子育て/自制心・我慢する力

子供の自制心を養う育て方…セルフコントロール力を鍛えるコツ

セルフコントロール力は子供にとって重要です。「我慢ができるか、できないか」「順番が待てるか、待てないか」などを子供達にどうやって身につけさせていったらいいのでしょうか?「遊びの力」を活用した自制心の育みについて、 イギリスの研究ととも解説!

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

子供が自制心を養うには、遊びの力がカギ

セルフコントロール力を子供が身につけるには?

遊び方を工夫してセルフコントロール力を身につけよう!

大人と比べると、子供は我慢が効かなかったり、自制心が弱かったりします。その力は、発達過程で会得していくものなので、大人のように自制することを子供に求めてしまうと、酷になりますが、小学校に上がるころには、ある程度の自制心はつけておきたいなと思う親御さんが多いのではないでしょうか。

実際、カウンセリングをしていても、「子供の自制心のなさ」について相談されることがよくあります。年齢が上がるにつれ、自らを律して行動する場面が増えるため、それができないと、親子ともに悩むことになってしまうのです。 子供の自制心について、悩むママが多い現況を踏まえ、どうやったらセルフコントロールが効く子になるか、そのコツをお伝えしていきたいと思います。
     

小さい頃からのセルフコントロール力は、その後も引き継がれやすい

アメリカのスタンフォード大学が行った「マシュマロテスト」について聞いたことがあるでしょうか? これは今から40年以上も前に行われた実験でありながら、子供の自制心を分かりやすく計測したものとして、今なお、引用され続けている貴重な研究データです。

対象は、当時4歳の子供たち186人。実験は、子供1人、実験者1人の1対1の形で進められました。1人ずつ教室に通された子供たちは、マシュマロが1つ乗った机の前に着席し、実験者にこう言われます。

「ちょっと用事があるので、部屋を出るから、ここで待っててね。このマシュマロは君にあげるよ。でも、私が戻ってくるまで食べるのを待てたら、マシュマロをもう1つあげる。もし1人でいる間にそれを食べたら、2つめはないよ。じゃあ後でね」

15分後、実験者が戻ると、3分の2の子はマシュマロを食べ、3分の1の子が食べずに待っていたそうです。4歳の段階で、自分をコントロールする力に差があることが分かります。

この実験はここで終わりません。この1回目の実験から18年後、追跡調査を行ったのです。幼少時の自制心の傾向が、その後、どう変化するかを調べるためです。その子たちは、すでに22歳の大人になっていましたが、なんと、4歳のときの自制心の傾向と相関があることが分かったのです。さらに、45歳になったときにも計測を試みると、そこでも同じ傾向が見られました。つまり、幼少時の自制心は、その後も引き継がれやすいということです。

ならば、幼少時にしっかりと身につけさせたいと思います。しかし、実際に「子供の自制心」をどう育んでいったらいいのかというと、なかなか難しいものです。ただひたすら、「我慢させること」を繰り返すだけでは、子供たちも欲求不満になりますし、弊害が出てくる恐れもあります。できれば、大人が取り入れやすい形で、しかも、子供がやっていて楽しい形で自制心が育めたらベストです。
 

子供の自制心を養う、昔ながらの遊び方

最近、イギリスのオックスフォード大学が行った研究が、「楽しく自制心を育てる策」を見出してくれていますので、ここでご紹介しましょう。

それは、丸い大きな円を作って遊ぶ「サークルゲーム」で、子供たちのセルフコントロール力を上げていくというもの。サークルゲームというとピンと来ないかもしれませんが、私たちが子供の頃によくやったような、みんなで床に座り、輪になって遊ぶ、あのスタイルです。

その研究では、7~8歳の子に、35分間のサークルゲームを週に2回、3か月間続けました。すると、その子たちのセルフコントロール力が、以前と比べ、明らかにアップしていたのだそうです。

特に効果的だったのが、
「このゲームはこういうルールでやるものだ」
「このルールに従ってやるように」
と言われたグループの子供たち。

同じように輪になって「サークルゲーム」をやった子でも、「これをやると、〇〇が上手になるよ」とゲームで何を達成するかを言われたグループは、そこまでの効果はなかったそうです。「流儀やルールに従ってゲームを行う」というのがカギなのだそうです。
 

子供の自制心を養うのはこんな遊び方

子供たちが輪になって遊ぶには、ある程度の人数が必要ですので、理想的には、子育てサークル、保育園、幼稚園、小学校などのセッティングが理想でしょう。円陣を組み、
  • 先生のしぐさをできるだけ正確にコピーする
  • リーダーの子を決め、その子の手の叩き方を正確にまねる
という比較的簡単なものから、
  • 既存のルールをアレンジしたゲーム(一般的には赤信号でストップだが、このゲーム内では、紫のサインが出たら手の動きをストップ、など)
  • オリジナルの規則を作り、そのルールに則って行うゲーム
のように段々と高度な内容へと変化させていくと、子供たちのモチベーションも保ちやすいと思います。

なぜこのような遊び方が自制心を育むのかについてですが、ゲームの中で、ルールに縛られることで、忍耐力がつくからではないかと考えられています。

筆者は海外暮らしが長いので、諸外国の子供の様子を目にすることも多いのですが、日本人の子供たちの方が、このタイプのゲームは得意なのではないかと感じています。日本人は、規則に基づいた行動を好む真面目なメンタリティーが土台にあるので、ルールのあるゲームを介して子供たちの自制心を育むのは、大人としても取り入れやすい方法ではないかと思われますので、ぜひお試しください。

*出典:Child Development(2017)「Rituals Improve Children's Ability to Delay Gratification」より
 
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