深みと華やかさを兼ね備えた2017年の秋色
2017年春夏シーズンは、フューシャ・ピンクなど、ぱっと目を引く鮮やかなきれい色が人気を集めました。例年、秋冬シーズンの立ち上がりは、バーガンディ、マスタード、フォレストグリーンといった実りの秋を思わせる深みのある「秋色」へとカラーコーディネートの主役が変わっていきます。落ち着きと華やかさを兼ね備えた秋色は、おしゃれ心を刺激します。2017年の秋色は、例年に比べると鮮やかさの度合いが増しています。今回は、皆さまにご協力いただいたトレンドカラーに関するアンケートの結果を紐解きながら、秋冬シーズンにおすすめのカラーコーデをご紹介します。
ニューヨーク・ロンドンの2017年秋のカラートレンド
米国パントン社が選んだ2017年秋冬トレンドカラーについて、ウェブアンケート「2017年秋冬トレンドカラー、あなたはどの色がお好き?」を実施しました。ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。このアンケートは、米国パントン社の「ファッション・カラー・トレンド・レポート 2017年秋」で選定したカラーパレットを対象にしています。2017年春夏シーズンまでは、「ニューヨーク・ファッション・ウィーク」のみが対象でしたが、2017年秋冬シーズンからは、「ロンドン・ファッション・ウィーク」もレポートに加わりました。
今回はアンケートの冒頭で、ニューヨークのカラーパレットとロンドンのカラーパレットのどちらかお好きな方を選んでいただいたところ、ニューヨークは49%、ロンドンは51%と人気は拮抗してます。
グローバルなカラートレンド
ニューヨークとロンドンのカラーパレットには、共通する色があります。■全く同じ色
紺色:ネイビー・ピオニー
■非常によく似た色
鮮やかな赤:グレナデン、フレーム・スカーレット
淡いピンク:バレエ・スリッパー、プリムローズ・ピンク
ベージュ:バターラム、トースト
■類似トーンの同系色
黄緑:ゴールデンライム、ゴールデン・オリーブ
明るいブルー:マリーナ、ブルーベル
ニューヨーク、ロンドンのカラーパレットは、グローバルなトレンドを6色、そして、ローカルなトレンドを示す4色で構成されています。
ニューヨーク:洗練された印象を演出する彩度対比
ニューヨークのカラーパレットは、グレナデン(鮮やかな赤)、オータム・メープル(濃いオレンジ)、ゴールデン・ライム(爽やかな黄緑)、マリーナ・ブルー(明るいブルー)といった鮮やかな色が目を引きます。これらの色を、ネイビー・ピオニー(紺色)、ニュートラル・グレー(灰色)、バターラム(ベージュ)、タウニー・ポート(ワイン色)といった秋の定番カラーと組み合わせ、洗練された印象を演出しています。
ロンドン:伝統と新しさを醸し出す補色対比
ロンドンのカラーパレットで特に目を引くのは、ロイヤル・ライラック(鮮やかな紫)、レモンカレー(濃い黄色)の2色です。紫と黄色は補色対比の関係にあり、コントラストの強さがロンドンのカラーパレットの特徴と言えるでしょう。1番人気はネイビー(紺色)
ニューヨークとロンドンのカラーパレットの中から、それぞれお好きな色を選んでいただきました。集計結果は、上図のとおり。集計期間は、2017年4月17日~2017年9月8日。有効回答数は700。ニューヨーク、ロンドン、どちらのカラーパレットでも、ネイビー・ピオニー(紺色)が1位にランクインしました。過去のトレンドカラーのアンケートを振り返ると、下記のようにブルー系が1位にランクインしています。
- 2017年春夏シーズン:アイランド・パラダイス(明るいブルー)
- 2016年秋冬シーズン:エアリー・ブルー(柔らかいブルー)
- 2016年春夏シーズン:スノーケル・ブルー(濃いブルー)
ピンクとブルーが示唆する21世紀のカラーハーモニー
ニューヨークの2位は、バレエ・スリッパー(淡いピンク)、ロンドンの2位はブルー・ベル(淡いブルー)。淡いピンクと淡いブルーは、「カラー・オブ・ザ・イヤー2016」に選ばれた、ローズクォーツとセレニティのテーマを引き継ぐ色です。多くの人が心安らぐ優しい色を求めており、ひとつの色に集約されるテーマよりも、配色によって生まれるカラーハーモニーの重要性を示唆しています。ニューヨークの3位以下は、シェイディッド・スプルース(濃い緑)、グレナデン(鮮やかな赤)、タウニー・ポート(ワイン色)、ロンドンの3位以下は、フレーム・スカーレット(鮮やかな赤)、ロイヤル・ライラック(鮮やかな紫)、レモン・カレー(濃い黄色)というように、グローバルなトレンドカラーとして注目される鮮やかな「赤」と深みのある「秋色」が人気を集めています。
あたたかさを醸し出す、秋のネイビーコーデ
ベーシックカラーの中でもネイビーは、知的で清潔感のある色です。見た目に涼やかな寒色系なので、夏は白を合わせて爽やかに着こなすのが定番ですが、秋はネイビーの冷たい印象を和らげるカラーコーディネートが求められます。寒色系のネイビーに、レッド、ピンク、イエロー、ブラウン、ベージュ、パープルといった暖色系と組み合わせると、あたたかみのあるハーモニーが生まれます。色相差が大きいほど、メリハリの効いた配色となります。
