歯科インプラント

直径3mmの極細インプラントとは

日々進化しているインプラント。様々な改良や開発により、これまでは不可能だと思われていたことができるようになってきました。今回は狭い埋入スペースでもインプラントがいれられる「極細インプラント」についてご紹介します。

梅田 和徳

執筆者:梅田 和徳

歯科医 / 歯科インプラントガイド

極細インプラントとは

極細のインプラントを使用することで狭いスペースに埋入が可能

極細のインプラントを使用することで狭いスペースに埋入が可能

インプラントを埋入する際は、最低全周1.5mm以上の骨で支えなくてはなりません。初期固定を得るために狭い埋入スペースに太いインプラントを入れると、時間の経過とともに骨吸収を起こしてトラブルが起きてしまうからです。ですので、これまでは埋入するスペースが狭い場合には大掛かりな骨造成を行ったり矯正によって埋入スペースを広げたりする必要がありました。当然、この方法では治療期間は長くなりますし、それにかかる費用、治療にともなう外科手術など、患者様の負担は大きいものでした。

しかし、最近直径3.0mmという非常に細いインプラントが開発されました。このインプラントであれば、条件があえば狭い埋入スペースでも入れることができます。強度の問題から強い力がかかる部位には使用できませんが、患者様にとっては大掛かりな治療を行わなくて済む分治療期間の短縮や身体的負担が軽減されるというメリットがあります。

極細インプラントを使用したケース

骨吸収の可能性を考慮して本来より少し内側に埋入

骨吸収の可能性を考慮して本来より少し内側に埋入

実際に極細インプラントを使用したケースをご紹介しましょう。2カ月前に他院で抜歯されインプラント希望で来院された患者様。前歯3本の中で最も細く歯根も短い上顎2番の部位です。直径3.0mm長さ11.5mmの極細インプラントを選択し、狭い範囲ですが中程度の骨造成を行いました。

 
術後のCTの側面画像。

術後のCTの側面画像。

予めやや口蓋側(内側)に埋入しておきます。もしも骨吸収が起こってもインプラントに影響が少ないように元の歯根のあった位置ではなくやや内側に入れるのです。

 

進化し続けているインプラント治療

一昔前では考えられなかった直径3.0mmの極細インプラント。インプラント治療が始まって数十年がたち、いまやインプラント治療は欠損歯の治療の第一選択として広く行われるようになりました。ただ噛めればいいという機能性はもちろんのこと、美しい口元でありたいという要望に沿い審美性も重要視されるようになりました。インプラント治療は大きく進歩し、インプラントの形状や素材なども新しいものが次々と開発され続けています。

極細インプラントや極短インプラント。こういった最新の進化したインプラントを使うことで、痛みや腫れを最小限にし長期安定性を向上させることが可能になってきているのです。
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