犬にヨーグルトを与えても大丈夫?
ヨーグルトは犬に食べさせて大丈夫です
ヨーグルトは犬に与えることができる食材のひとつです。ヨーグルトに含まれる栄養素やその働き、犬の病気や薬との関係を具体的にお伝えします。
<INDEX>
- 犬に与えるヨーグルトは、プレーンヨーグルトを選ぶ
- 犬の乳糖不耐症はヨーグルトでは起きにくい
- ヨーグルトは腸内環境のケアや、カルシウムの補給におすすめ
- ヨーグルトの乳酸菌やビフィズス菌の種類によって期待できること
- 乳酸菌は犬の口臭対策、抗生物質を飲んでいる犬のサポートが期待できる
- 犬の間食として取り入れる場合、1日に与えていい量の目安
犬に与えるヨーグルトは、プレーンヨーグルトを選ぶ
原材料をよく見て選びましょう
ヨーグルトは犬に与えてもいい食材のひとつです。水切りしたヨーグルトも与えることができますが、成分やカロリーが凝縮されているので与えすぎないようにしましょう。ヨーグルトを水切りした時に出た水分、ホエー(乳清)を飲ませても問題ありませんが、大量に飲むと下痢をする可能性があります。
飲むヨーグルト、加糖ヨーグルト、フルーツ入りヨーグルトなどの加工品は人間の舌に合わせて味を調整しているので、日常的に犬に与えることはおすすめしません。犬の健康に悪影響がある、ぶどうやレーズンが入ったヨーグルトは与えないようにしてください。
犬にヨーグルトを食べさせる場合は、無糖のプレーンヨーグルトが好ましいですが、プレーンヨーグルトと表記されていても、原材料に砂糖やその他の調味料が含まれている商品もあります。
砂糖入りのヨーグルトが絶対にダメというわけではありませんが、肥満に繋がる可能性が高いので与える回数や量を減らすなどして調整しましょう。
砂糖不使用のヨーグルトでも、人工甘味料としてキシリトールが使用されていることがあります。キシリトールを摂ることによって体内からインスリンが分泌され、大量になると命の危険があります。原材料をよく確認して選ぶようにしてください。
犬の乳糖不耐症はヨーグルトでは起きにくい
初めて食べさせる時は、犬の様子を観察しましょう
犬が牛乳やヨーグルトといった乳製品を食べる時に、気をつけたほうがいいとされている成分が乳糖です。乳糖が分解されない影響で起こる下痢や腹痛、腹部の膨満などは”乳糖不耐症”と呼ばれています。
牛乳では乳糖が約5%含まれているため、乳糖不耐性の犬はお腹を壊す可能性が高くなります。牛乳を発酵させてヨーグルトにすると、乳酸菌の働きで約30~40%の乳糖は分解され、犬の母乳とほぼ同レベルとなるため乳糖不耐症の症状が出にくいとされています。
ヨーグルトは腸内環境のケアや、カルシウムの補給におすすめ
ヨーグルトに含まれる栄養素は?
1:腸内環境を健やかに保つ
犬も加齢と共に腸内の善玉菌が減り、悪玉菌が増えることが研究でわかっていますが、食事の内容、年齢、犬種や体格によって差があります。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌は腸内の善玉菌を増やす働きがあるので、腸内環境を健やかに保つためにヨーグルトを取り入れることもおすすめです。
ヨーグルトと不溶性食物繊維やフラクトオリゴ糖を一緒に取ることで、犬の腸内にある乳酸菌やビフィズス菌が増え悪玉菌が減ることも報告されています。
不溶性食物繊維とフラクトオリゴ糖が含まれているバナナとヨーグルトを混ぜて、犬のおやつやドッグフードのトッピングに取り入れてみてもいいでしょう。
2:カルシウムの補給に
肉や野菜をドッグフードにトッピングしたり、おやつに取り入れることが多い犬や、手作りごはんを日常的に食べている犬は、カルシウムが不足しやすい傾向があります。ヨーグルトはカルシウムの補給としてもおすすめできる食材です。
ヨーグルトの乳酸菌やビフィズス菌の種類によって期待できること
乳酸菌、ビフィズス菌の種類ごとの特徴は?
