「DIAM新興市場日本株ファンド」が基準価額10倍を達成
「つみたてNISA」の申し込みが開始されましたが、投資対象は一定の条件を満たした株式投資信託やETFのみです。運用管理費用(信託報酬)などの投資コストの基準が厳しいため、その投資対象はインデックスファンドが中心。アクティブ運用タイプの投信は劣勢に立たされています。そんな中、とあるアクティブ運用の日本株ファンドが、分配金込み基準価額10倍を達成したのです。アクティブ型ファンドには厳しい環境
株式投資信託には、株価指数などに連動した運用成果が期待できる「インデックスファンド」と、株価指数などを上回る運用成果が期待できる「アクティブ型ファンド」があるのはご存じの通りです。ただ、アクティブ型ファンドはその半数以上が株価指数などを下回る運用成果となっているのが実情です。運用成果は株価指数などを下回り、また運用管理費用(信託報酬)はインデックスファンドの数倍もあることから、アクティブ型ファンドは近年強い向かい風が吹き続けています。加えて、申し込みが始まった「つみたてNISA」で採用されたアクティブ型ファンドは、海外資産を投資対象とするファンドを含めわずか14本(全体で114本)しかありません。向かい風は強さを増しつつあるといっても過言ではないてじょう。
そんな厳しい環境下、日本株を投資対象とするアクティブ型ファンドに光明が指したのです。分配金込みの基準価額10倍を達成した商品が現れたのです。アセットマネジメントOneの「DIAM新興市場日本株ファンド」がそれです。株式投資で株価が10倍になる株のことを「テンバガー」と呼びますが、投資信託でそれを実現したのですから、光明どころではなく驚天動地という位に凄いことなのです。
分配金込みの基準価額10倍を達成したのはどんなファンド?
DIAM新興市場日本株ファンドは、2007年11月29日に設定されました。現在のファンドマネジャーである岩谷渉平氏が同ファンドの運用を引き継いだのは2011年頃でしたので、テンバガーファンドに育てあげたのは同氏の運用手腕によるものと言えるでしょう。同ファンドは、ジャスダック、東証マザーズ等に上場されている銘柄を主要投資対象としています。ただし、純資産総額の原則5割を上限として、東証1部など他の市場に上場している中小型株にも投資することがあるようです。個別銘柄調査を通じて、企業の成長力、競争力、収益力、経営力、株価等の観点から銘柄を選別します。業種比率、時価総額などにとらわれず、ポートフォリオは構築されます。
ファンドマネジャーである岩谷氏は「社会の課題を解決できる企業は必ず成長できる」という信念の下、投資対象銘柄を厳選しているようです。売買高比率は2.47とやや高いものの、頻繁に売買を行い収益を積み上げて行く運用スタイルを重視しているわけではないようです。
他の資産クラスと比較して相対的に下落に対する耐性が強い
同ファンドが際立つのは、運用成績(収益率)もさる事ながら、他の資産クラスと比較して相対的に下落に対する耐性が強いことです。直近の交付運用報告書によれば、同ファンドの各月末における直近1年間の騰落率(期間は2012年4月~2017年3月)によれば、同ファンドの騰落率の最小値は-10.5%。日本株(-22.0%)、先進国株(-17.5%)、新興国株(-27.4%)、先進国国債(-12.3%)、新興国国債(-17.4%)という日本国債を除くいずれの資産クラス(指数)よりも小さいのです。一方、収益率はどの資産クラスよりも90%超上回っているのです。岩谷氏が運用する他のファンドにも注目
リスクを抑えながら好成績をあげている「DIAM新興市場日本株ファンド」ですが、信託期間は2027年11月29日までと残り10年間です。10年あればとさらなる期待がもてるものの、基準価額は5万6267円(2017年10月19日現在)と高額なために購入に躊躇される個人投資家の方もいるのではないでしょうか。余談ですが、投資信託の基準価額には株式のような割高、割安という概念はありません。そこで、基準価額は高額ではなく岩谷氏が運用している日本株ファンドとして、「DIAM新興企業日本株ファンド」、基準価額は1万4518円、信託期間は2023年5月15日、「未来変革日本株ファンド」、基準価格1万2863円、信託期間は2021年1月29日があります。この2つは「DIAM新興市場日本株ファンド」よりも信託期間が短いのが少し気になるところです。また、「厳選ジャパン」は基準価額9967円、信託期間は無制限です。岩谷氏はチームリーダとして関わっている日本株ファンドです。
やや劣勢に立たされているアクティブ型ファンドですが、実は魅力的なファンドが陰に隠れて目立たないだけということに気づかされることでしょう。