マッチングアプリで気軽に婚活する時代だからこそ注意したいのは?
すきま時間で自然で気軽な出会い、しかも無料! いいことづくめに見えますが、落とし穴も。
ガイドは婚活を事業として長年取り組んできました。今も結婚相談所の代表であり、現役の婚活アドバイザーです。1995年に設立したアパレルセールスコンサルタント会社の別事業として結婚相談所を立ち上げたのは2009年のことで、まさに「婚活」という言葉が使われ始めた時期でした。
ちなみに、婚活という言葉が初めて世に出たのは、『AERA』2007年11月で社会学者の山田昌弘氏が考案し、2010年にはマスコミや有識者達がそれを取り上げて、婚活ブームが起こったとされています(Wikipediaより)。
それから約10年。婚活も様々なスタイルに枝分かれし、多様化してきましたが、晩婚化や未婚率は上昇しつづけています。なぜでしょうか? 理由は、たくさんの方法や手段があっても、「結局、自分はどんな結婚をしたいのか? どんな婚活があっているのか?」ということに悩んでしまうことになったからです。「結婚したいのにできない、ひとりではどうしようもない。いったい私はどうしたらいいの?」という声を、毎日痛いほど耳にしています。
婚活の代表的な方法として、婚活パーティー・婚活サイト・合コン・結婚情報サービス・結婚相談所がありますが、今、巷で流行しているのが「婚活アプリ・恋活アプリ・マッチングアプリ」です。こういったアプリもすでに多様化していますが、今回は総称として「マッチングアプリ」で統一します。
マッチングアプリは誰でも片手一つで簡単に始められてることがメリットで、だからこそ現在もどんどん世の中に広まっているのでしょう。しかし、年齢や性格によって向き不向きがあり、マッチングアプリで婚活しようとして失敗した……と結婚相談所にやってくる方は少なくありません。もちろん、どんな方法にもメリット・デメリットがあり、意外な盲点があるものですが、今回はあえてマッチングアプリでとくに注意したいデメリットや盲点を挙げていきます。
1.マッチングアプリで出会った相手は、結婚する気がない場合もある
そもそも相手の人は結婚する気ある???
マッチングアプリは、スマホ1つで気軽にいつでもどこでも始められるものがほとんどです。料金もほとんどが無料で、一部有料機能があるか、月額使用料などがかかるものもありますが、いずれにしても気軽に始められる格安なものが多いようです。
写真やプロフィールで絞り込んで指先1本でマッチングしたりしなかったり、相手との物理的な距離が表示されたり、アプリ上からポンと短いメッセージを送り合えたり、とにかく気軽で重くない、今すぐ簡単に出会いたい、という目的のための仕様になっています。これは「気軽な出会い」を求める人にはメリットと言えるでしょう。
一方で、「婚活」のため、つまり結婚相手を探すためにマッチングアプリを使う人にとってはデメリットもあります。あくまでマッチングアプリは出会いの場の提供であり、使用する利用者の目的は人それぞれだということ。
Facebookなどのリアルなプロフィールと認証させたり、免許証や保険証の登録が必要なものがあったり、大手企業の運営するものだとサポート体制があったりと、マッチングした相手の利用者が「実在しない架空の人間」ということは少なくなってきていますが、本気で結婚をする意思があるのかわからないということ。少なくても確約はできません。
「でも友達が、マッチングアプリで知り合った人と幸せな結婚をしたから始めたんです」という人もいますが、利用者の数と成婚数を出し、その成婚率を計算したことはありますか?
