アドバイス1 今は現金を最優先に貯めていく時期
数カ月前に住民税の滞納分の支払いが終わり、今後は家計にその分の余裕が生まれ、貯蓄ができるようになる。これは相談者のみついさんにとって大きいこと。貯蓄に励んでください。残業の有無やアルバイトをどれだけするのかによって収入は多少変動するでしょうが、月3万円は貯蓄できそうです。まずはそこを目標にしてみてください。また、カードローンの返済が終われば、さらに家計に余裕が生まれます。自然と貯蓄ペースも上がっていきます。現状、貯蓄がないわけですが、焦る必要はありません。まだ30代半ばですから、時間もあります。まずは、家計の中でしっかりと貯蓄ペースを作り、確実に貯めていく。家計を貯蓄体質に変えていくことが大切です。
資産運用も考えているとのことですが、今は現金を増やす時期。貯蓄がほぼない状態であり、派遣社員という状況も、ある意味リスクを含んでいます。その上で「運用」というリスクを取ることはできません。少なくとも100万円は貯めましょう。
100万円現金で貯めることができれば、積み立て貯蓄を継続しながら、一部運用に資金を回してもいいでしょう。目先の売り買いにこだわらず、投資から得られた利益に対する税金が非課税となる「NISA」や「つみたてNISA」を利用して、中長期投資を目指すのがいいのでは。個別株なら、配当の高い銘柄や、株主優待を楽しみに株を保有してもいいと思います。
アドバイス2 元気に働き、細く長く貯めていく
みついさんは、今まで貯蓄が思うようにできず、家計のやりくりに苦労された経験から、お金を使うことにシビアになっているという気がします。もちろん、現状を考えれば貯蓄が最優先ですが、しかし、何から何まで節約では、生活そのものが無味乾燥としたものになってしまいます。金額の枠を決めて、その範囲で自分の楽しみのために使うことも考えてみてください。貯蓄は継続してこそ意味があります。そのためには、ときに息抜きをして、生活を楽しむ。それがまた貯める活力になるはず。一気に増やすのではなく、細く長く積み立てることで増やしていくことを心掛けてほしいと思います。
もうひとつ、心も含めた健康面に気を配ること。今は年齢的に副業でアルバイトができていますが、10年後もその体力、気力があるかどうか。また、無理をして、本当に体を壊してしまっては元も子もありません。老後に向けての有効な対策は、元気により長く働くということです。収入は下がっても65歳、70歳と働き続ける。そのためには、今から心と体をケアしていくことが大切です。
また気になる点として、現在、保険には未加入ですが、独身であること、蓄えがないことを考慮すると、死亡保障は不要ですが、医療保障は確保すべきだと考えます。保障は必要最小限、入院給付額は日額5000円で構いません。特約を付加しないシンプルな医療保険なら保険料は月2000円(終身保障終身払い)を切るはず。または、県民共済でもいいでしょう。
最後に、家庭の事情、姉妹のご関係について詳しくはわかりませんが、親からの相続を拒否されるのであれば、その費用をご自身が出すというのは、一般的に考えればおかしな話です。私は出す必要はないと考えます。
相談者「みつい」さんから寄せられた感想
今まで、返済などが苦しく将来のお金に関して考える余裕がありませんでした。まずは100万目標に月々積立貯金をしていきます。今回の先生のアドバイスのお陰で、自分の心や健康について改めて考えさせられました。今までは、冷たい言い方かもしれませんが、他人のために自分自身を犠牲にしてきたと思います。これからは自分のことも大切にします。いろんなことを楽しみながら、貯金にも励みたいと思います。アドバイスありがとうございました。教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
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