ヨーグルトの大きな特徴は乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌の働きです。どちらの菌も腸の善玉菌として活躍し、便通をよくすることが期待できます。現在お伝えできる情報はヒトに対する研究結果ではありますが、菌の種類によって期待できる作用に特色があります。
- ガセリ菌SP株
雪印メグミルク ナチュレ恵
この菌が含まれている商品:ナチュレ恵(雪印メグミルク)
- 乳酸菌クレモリス菌FC株
フジッコ カスピ海ヨーグルト
この菌が含まれている商品:カスピ海ヨーグルト(フジッコ)
- ビフィズス菌BB-12
小岩井乳業 小岩井 生乳(なまにゅう)100%ヨーグルト
この菌が含まれている商品:小岩井 生乳(なまにゅう)100%ヨーグルト(小岩井乳業)
- ビフィズス菌BB536
森永乳業 ビヒダス プレーンヨーグルト
この菌が含まれている商品:ビヒダス プレーンヨーグルト(森永乳業)
- ビフィズス菌GCL2505(ビフィズス菌BifiX)
グリコ BifiX
この菌が含まれている商品:BifiX(グリコ)
- ビフィズス菌SP株
雪印メグミルク ナチュレ恵
また、腸管内で悪玉菌を抑制する働きや抗がん作用も認められたとの報告があります。
この菌が含まれている商品:ナチュレ恵(雪印メグミルク)
(五十音順)
乳酸菌は犬の口臭対策、抗生物質を飲んでいる犬のサポートが期待できる
犬の薬やアレルギーとヨーグルトの相性は?
「ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌の働きは大きく分けると2つあり、菌そのものが腸内で働くプロバイオティクス、腸内の善玉菌の栄養素となるプレバイオティクスがあります。
腸内環境が良くなることで、便通や免疫の改善などが期待できます。
現在、犬の口臭対策サプリメントにも乳酸菌を含むものが多く見受けられます。犬の口臭は口の中の細菌数や胃腸からの匂いが原因のため、これらの改善を乳酸菌がしていると考えられます。
ただし、口臭の悪化の原因には口の中の食べかすや歯垢も影響しています。乳酸菌を取ることだけに頼らず、歯を磨くことも欠かさないようにしてください。
そのほか、抗生物質を飲むと腸内の細菌にも影響してしまう事があります。抗生物質を飲むとお腹が緩くなる犬は、ヨーグルトを一緒に摂ることで腸内環境の悪化を防ぐことが期待できます。
牛肉にアレルギーがある犬は、牛乳を飲むことでアレルギー反応が出る可能性があります。ですが、ヨーグルトの乳酸菌がアレルギーの原因でもあるタンパク質をある程度分解しているので、アレルギーを起こしにくいとも言われています。
牛肉にアレルギーがあったり、乳糖不耐症の可能性がある場合は、犬の様子を見ながら少量ずつ食べさせるようにしましょう。」
犬の間食として取り入れる場合、1日に与えていい量の目安
上記の表を参考にして、与えすぎないように注意してください。食物アレルギーはどのような食材でも反応する可能性があります。初めての食材を与える時は必ず少量ずつ与え、体調に変化がないか様子を見てくださいね。
犬にヨーグルトを食べさせても大丈夫?まとめ
- 犬にヨーグルトは与えることができる
- 砂糖不使用のプレーンタイプを選ぶ
- ぶどうやレーズン、キシリトールが含まれているヨーグルトは避ける
- 腸内環境を整えたり、カルシウムの補給が期待できる
- ヨーグルトに含まれる乳酸菌の働きで口臭の改善も期待できる
【執筆協力】
丸田香緒里 獣医師
日本大学卒。動物病院勤務後、飼い主様にもっと近い存在になりたいと思い「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士など様々な資格を取得し、病院での診療や往診の他、セミナー講師やカウンセリング、企業との製品開発など活動は多岐にわたる。
ホームページ:http://animallifepartner.com/
江崎グリコ株式会社
ホームページ:https://www.glico.com/
小岩井乳業株式会社
ホームページ:http://www.koiwaimilk.com/
フジッコ株式会社
ホームページ:http://www.caspia.jp/
森永乳業株式会社
ホームページ:https://www.morinagamilk.co.jp/
雪印メグミルク株式会社
ホームページ:http://www.meg-snow.com/
(協力会社は五十音順)