、大きな山を超えたような達成感、頑張り切った安ど感、ひいては、「なんだか気が抜けてしまった」という燃え尽き感にたどり着きやすいようです。
たしかに3歳までの育児は大切
とはいえ、私は、3歳までの子育てが大事ではないと言っているのではありません。昔から、三つ子の魂百まで」という言葉があるように、3歳までの子育ては非常に大事です。子育て心理学の観点から言っても、3歳といえば、育児の大きな目標である「情緒的対象恒常性」が確立するころ。「情緒的対象恒常性」とは、児童心理学者のマーラーが提唱した心理用語で、「心の中に思い浮かべる大切な人の存在」のことです。これまでに、何か不安になったとき、心細いと感じたとき、親や大切な人の顔を思い浮かべて、自分を安心させたり、「よし、大丈夫だ」と立ち直ったりした経験があると思います。心の中でパワーをくれる存在、それが「情緒的対象恒常性」です。
赤ちゃんの頃は、まだこれが発達過程であるため、不安になると泣いてしまいますが、3歳までの時期に、しっかりと愛情を注いであげると、それが確立されると言われています。心の中にあるママの存在が安心感をくれるようになると、その子の心は安定し、幼稚園などで親から離れる時間が増えても、上手に過ごせるようになってくるのです。このような点からも、3歳までの子育ては非常に大事な時期です。
でも4歳以降も大切、子育てはずっと続くもの
しかし、子育てはその後も続きます。3歳までも大事、でも4歳以降も大事なのです。3歳を過ぎるとやってくる「4歳の壁」。「魔の2歳児」などと比べると、知名度は低いですが、4歳の子によく見られる現象です。- こだわりが強くなる
- 気分が変わりやすい
- 聞き分けが悪くなる
- 物怖じをする
3歳過ぎたら、急に、お兄ちゃん、お姉ちゃんになるわけではありません。もしそうだとしたら、それは親自ら、子育てに「区切り」をつけたことで、そう見えるようになっただけ。1人でできることは日々増えていきますが、まだまだ甘えたい、構ってほしい、それが4歳以降もしばらく続きます。大人になるまでずっと成長し続けるのが、子供たち。子育てはずっと続くのです。
3歳まで頑張り過ぎてしまったママほど、燃え尽き感が強いかもしれません。そして、我が子が4歳の壁にぶつかり、急に聞き分けが悪くなったりしたとき、それをすんなり受け入れ難くなってしまいます。
子供に対しては、
「この間までは出来ていたのに」
「4歳なのにちっとも成長していない」
と感じ、
自分に対しては、
「私のやり方が間違っていたのかもしれない」
と責めてしまったりします。
初めの3年間に全力疾走してしまうと、その後が持ちません。「強火で一気に」ではなく、「中火くらい」の情熱を注げると、気抜けを感じずに、安定した育児ができるはずです。ママが自分の「火加減」を調節することが、育児を安定化させるポイントなのですね。
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