行動が遅い子どもの対応は?急かす言葉は弊害も多い
子供に「早く」と言ってしまう代わりに「7時40分に家を出るから、朝ごはんは7時30分までに食べ終わろうね」と理由や時間も一緒に言うと、伝わりやすく、時間の概念も育ちやすくなります
子育て中の親ならばこのように子どもを急かす言葉を言ったことがあるでしょう。準備や作業、行動の遅い子どもにイライラし、つい、口癖のようになっている親も多くいるのではないでしょうか。
ですがこのような言葉は、あまり効果がないだけでなく、弊害もあります。子どもを急かす言葉の弊害と、行動を早くするようになる伝え方の説明をします。
「早く」「急いで」の口癖が子どもに与える4つの弊害
■1、自分で考えないようになる自分なりに考え、行動しようとしても、「早く」「急いで」と言われることで、子どもは考える余裕を失うでしょう。
とりあえず、親に急かされている行動を終わらせることのみを考えます。ですので、学習なども落ち着いて取り組めず、考えることが苦手になってきます。
また、それが繰りかえされると、何事にも主体性がなくなっていくでしょう。
■2、うっかりミスや事故が増える いつも急かされると、注意力散漫となり、ケアレスミスも多くなるでしょう。
問題をきちんと読まず、解答方法を間違う、慌てて扉を閉めて指を挟む、急いで道路を渡り交通事故に遭うなど、急かされ、慌てることによって、ケアレスミスを引き起こすことが増えるでしょう。
■3、物事の取り組みが雑になる
ゆっくり、丁寧に取り組んでいると「遅い」と言われるのですから、当然その作業や取り組みが雑になり、物の取り扱い方も乱暴になってくるでしょう。
■4、相手を待つことができなくなる
子どもの性格や人格形成には親の日常の生活態度が大きく影響します。ですので親がいつも「早く!」「急いで!」を口癖のように言っていると、子どもも友達を待てなかったり、相手に対し、急ぐことを要求するようになってきます。
すると、適切な友人関係を保つことが難しくなることもあるでしょう。
「今、ここで」発生している問題にじっくり取り組めなくなる
アメリカの精神科医、エリックバーン(Eric Berne)は、子どもを急かす言葉「急げ!」(Hurry Up)を「駆り立てる言葉」ドライバー(Drivers)のひとつとし、子どもの後の人生に大きな影響を与えると言っています。急かされるメッセージにより、子どもは常に「今、ここで」発生している問題の解決に落ち着いて取り組めず、実際には何をどう早くすれば良いのか、あまり理解されない状態のまま、セカセカと後の人生も過ごすと言うのです。
このように、「早く」「急いで」という言葉は多くの弊害があるのですが、実生活で子どもの行動が遅いと、小学校や幼稚園に遅刻する、約束の時間に間に合わない、ダラダラといつまでも作業が終わらないなど、支障も出てきます。そのため親としては言わずにおられないこともあるでしょう。
では次に、どのように伝えればよいのか説明します。
子どもの行動が早くなる!伝わる言い方3つのステップ
■ステップ1、早くしなければならない理由を一緒に言うただ「早く!」「急いで!」の単語だけでなく、何故早くしなければならないか、その理由も一緒に説明しながら、言いましょう。
例えば「早く朝ごはんを食べないと、学校に遅刻するわよ」「急いで着替えないと幼稚園のバスが行っちゃうよ」「早く寝ないと、朝起きられないでしょう」など、理由もきちんと伝えると、急ぐ理由が分かり、行動を早くしようとする気持ちの原動力になるでしょう。
■ステップ2、行動を1つに絞り、具体的な行動を促す
一度にいくつかのことをまとめて急かされても、子どもは気持ちが焦るばかりで、どれも中途半端になるでしょう。子どもの行動を早くさせたい時は、1つに絞って具体的に促すと伝わりやすいです。
例えば「早く準備して学校へ行きなさい!急いで!」と言っても、気持ちが焦るばかりで、何からどうすればよいのか、戸惑うばかりの子もいるでしょう。
その場合は、「洋服に着替えて」「着替えができれば朝ごはんを食べようね」「食べたらランドセルを持ってこよう」「靴を履いて」と、順番に行動を1つずつ促していくと、子どもは分かり易く、行動も早くなるででしょう。
■ステップ3、具体的な時間も伝える
「早く!」「急いで!」と言われても、子どもはどれくらい急げばよいのか分かりません。
「7時40分に家を出るから、朝ごはんは7時半までに食べ終わろうね」「7時から見たいテレビがあるんだったら、それまでにおもちゃを片づけてね」
まだ時計を読めない園児には「着替えは、長い針が12、短い針が8のところへくるまでに済ませようね」と言ってあげるといいでしょう。
ただ急かされるだけでなく、時間も具体的に伝えることで、時間の概念が育ちやすくなり、後に自分で計画を立てて動く練習にも繋がるでしょう。
子どもの頃の失敗は、後の人生の学びになる
子どもに「早く!」「急いで!」と言うことは、子どものペースを否定していることにもなります。そうすると子どもは、自分は認められない、親に受け入れてもらえないと感じ、親子の信頼関係に揺らぎをもたらすこともあります。
子どもの頃の失敗は後の人生の学びにもなります。一度、学校に遅刻し、先生に注意されたり、約束の時間に遅れ、自分が困ったりすれば、「今度からは遅れないように急いで準備しよう」と、自ら思うようになるでしょう。
先ずは子どものペースを見守り、その後、言い方を少し工夫する伝え方をし、子ども自らの意志で、行動を早くできるようにしてあげましょう。
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