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ポケ森からの人に伝えたい、りんごが食べれる森のこと

任天堂が2017年11月21日にリリースしたモバイル端末向けゲームアプリ「どうぶつの森 ポケットキャンプ」。この作品ではじめてどうぶつの森を遊んだという人もいるようですが、そういう方にはぜひ本編の面白さも知ってほしいと思います。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

「どうぶつの森 ポケットキャンプ」リリース

どうぶつの森の図

かなりどうぶつの森なんですが、全然違うといえば全然違います

「ついに来た」と思った人も多いことでしょう。ある意味では、任天堂のモバイル端末向けゲームアプリ大本命ともいえる、「どうぶつの森 ポケットキャンプ(以下ポケ森)」が2017年11月21日にリリースされました。

ガイドの周りでもプレイしている人が多く、中にはどうぶつの森をプレイしたことがない人もいるようです。任天堂は、スマートフォン向けのアプリをコンシューマーへの導線と位置づけていますから、そういう意味で非常に良い傾向かもしれません。しかし、ちょっと気になったこともありました。「私、どうぶつの森は初めてなんですが、こういうゲームだったんですね」という感想を持った人が少なからずいたことです。

ポケ森は、どうぶつの森シリーズをスマートフォン向けに落とし込み、遊びやすく楽しい作品に仕上がってはいますが、どうぶつの森ってこんなゲームだった……と言われると、ちょっと、いや、かなり、相当にモヤモヤします。

というのも、ポケ森はどうぶつの森らしさをうまく再現してるかといわれると、ある部分では大変上手に再現しているんですが、一方で、同じゲームかといわれると、全くの別物とも言えるからです。

あなたのキャンプにどうぶつ達を招待しよう

どうぶつの森 ポケットキャンプの図

一度招待したどうぶつは、いつでもキャンプに来てくれるようになります

まずは、簡単にポケ森というゲームがどんなゲームなのかご説明しましょう。主人公となるプレイヤーキャラクターは、キャンプ場にキャンプをしに来ます。そこにはいろんなどうぶつ達がいますから、彼らが気に入るキャンプ場を作ることができれば、遊びに来てもらうことができます。

例えば、緑色が好きなどうぶつがいれば、テーブルやイスなどを緑色にまとめてコーディネートすれば、遊びに来てくれるかもしれません。かわいいものが大好きなどうぶつなら、クマの人形はいかがでしょう。ロックでファンキーなどうぶつなら、エレキギターやドラムセットを置いちゃってもいいかもしれませんね。

しかし、これらの家具や道具を作るには材料とお金が必要です。そこで、どうぶつ達のお手伝いをして、そのお礼に材料やお金をもらいます。魚を取ってきてほしい、フルーツが食べたい、虫が捕まらないんだけど……。そういったお願いを聞いて、キャンプ場のあちこちにいって、魚釣りに虫取り、果物集めをします。

そうやって、どうぶつ達をお手伝いして、仲良くなって、お金や材料を集め、素敵な家具や道具でキャンプ場を盛り上げて、たくさんのどうぶつ達を集めるゲームとなっています。

遊びやすくて、入りやすい

スマートフォンで遊ぶユーザーの図

スマートフォンで遊ぶように最適化されています

ポケ森のとても良いところはゲームが分かりやすいところでしょう。ゲームを始めると、どうぶつ達と仲良くなって招待するというはっきりした目的が示されます。どうぶつ達とどのくらい仲良くなったかはレベルで表示されて、レベルがあがるごとにご褒美がもらえます。どのくらい仲良くなれば、どんなものがあればキャンプに来てくれるかも、はっきりと示されています。

どうぶつ達とたくさん仲良くなるとプレイヤーのレベルもあがり、プレイヤーのレベルに応じて新たな家具が作れるようになったり、新しい動物がキャンプ場に訪れるようになります。

そうやっているうちに、いろんな家具が集まって、好きなどうぶつ達と仲良くなり、キャンプ場を自分好みにできるようになっていきます。しかし、遊びやすくてコンパクトになった分、実は失われている部分もあります。

本来のどうぶつの森

どうぶつの森の図

本家のどうぶつの森は果物をとったら、自分でモグモグ食べれます。意味はありません、食べたい人が食べるだけです

ガイドの個人的意見としては、ポケ森はポケ森で面白く、遊びやすいし、初心者が始めるには、むしろこの方がよいぐらいかもしれない、と思っています。しかし同時に、初めてどうぶつの森に触れる人には、ポケ森はどうぶつの森をコンパクトにまとめた別物である、ということをお伝えせずにはいられません。

どうぶつの森はニンテンドー64の後期に登場したゲームでした。そのほのぼのとした雰囲気とは裏腹に、当時としてはとても挑戦的なゲームでした。というのも、どうぶつの森は何をしたらいいかよくわからないゲームだったからです。

