総務・人事

会社の実印・通帳を失くした・盗まれた!場合の対応

会社の実印や通帳、小切手を失くしたり、盗まれたりしたら……。そんな時、事前に対応策を知っていれば安心ですよね。迅速に対応することが不正利用等の被害拡大阻止にもなるのです。万一の緊急対応について紹介します。

豊田 健一

執筆者:豊田 健一

総務人事・社内コミュニケーションガイド

実印が紛失・盗難にあった場合の対応

会社の実印を失くしたとき

会社の実印を失くしたとき



1.法務局に「紛失届」を提出
法人の実印を紛失、盗難したときは、すぐに実印登録を行った法務局に「紛失届」を提出します。紛失、盗難した印鑑の印鑑証明書の交付を受けられないようにするのです。印鑑証明書を不正に取得されると本人になりすまして犯罪などに使用される可能性があるからです。

実印の押してある契約書に印鑑証明書が添付されると、通常は「本人の意志に基づいて作成された書面」とみなされ、契約書の効力を否定することはとても難しくなります。

2.法務局に「改印届」を提出
次に、法務局へ「改印届」を出し、新しい印鑑を実印として登録します。これによって紛失した印鑑が実印の効力を持たなくなり、万一不正に使用されても、その責任を負わされるリスクを回避できます。その後、古い実印や古い印鑑証明書が悪用されないように、警察へ「紛失届・盗難届」を提出します。

法務局への手続きが済めば、それまでの実印は実印としての効力を失います。しかし、実印は法的な権利や義務を発生させる印鑑ですから、悪用されると取引や契約相手に迷惑かけかねません。そこで、関係先や取引先に対して改印した旨を連絡し、会社名義での注文書や領収書等が偽造されるのを防ぐ必要もあります。

印鑑カードが紛失・盗難にあった場合の対応

「印鑑カード」は実印登録後、希望者に発行されるカードであり、法務局に提出すれば印鑑証明書を入手できます。「印鑑カード」があれば簡単に印鑑証明書を入手できますし、印影から実印を偽造することもできます。

印鑑カードを失くした場合、法人代表者の印(法務局に届け出た印)を押印した「印鑑カード廃止届書」で紛失したカードを廃止し、新たにカードの交付を受けるための「印鑑カード交付申請書」を提出します。


銀行印が紛失・盗難にあった場合の対応

法人の銀行届出印(銀行印)を紛失、盗難にあった場合は、すぐに銀行に連絡します。銀行では、その印鑑が悪用されそうになったときは、銀行側でしかるべき対応を取ってくれますので、悪用を未然に防ぐことができます。あわせて、警察へ「紛失届」「盗難届」を提出します。

手形・小切手が紛失・盗難にあった場合の対応

手形・小切手が紛失、盗難にあった場合には、すぐに振出人が取引銀行へ連絡し、「手形・小切手事故届」を提出します。事故届を提出できるのは、支払銀行と取引のある「振出人」に限られます。あわせて銀行に「事故届」を提出するとともに、警察へ「紛失届」「盗難届」を提出します。

「事故届」を提出すると、銀行はその後は手形・小切手を呈示した人に対する支払いをしません。取引銀行に支払い停止措置をとってもらい、その間に管轄の簡易裁判所に「公示催告」の申し立てを行い、その手形・小切手が無効である旨の「除権判決」を受けなければなりません。

公示催告とは、「現在の手形・小切手の所持人」に対し、「一定の期日までに手形、小切手を所持している旨を届け出る」よう促し、「届出がない場合にはその手形・小切手を無効にする」旨を裁判所の掲示板と官報に掲載するというものです。除権判決を受けると、その手形と小切手は無効になります。

預金通帳が紛失・盗難にあった場合の対応

通帳を紛失した場合は、口座を開設している金融機関に連絡し、預金口座の停止を依頼します。その後、取引銀行に「喪失届」を提出します。届出の場合は身分証明書の提示が必要となりますが、法人の場合は、法人登記簿謄本・抄本・印鑑登録証明書などが必要となります。手続きが完了すると、新たな通帳が届きます。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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