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フラット35「子育て支援型」「地域活性化型」とは?

固定型金利の住宅ローン・フラット35に、新たに「子育て支援型」と「地域活性化型」が加わりました。当初の金利引き下げが受けられる新制度の概要を紹介しましょう。

大森 広司

執筆者:大森 広司

マンション入門ガイド

親との近居・同居やUIJターンなどが対象になる

フラット35子育て支援型・地域活性化型とは、子育て支援や地域活性化に力を入れる地方公共団体と住宅金融支援機構が提携し、住宅取得に対する補助金などの支援策と併せてフラット35の当初金利を引き下げる制度です。

子育て支援型の対象となるのは、子育て世帯が住宅を取得するケースや、子育て世帯と親世帯が同居または近居するために住宅を取得するケースです。また地域活性化型は大都市圏から地方に移住する、いわゆるUIJターンのために住宅を取得するケースや、コンパクトシティ形成のために地方公共団体が設けた居住誘導区域内に、区域外から移住する際に住宅を取得するケースが対象になります。

いずれも利用できるのは同機構と提携し、該当する事業を実施している地方公共団体に限られます。どのようなケースが対象となるかについて、詳細の要件は地方公共団体が個別に決めることになっています。

当初5年間の金利が0.25%引き下げられる

フラット35子育て支援型・地域活性化型の金利引き下げ期間は当初5年間、引き下げ幅は0.25%です。フラット35には耐震性や省エネ性など住宅が一定の性能を満たすと当初5年間または10年間の金利が引き下げられるフラット35Sという制度がありますが、子育て支援型・地域活性化型はこのフラット35Sと併用できます。フラット35Sの金利引き下げ幅は0.3%(2017年10月1日以降の申し込み分は0.25%)なので、併用した場合は当初5年間の金利が0.55%(同0.5%)引き下げられることになります。

2017年7月時点のフラット35の金利は1.09%(返済期間21年以上、融資率90%以上の場合の最低金利)なので、フラット35子育て支援型・地域活性化型を利用すると当初金利が0.84%に、さらにフラット35Sを併用すると0.54%に下がることになります。民間ローンの変動型と比べても見劣りしない低金利といえるでしょう。

3000万円を35年返済で借り入れたケースで試算すると、下の表のようになります。35年間トータルの総返済額では、子育て支援型・地域活性化型の単独利用で約38万円、フラット35Sとの併用利用で約84万円の負担軽減となる計算です。

フラット35とフラット35子育て支援型の返済額の比較

フラット35とフラット35子育て支援型の返済額の比較



利用できる地方公共団体は全国の一部に限られる

低金利のフラット35をさらに低い金利で借りられるうえに、地方公共団体の補助金も受けられるとなると、ぜひ利用したいと考える人も少なくないでしょう。ただ、利用できる地方公共団体が限られる点は注意したいところです。

どこの地方公共団体で利用できるかは同機構のホームページに掲載されており、2017年7月18日現在では全国で78団体となっています。制度がスタートしたばかりの同5月時点の55団体と比べて増えており、秋田県や福岡県など県単位で参画している団体もありますが、まだ全国の一部といえる状況です。また子育て支援型と地域活性化型のどちらか一つだけ実施しているところや、一戸建てだけでマンションは対象外のところもあります。

マンションも対象となるケースとして例えば千葉県松戸市では、中学生以下の子どもがいる世帯が市内に住む親世帯と同居、または直線で2キロメートル以内に近居する住宅を新たに取得する場合に、最大100万円の補助金と併せてフラット35子育て支援型を利用可能としています。また大阪府貝塚市では原則市外からの転居者で、5年以上市内に在住している親世帯と近居するケースや、堺市を覗く泉州地域以外から転入するケースを対象とし、最大65万円の補助金交付も受けられます。

このフラット35子育て支援型・地域活性化型が利用できるのは、2018年3月31日までの申込受付分までとされており、予算金額に達した場合は受付が終了します。2018年度以降も継続されると思われますが、せっかくのおトクな制度なので、より多くの地方公共団体で利用できるようになってほしいものです。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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