不動産関係の仕事をしていると郊外の町まで出掛けることも比較的多いのですが、地方圏ではなくても首都圏のJR線駅前でありながら、チェーン店などは出店しておらず、ほんのわずかな個人商店しかないようなところもあります。
このような場所ではほとんど競争原理が働いていないためか、たとえばお昼を食べようとして駅前のレストランに入ったとしても、価格は東京の平均的な水準の5割増しで「味は5割落ち」のようなことも。
たまたまそのときだけ運が悪かったというわけではなく、違う町でも同じような経験を何度かしています。「だったらお店に入らなきゃいいじゃん」と思ってみても、他に何もなければ仕方がないでしょう。アタリかハズレか、入ってみなければ分からないし……。
近年は「クチコミサイト」も多くなってきましたが、駅近辺にお店がほとんど掲載されていない場合もありますし、載っていたとしてもクチコミの評価そのものが自分の好みに合うかどうかは別問題です。
また、郊外の町で地元スーパーの店先を眺めてみると、さすがに地場の農産物などは安いのですが、それ以外のモノはやたらと高いことも少なくありません。
かつて、バブルの頃にはこのような郊外にも家を求める人が多く、必死の思いで都心へ長距離通勤をする人もいたでしょうし、もちろん現在もそれを余儀なくされている人がいるでしょう。
いまでもそのような郊外まで行けば住宅を安く買うことができ、通勤の苦労と少々の生活の不便さを我慢すれば、それなりのメリットは考えられます。
しかし、周辺エリアにおけるピンポイントでの物価水準を調べておかないと、思わぬ生活コスト高に悩まされることもありそうです。
郊外に住んで、休みのたびに都心や主要駅周辺まで買い物に出掛けるような生活なら、バス・電車の交通費や車のガソリン代などでかなりの出費になることも考えなければなりません。
もちろん、郊外の自然環境は何ものにも代え難いもの。物価が十分に安く、生活の利便性も高い郊外の町はたくさんあるはずですから、事前によく調べて検討することが大切です。
>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX
(この記事は2006年7月公開の「不動産百考 vol.1」をもとに再構成したものです)
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