今回は、トップスとボトムのカラーコーディネート例を6つご紹介します。
ネイビーとイエロー:補色色相配色
■ネイビーのテイラードジャケットとマスタードイエローのフレアスカート
ネイビーとマスタードイエローは、補色色相配色のわかりやすい例です。明度差が大きいのでメリハリの効いた配色になります。
落ち感と肉感のしっかりした素材の膝下丈フレアスカート。ネイビーとマスタードイエローは補色対比といって、色相差が最も大きい組み合わせ。ブラウンのフェイクレザーのサッシュベルトが付いているので、シューズやバッグをブラウンにすると、メリハリの効いたカラーコーデを楽しめます。
■ネイビーのチェック柄トップスとイエローベージュのツイードパンツ
ネイビーとイエローの補色色相配色も、低彩度の多色配色にすると、落ち着いたイメージになります。クラシックなチェック柄もトレンドのボリューム袖シャツにすると新鮮。インパクトのあるデザインですが、チェック柄に含まれるネイビー、レッド、イエロー、ホワイトなどをボトムにもってくると着こなし上手に見えます。
ツイード素材は、チェック柄と同じように英国調の趣きがあります。メンズライクな素材なので、女性らしさが香る色が正解。イエローベージュはチェック柄のネイビーと補色対比の関係になりますが、彩度が高くないのでクラシックな雰囲気で着こなしていただけるでしょう。
ネイビーとブラウン・レッド・ピンク:対照色相配色
■ブラウン系花柄トップスとネイビーのワイドパンツ
ネイビー(ブルー系)とブラウン(オレンジ系)は、対照色相配色の代表例のひとつ。ダークトーンのネイビーとブラウンはどちらも主張する色ではありませんが、色相差が大きいので、心地良いコントラストが生まれます。カーディガンやジャケットなどを羽織るとき、ノースリーブトップスは重宝するアイテムのひとつ。大きな花柄やフリルなど華やかなデザインですが、胸元を覆うデザインなのでシーンを選ばず着用しやすい一枚です。
シックなブラウンは、落ち着いた雰囲気を醸し出しますが、老けて見えることも。ネイビーとブラウンは対照色相配色といって、適度なコントラストが生まれます。思慮深いブラウンに、ネイビーのきりっとしたイメージを加えると、行動力を兼ね備えたイメージを演出することができるでしょう。
■ネイビーのボウタイブラウスとレッドの異素材MIXプリーツスカート
ネイビーとレッドも対照色相配色に該当します。鮮やかな赤を引き立てたいときは、低彩度・低明度のダークネイビーを選ぶのが正解です。
とろみ素材のボウタイブラウスは、ボウタイを外して、ノーカラーのブラウスとしてもお召しになれます。ノーカラーでシンプルに、ボウタイを結んで華やかに、着まわし上手な一枚となるでしょう。
トレンドのプリーツスカートにレースを取り入れたエレガントなスカート。異素材を組み合わせることによって、鮮やかな赤に陰影が生まれます。トレンドのデザインだからこそ、上質な素材を選ぶと、大人っぽい印象で着こなせます。
■ネイビーのトップスとピンクのストレートパンツ
ネイビーとピンクもコントラストの強い対照色相配色です。赤と違ってピンクは、ネイビーとの明度差の大きいため、お互いの色みを引き立て合うことによって、心地良いハーモニーが生まれます。
動きのあるベルスリーブも今シーズンのトレンドのひとつ。袖にボリュームがあるので、着丈や身幅をコンパクトにし、すっきりと仕上げています。広めのラウンドネックなので、インナーにタートルネックを着るなど、レイヤードスタイルも楽しめます。
幅広のストレートシルエットで、センタープレスのピシッとした折り目が存在感を放つパンツ。ピンクの甘さとしなやかな生地の風合いなので、女性らしくはきこなせるでしょう。ピンクは、2018年春夏シーズンのトレンドカラーとして注目されています。冬から春への端境期にも活躍しそうな一枚です。
ネイビーとパープル:中差色相配色
■ネイビーのチェック柄ブラウスとパープルのスカートネイビーとプラム(パープル系)のような中差色相配色は、西欧では伝統的に不調和とされてきましたが、アジアではよく見られる配色です。オリエンタル、エスニックなイメージが生まれます。
大きめのギンガムチェックでカジュアルに仕上げたオフショルダーブラウス。取り外し可能なスカーフがついているので、着こなしの幅が広がります。
深みのあるプラムとスウェード素材は、秋冬のムードを盛り上げてくれます。タックをふんだんに入れふんわりと広がるミモレ丈スカートは、女性らしさを引き立ててくれるでしょう。
ブルーの色みを含むネイビーは、光の加減でブルーの色みが強く見えたり、無彩色のブラックのように見えることもあります。6つのコーディネート例で解説したように、色相差とトーン差を意識するとネイビーならではのすっきりとしたイメージが引き立つでしょう。
【参考】
【商品画像協力】 【ガイドからお知らせ】
ウェブアンケートを活用して、カラーリサーチを実施しています。匿名でご回答いただけますので、ご協力をお願いいたします。アンケートの結果は、今後の記事に反映させていただきます。
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