本来のどうぶつの森は、どうぶつ達が住む村に訪れたプレイヤーがそこで暮らすゲームです。ゲーム序盤にたぬきちというたぬきの不動産屋に無理やりローンで家を買わされ、目的らしい目的といえば、そのローンを返すことぐらいでしょうか。

しかし、ローンを返したからと言って何かが達成されるわけではありません。しいて言えば、家を広くすることができるようになるぐらいです。じゃあ、プレイヤーは何をしたらいいのか。何をしてもいいんです。それこそが大きな特徴でした。

りんごって食べられる

どうぶつの森の図

本編では、だらだらすごすこともできれば、カブを株式のように売り買いしてガッポリなんていう遊び方も

魚釣りをしてもいいし、果物をとってもいい、地面を掘ればハニワや化石がみつかって、ハニワは家に飾ったり、化石は博物館に寄贈したり。博物館は魚や虫も寄贈できて、どんどん展示が充実していくのがとても楽しいんです。化石はバラバラなものを発見していって、だんだんでっかい1体ができると壮観です。

ポケ森のように、どうぶつ達に頼まれごとをすることもありますが、自分で勝手に手紙を書いて、Tシャツでもつけて送り付けることだってできます。もちろんお返事ももらえます、気に入るとTシャツを着てくれたり、そうでもないと売られちゃったり。シリーズが進むとオリジナルの服を作ることもできるようになりまして、それがまた夢中になるんです。

りんごの木があるとするじゃないですか。本編のどうぶつの森でも、どうぶつ達に頼まれてりんごをもっていくことがあります。売ることもできますが、本編では自分の村にはもともと1種類しか果物が自生してなく、りんごが自生してない村にもっていくと高く売れるので、これを利用したお金稼ぎをする人がいます。地面に植えるとりんごの木が生えてくるので、植林を繰り返して果樹園を作ることもできます。

こうなってくると、立派なお仕事ですね。お部屋に飾ればインテリアのアクセントに。かと思えば、手にもってムシャムシャ食べることもできるんです。食べるとどうなるか?意味はないです、りんごが1つ減りますが、おいしそうです。

どうぶつの森は本当にいろんなことをやることができて、頑張って魚や虫をコンプリートする人もいれば、お金稼ぎに必死になる人もいますし、お部屋作りに凝る人もいますし、特に生産的なことをめざずにダラダラしてるのも楽しいゲームです。ポケ森とは違い、そもそもレベルなんて概念もなければ、タイムリミットが表示されたりもしません。むしろどうぶつの森にレベルを導入するって、かなり大胆に思えます。

ポケ森では、家具ができるまでの時間や、新しい実が木になる時間、どうぶつが滞在している時間なども表示され、いつまでに何をするべきか、いつになったら何をするべきかがはっきりしています。それが遊びやすい部分もありますが、逆に言うと、これをしなさいという指示がはっきりしすぎて、本編の自由な暮らしはあまり感じられません。

本編も遊んでみて欲しい!

ニンテンドースイッチの図

おそらく発売されるであろう、ニンテンドースイッチ版もとても楽しみです(イラスト 橋本モチチ)

どうぶつの森本編をとても気に入っていた人の中には、ポケ森ではどうぶつの森のコアな部分が失われているように感じられて、すごくガッカリしている方もいるようです。そういった気持ちもよくわかります。レベル?タイムリミット?自分らしい暮らしは?そういう気持ちも確かに分かります。

しかし、これはこれで楽しんでいる人がいることも事実ですし、ポケ森にはポケ森の楽しさや分かりやすさ、手軽さがあって良いと思います。そして、無料で始めやすいスマートフォン版でどうぶつの森に触れる人が増えて、気に入ってくれたとしたら、それはどうぶつの森シリーズにとって歓迎するべきことでしょう。

想像してみてください。いきなり何万円もするハードと何千円もするソフトを買い与えるのは難しいから、ちょっと自分のスマートフォンで遊ばせてみたら、どうぶつ達の世界を娘ちゃんが大いに気に入り、お願いにお願いをかさねてクリスマスや誕生日にコンシューマー版を買ってもらう。そういうことがあるとしたら、最初の出会いの場に選択肢が用意されることは大変に喜ばしいことです。

ポケ森で、どうぶつの森シリーズのかわいらしい絵柄であるとか、楽しいどうぶつ達であるとか、素敵な家具なんかを気に入ってくれたら、次はぜひコンシューマーのどうぶつの森にも挑戦してほしいと思います。おそらく、どうぶつの森はニンテンドースイッチ版も発売されることでしょう。ポケ森を遊んでいれば、何をしたらいいかわからない、ということもないかと思います。

そして、一生懸命頑張ってみてもいいし、のんびりのんびりしてもいい、あなたらしい暮らしをを満喫できるどうぶつの森を楽しんでみて欲しいと思います。ポケ森のように生産的な暮らしがしたければどうぞご自由に、でも疲れたら喫茶店に行ってゆったりとコーヒーブレイクなんていうのも楽しいゲームなんですよ。

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