マッチングアプリで何人もの人に会い、やっとお付き合いが始まっても、「まだ結婚する気ないんだよね」と言われたら、またふりだしです。もしあなたが相手を好きになっていたら、そこから数年、結婚したいというところから説得をし続けることになります。もちろん、自分もまだ結婚する気がない、という20代前半でしたら、そんな楽しみ方でもいいでしょう。
でも、もしアラサーアラフォーに差し掛かっていて、出会いがない、結婚したいのに相手がいないと言っているなら、「結婚」の意思がある人と出会うのが確実です。
マッチングアプリで出会ったとしても、結婚を前提にお付き合いしたいとしっかり確認してからスタートさせましょう。そうすれば、無駄な出会いではなく、本気の出会いを探すことができるかもしれません。
2.年収・資産などの金銭面の情報を知りたくても自力で聞き出せない
デート中、相手の情報をどれだけ多く引き出せるかもポイントです
「結婚」は、「一生この先の人生を一緒に過ごしましょう」という契約です。恋愛ゲームをしたいならいいのですが、「年収は? 資産は? 借金は?」これらがわかってからでないと契約のスタート地点に立つのが不安になるものです。もちろん、年収や資産がすべてではありませんが、自分の思い描く生活を送るには絶対に知っておきたいところです。
結婚相手を選ぶ、つまり人生をどのように生きていくか計画するにあたって、金銭面の情報はひとつのものさしになります。だからこそ、相手のスペックは大事なのです。
どんな出会い方であっても、恋愛上手でコミュニケーション上手な人なら、相手からうまい具合に聞きだせるかもしれません。でも、意外と本人の口から、聞きにくいお金の話を自然に聞き出す、というのは難しいものです。
マッチングアプリの場合はプロフィールは本人が記入するので自称である場合が多く、職業ですら信頼できる情報かどうかわかりません。なので、ネット系サービスで言うと年収証明を提出して明記する「婚活サイト」なら、その点は信用できます。結婚相談所は連盟に加入しているところなら、ほとんどすべてが年収証明を相談所に提出しないと明記できませんので信頼性はもっとも高いと言えます。
3.彼の子供産んだのに認知してくれない、実は既婚者だったケースも
出産したのに、認知してくれないなんてこともあり得るんです。
彼の子を妊娠して出産したのに、認知してくれない。これは、婚活現場で何度も聞いている相談です。結婚する気がなくて行方をくらませたり、別れたりするケースもありますが、そもそも相手が既婚者だったケースも多いのです。
私のところに相談に見えた方は、23歳の会社員女性です。マッチングアプリで知り合って、「結婚しよう」と言われて疑いもなく一緒に生活をはじめ、翌年妊娠。出産までしたものの、いつまでたっても入籍してくれないので困り果てて問い詰めたら、実は相手が既婚者で子供が3人もいるというのです。2年も一緒に生活をしていたらわかりそうなものですが、彼女は信じ切っていたので疑うこともなかったのでしょう。
信じられないと思うかもしれませんが、実際に「独身」ではない人が紛れ込める場では起こりうるのです。
つまり、出会いを求めている人は、当然自分と同じ独身だと思い込むのは危険ということです。あなたの使っているマッチングサイトが既婚者も遊びで利用できるサイトだったとしたらどうでしょうか? 出会って好きになった人が既婚者だったということはもちろん、それを知らされずに数年つきあってしまい、知らずに自分が不倫相手になってしまうこともあるのです。
それを避けるために、ネットで婚活をするなら、最低限、登録する際に必要な書類の中に「独身証明書」が含まれているところにしてください。「独身証明書」とは、聞きなれないかもしれませんが、本籍がある市区町村で発行してくれる公的な書面です。もちろん、結婚相談所は結婚を前提にしているのですから、連盟に加入しているところは入会時に必ず「独身証明書」を提出してもらいます。だから、既婚者は入会できないのです。
4.親兄弟や親戚の家柄や学歴、職業を聞けない
お相手の家族のこと、どこまで知っていますか?
恋愛と結婚で大きな違いは、ずばり2人の仲に親や親戚が関係するかどうかです。恋愛の段階では将来を約束するものではありませんから、相手の親兄弟などのことはあまり気にしないのがふつうでしょう。しかし、結婚となれば、相手の親戚はあなたの親戚になるのですから、親族にどんな人がいるのか、どんな家業を営んでいるのか、どんなバックグラウンドで育ってきたのかということをきちんと知っておきたいものです。
実際、マッチングアプリで気軽に出会って、相手のことをろくに知らずに肉体関係になり、好きになってしまえば、恋は盲目。相手の実家や親戚の話が、少し変わっているなと思っても、周りの状況に目をつぶり、見て見ぬふりをして、結婚したいと思うでしょう。
でも、まったく知らずに結婚してあとから知れば、結婚後に喧嘩やもめごとに発展することは目に見えています。「そんな家柄ではダメ」と言いたいのではなく、交際が始まる段階できちんと相手について知るべきだと考えています。
以上、マッチングサイトのリスクやデメリットをあえてお話してきました。一方、結婚相談所への登録は書類もたくさん必要である意味「面倒」ですし、お金も時間もかかります。でも、「結婚したい」気持ちがあり、素性のわかっている相手と安心・安全な状況で出会えるというメリットがあります。
簡単に言えば、周囲に干渉されず自力で自己判断するからこそ、気軽で無料でできるのがマッチングサイトでの婚活で、すべてが自己責任です。コンサルティングのプロである「人の目」を通した相手と出会える結婚相談所での婚活と比べてみて、どちらがあなたに向いているのか、ぜひ考えてみてください。自分で期間を決めて、両方試してみるのもいいでしょう。そして、自分の理想の結婚生活を一緒に歩んでくれる方を探してみましょう。