犬に玉ねぎ・長ねぎを食べさせてはダメ!
犬に玉ねぎ・長ねぎは絶対に与えないこと!
玉ねぎ・長ねぎを犬が食べてしまうと、生命の危険があります。どれぐらい食べると危険なのか、万が一食べてしまった時に動物病院ではどのような治療をされるのか、具体的にお伝えします。
<INDEX>
・犬が玉ねぎ・長ねぎを食べると命の危険も
・犬が玉ねぎ・長ねぎ中毒を起こす量
・”隠れ玉ねぎ・長ねぎ料理”も避けること
・犬が玉ねぎ・長ねぎを食べてしまったらすぐに動物病院に電話を!
犬が玉ねぎ・長ねぎを食べると命の危険も
ネギ属に入る食材は全て避けましょう
犬に玉ねぎ・長ねぎを食べさせることは、生命の危険に繋がります。アリルプロピルジスルフィド、ジアリルプロピリジスルフィドなどの成分の影響で、血液の中の赤血球の膜を酸化変性させてしまい中毒症状を引き起こすとされています。
犬が玉ねぎ・長ねぎを食べてしまうと
・貧血、ふらつき
・血尿
・運動不耐性(疲れやすい)
・呼吸促拍(呼吸が速い)
・重度の黄疸(全身のだるさ、皮膚のかゆみ、発熱など)
・下痢
・嘔吐
といった症状が現れ、最悪の場合は命を落とす危険があります。
生で食べても、加熱して食べても中毒の危険性には変わりはありません。
同じネギ属のニラ、にんにく、万能ネギ、らっきょう、ワケギも同じ症状が出る危険があるので、犬に食べさせることは避けておきましょう。
また、一部では”生姜もネギ属なので犬に与えてはいけない”という主張もありますが、生姜はショウガ属なので、ネギの仲間ではありません。少量のすりおろし生姜や、生姜の乾燥粉末は健康な犬であれば与えることができるので、混同しないようにしましょう。
犬が玉ねぎ・長ねぎ中毒を起こす量
少量でも中毒を起こす危険があるので注意してください
中毒症状をおこす量は、犬の体重1kgあたり玉ねぎ約5~20gと言われていますが、中毒症状が出る量にはかなりの個体差があります。食べてすぐに症状が出なかったとしても、数日後に中毒症状が出てくる可能性もあります。
犬が玉ねぎ・長ねぎを食べてしまう原因は、
- 犬の口や手が届く場所に玉ねぎ・長ねぎを置いてしまう不注意
- 玉ねぎ・長ねぎが含まれている人間用の食べ物を犬が食べてしまった
- 犬に玉ねぎ・長ねぎは危険と知らず、与えてしまった
”隠れ玉ねぎ・長ねぎ料理”も避けること
どのような調理方法でも、中毒症状が出る危険があります
玉ねぎ・長ねぎが混ざり込んでいる可能性のある食材は、全て犬が食べないように注意してください。中毒を起こす成分は水に溶ける性質のため、調理してから玉ねぎ・長ねぎを取り除いて犬に与えても中毒を起こしてしまいます。
カレー、シチュー、ねぎ入りの味噌汁、親子丼、すきやき、オニオンリングやオニオンスープなど、玉ねぎ・長ねぎが目に見える料理はもちろんですが、目に見えなくても調理中に玉ねぎ・長ねぎを使うことが多い料理や調味料を把握しておきましょう。
- カレーパン
- カレー、シチューなどのルウ
- チャーシュー、角煮
- ハンバーグ
- ラーメンのスープ
- ケチャップ
- ソース
- 赤ちゃん用のレトルトフード
- 野菜ジュース
調理方法によって差がありますが、これらの料理や調味料は玉ねぎ・長ねぎが使われている可能性が高いので、犬が口に入れないように注意してください。
犬が玉ねぎ・長ねぎを食べてしまったらすぐに動物病院に電話を!
自己判断せずに、獣医師の診察を受けましょう
もし犬が玉ねぎ・長ねぎを食べてしまった場合は、すぐにかかりつけの動物病院に電話をして指示をもらってください。
犬が玉ねぎ・長ねぎを食べてしまった時に、病院でされる一般的な処置について、犬の食生活・健康管理の講座も開催している獣医師の丸田香緒里先生(Animal Life Partner代表)に教えていただきました。
【玉ねぎ・長ねぎ中毒の危険度】命に危険が出ることがある
玉ねぎ・長ねぎを食べた後すぐに中毒症状が現れることもありますが、食べてから6日後に中毒症状が現れるケースもあります。命の危険がある中毒ですので、たとえ少量であっても犬が玉ねぎ・長ねぎを食べたことが分かった時点で、なるべく早く動物病院で処置をしてもらいましょう。
【飼い主にできること】自己流で対処しないで動物病院へ行く
犬が玉ねぎ・長ねぎを食べたことがわかったときに飼い主さんにできることは、すぐに動物病院に連れていくことです。このとき、家庭で無理に吐かせようとすると誤嚥(ごえん※)をして亡くなる可能性もあります。できれば、事前に動物病院へ電話をしておきましょう。
かかりつけの動物病院に休診日がある場合、万が一の時に慌てずに済むように近隣の動物病院を2~3軒把握しておくと安心です。
(※誤嚥:食べ物や消化液が誤って喉や気管に入り込んでしまうこと。呼吸困難になることも。)
【動物病院での処置】犬が食べた玉ねぎ・長ねぎを吐かせる。場合によっては輸血も。
食べて30分以内であれば、注射や飲み薬を使って胃の中の玉ねぎ・長ねぎを吐かせることができます。もし食べてから時間が経ってしまっていても、必ず動物病院に連れて行ってください。
処置が早ければ中毒症状が出ずに済むこともあります。血尿の症状が出ている場合、赤血球の破壊により貧血を起こしていることが多く、輸血を必要とする場合もあります。
【治療期間】症状によって通院や入院が必要になる
治療は根本的なものではなく、対症療法が一般的です。中毒症状の程度によって、通院や入院が必要になることも考えられます。重症度や動物病院によって必要な処置が変わるため、治療費は一概に言う事はできません。ペット保険の使用は、加入内容によっては可能です。
犬に玉ねぎ・長ねぎを与えてはいけない理由 まとめ
- 犬に玉ねぎ・長ねぎを食べさせると、貧血や血尿などの症状が現れ、最悪の場合は命を落とす
- 中毒症状は食べた量に関係なく起きることがあるので、少量でも与えない
- ケチャップ、赤ちゃん用レトルトフード、野菜ジュースなどに玉ねぎ・長ねぎが使われることもあるので注意する
- 犬が玉ねぎ・長ねぎを食べてしまったら、すぐに動物病院へ連れていく
- 自己流で吐かせたり、処置をしたりしない
【執筆協力】
丸田香緒里 獣医師
日本大学卒。動物病院勤務後、飼い主様にもっと近い存在になりたいと思い「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士など様々な資格を取得し、病院での診療や往診の他、セミナー講師やカウンセリング、企業との製品開発など活動は多岐にわたる。
ホームページ:http://animallifepartner.com/