歯科インプラント

親知らず等を使う自家歯牙移植・成功率・予後

【日本口腔インプラント学会専門医が解説】歯を失ったときの選択肢として歯科インプラントが有効ですが、人工物を埋めることに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。その場合、もし条件が揃えば親知らずなどの自分の歯を利用して移植をする方法があります。今回は番外編として「自家歯牙移植」という方法をご紹介します。

梅田 和徳

執筆者:梅田 和徳

歯科医 / 歯科インプラントガイド

自家歯牙移植とは……親知らずなどを利用し自分の歯を移植

他の歯に負担をかけない方法はインプラント以外にはないの?

他の歯に負担をかけない方法はインプラント以外にはないの?

残念ながら歯を残せなくなった場合、

・入れ歯
・ブリッジ
・インプラント

の3つの選択肢があります。

入れ歯とブリッジは他の歯に負担をかけますが、インプラントは他の歯を削る必要がありません。しかし人工物を埋め込むことにはちょっと抵抗がある……という患者様もいらっしゃいます。

そんな方のために、実はもう1つ、他の歯に負担をかけずに歯を補う方法があります。

・自家歯牙移植

と言います。

これは必要のない歯を失った部分に外科処置で移植する方法で、大半は親知らずを利用することが多いです。

自家歯牙移植の成功率

移植の成功率は若ければ若いほど高いと言われ80~90%とも言われています。抜歯と移植を同時に行うケースの方が多いですが、移植部位の嚢胞が大きく感染が広範囲に広がっていた場合は、数日から数週間の間隔をあけることもあります。

完成した親知らずだけでなく歯根か未完成の親知らずも利用可能ですが、歯のサイズが合わなかったり生着するまでに不安定になったりと、経験や技術力が予後を大きく左右すると言われています。

自家歯牙移植の治療の流れ・メリット

抜歯部位の歯槽骨形態を移植する歯の歯根形態に整形し、周囲組織にダメージが及ばないよう抜歯して移植します。移植する場所の骨形成は感覚的な部分が大きいですし、なんといっても移植はスピードが重要です。外界にさらしておく時間は最小限にしなければならず、適切な判断力と準備とテクニックが成功を左右するのです。

移植後は安定するまで外力がかからないように注意しなければなりません。やや深めにポジショニングし咬合力がかからないようにしたり、手前の歯を仮歯に変えてワイヤーなどで固定することもあります。そのまま数か月の間慎重に経過観察をして、最も重要な神経が生きているかどうかなどをチェック。神経治療が必要ならしますし、不要なら少しづつ咬合させていきます。

インプラント治療の成功率が上がったので、一時はあまり聞かなくなっていました自家歯牙移植。実はかなり昔から行われている方法です。接着材の物生の向上など様々な環境が改善したこともあり、ここ最近欠損部分を補う治療法として再び注目されています。条件はありますが、天然歯ですからうまくいったら生体にも優しく有効な方法といえます。

自家歯牙移植の注意点・予後・失敗リスク

多くの条件が揃った場合にのみ行える治療ということに加え、再植や移植は必ずしもすべてのケースがうまくいくというわけでなく術後にトラブルを起こすこともあります。

例えば移植したけれど、歯根膜がきちんと付着せずに脱落してしまうことや、再植や移植をした歯が数年たったあとに、歯根膜の損傷した部分から、歯が溶けてむし歯になったり、骨と癒着してしまうことなどもあります。

一旦手術が成功しても歯の状態が変化する可能性が十分にあるということを理解したうえで行う必要があります。
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