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家の買い方がさらに難しくなる4つの変化

100年人生時代に家を買うのは難しい選択となりました。4つの理由があります。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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100年人生時代に家を買うのは難しくなる

すでに日本人男性の半分は84歳、女性の半分は90歳まで長生きする時代です。21世紀に入って生まれた日本人は半分が107歳まで長生きすると予想されているなど、長寿化はいっそう進みます。

このとき、「家を買う」問題は難しさを増してきます。というのも、「100年人生」に対応した家の買い方が必要だからです。

また、日本の社会環境の変化も、家を買う問題を難しくしています。特に大きな問題は人口減少社会への突入です。

今回は「家を買う」を考えるにあたって意識しておきたい4つの変化を考えてみます。

悩み1.早く買うのも遅く買うのもタイミング的に難しさがある

30~35歳で家を買うことは、返済期間に余裕を持てる意味では正解かもしれません。しかしその家に100歳まで住む時代になったとすればどうでしょうか。30歳で70年住む家を買う覚悟はできているでしょうか。

70年ということは一戸建てなら年金生活に入ってからフルリフォームをすることになります。マンションの場合、建て替え問題に直面することになります。年金生活に入った後、ローンを組み直して建て替えるのはなかなか大変です。

一方で年金生活に入る段階で一括払いで家を買えば35年住めればいいので住む時間は短くなりますが、資金繰りは大変です。65歳まで家賃を払いながら、65歳で一括払いで買う予算を貯めることになり、かなりの綱渡りになります。

単純に早く家を買えばいい、とも遅く買えばいい、とも言えない難しさが100歳人生時代にはでてくるわけです。

悩み2.今がなんといっても超々低金利である

家を買う場合、基本的に住宅ローンを組むわけですが、今の超々低金利はここより下がる余地がほとんどないほどになっています。

マイナス金利政策が唯一私たちにメリットをもたらしてくれているのがこの住宅ローン金利なのですが、これを言い換えれば、今よりも金利が下がる条件は将来期待しにくい、ということでもあります。

高金利の時に組んだローンは低金利になったとき組み替えすることもできますが、高金利時代のままであればそのとき組んだローンは重荷となります。低金利のときに組んだ固定ローンは高金利時代になればお宝ローンになります。もしかすると今がそうなのかもしれません。

もちろん金利の動向は予見困難なのですが、購入時期を遅くすることで高金利のローンになる可能性は否定できません。これは悩ましい問題です。

悩み3.人口は減り、空き家率は上昇する

住宅ローン金利は今が絶好のタイミングだとしても、家の価格が今後は下がるとすればどうでしょうか。これまた難しい問題のひとつです。

日本人の人口が減少することはもはや避けられません。人口が減るということは必要な家の数も減る、ということです。

野村総研のレポートによれば、2033年には7126万戸ある部屋のうち2166万戸は空き家、つまり30%は住み手がいない時代がくると予想しています。(「<2017年度版>2030年の住宅市場」による)

中古物件についてはおそらく大きく値段が下がることになるでしょう。あなたが一度住んだ家を売るときは、必ず中古物件として売ることになります。新築物件は値下がりしなかったとしたら、新築を買う選択は今よりも割高な買い物になります。

将来、値段が下がる可能性がある、ということは家を買う判断をとても難しくする要素のひとつです。そしてその「可能性」は、いつ、どれくらい下がるかは分からないということです。

悩み4.住宅ローン減税はいつかは終わる

住宅ローンを組むと、所得税や住民税の減税が受けられます。これは、住宅ローン減税の制度があるからです。高額のローンを抱えて苦しい世帯に一定の優遇を与えることで、持ち家を買う気にさせるための国の政策でした。

しかし、この制度は期間限定で実施されており、いつかは終了することが示唆されています。本来は住宅ローン減税があるなしで家を買う判断をするべきではないのですが(頭金の準備状況がしっかりしており、ロケーションや間取り、値段など納得のいく物件に出会えたかどうか、を決め手とするべき)、やはり気になることも事実です。

現在の住宅ローン減税は2021年末までに居住することが条件となっています。そのあと、住宅ローン減税をどのような形で継続するのか、終了するのかは、まだ分かりません。これもまた、家を買うタイミングを悩ませる要素です。

それでもあなたは家を買わざるを得ない

今、年金生活に入っている世代であれば、「家は早く買えばいい」「住宅ローンは組めるだけ組んでおけばいい」「うまくいけば、値上がりした家を売って、より広い部屋に買い換えられるかも」という簡単な公式の世界で住宅問題と直面していました。

2010年代、そして20年代以降に家を買う世代はもう違います。しかし、「家があったほうがいい」という原則は変わりはないでしょう。

引退後、自分の家を確保しておかないと、老後に35年も家賃を払わなければならないことになるからです(65歳引退として)。毎月6万円の部屋に住むとしても、35年の家賃総額は2500万円以上です。本来の老後のための貯金と別に確保するのは困難でしょう。

家を買うための判断は難しくなっています。あなたの家の問題について、楽観的なセールストークは排除し、しっかり自分の頭で考え、納得のいく答えを見つけてください。

どんなに甘い文句であなたに家を買うことを勧めようと、一度組んだ住宅ローンを、銀行も建設会社も代わりに払ってくれることはないのですから。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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