宝塚ファン/宝塚歌劇団 トップスターの変遷

雪組トップスター・早霧せいな&咲妃みゆ 退団(2ページ目)

雪組トップスター・早霧せいなさん、トップ娘役・咲妃みゆさんが、東京宝塚劇場公演『幕末太陽傳』『Dramatic“S”!』の千秋楽(2017年7月23日)に、宝塚歌劇団を退団。ゴールデンコンビと言われた二人の、新人時代から今に至る軌跡をたどります。

桜木 星子

執筆者:桜木 星子

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『ニジンスキー~奇跡の舞神~』

(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

プロローグから甘美な世界に引き込まれたのが、天才バレエダンサー、ニジンスキーの生涯を描いた『ニジンスキー~奇跡の舞神~』。同性愛や問題作「牧神の午後」のバレエシーンなども、早霧さんの美しさと気品で、まるで絵画を見ているような感覚。「美しい早霧せいな」を観ているだけでも充分な上に、芸術家の繊細な心の揺れの表現に圧倒され、演技力の高さを痛感しました。

『双曲線上のカルテ』では、アウトローな医師、フェルナンドを好演。クールでありながら、人間味あふれる温かいフェルナンド先生は男らしくカッコよく、スタイリッシュな早霧さんの魅力が存分に光りました。

本公演でも、当時の雪組トップスター・音月桂さん、続いて壮一帆さんの元、二番手スターとして活躍します。
『ロミオとジュリエット』ではロミオの新友、マーキューシオ。ナイフのように尖った若さゆえの狂気を熱演、熱唱しました。

早霧さんの華やかさ、存在感の大きさを改めて実感したのが『JIN―仁―』。骨太に豪快に、坂本龍馬を演じました。これ以前、またこの後も、坂本龍馬や沖田総司といった夭折の志士を何度となく演じますが、限られた時を爽快に熱く生きる役が、早霧さんにはとても似合います。

こちらもフランス版、夭折の志士と言えるでしょう。何度も出演した『ベルサイユのばら』では、男装の麗人・オスカルを。ブロンドの長い髪に軍服姿の美しさ、凛々しさは絶品。革命に燃える軍人の顔、女性としての顔の現れ方も自然。見せ場でもあるアンドレの死からバスティーユ陥落までの緊張感と高揚感は見事でした。

二番手男役でまさかのヒロインが『Shall we ダンス?』のエラ。立ち居振る舞いやドレス姿も美しく、ダンスのことでいっぱいの型物な女性を、チャーミングに見せました。

『一夢庵風流記 前田慶次』では、慶次の友人、奥村助右衛門。慶次を思えばこその苦悩を品格高く演じました。日本物はもう慣れたものですが、気品の中にも色気を感じさせ「日本物の雪組」をしっかりと受け継いでいました。


咲妃みゆ(~トップ娘役)

咲妃みゆさんは、2010年月組公演『スカーレット・ピンパーネル』で初舞台を踏み、その後、月組に配属されました。
同期生には、元花組トップ娘役・花乃まりあさん、星組トップ娘役・綺咲愛里さんらがいます。
愛称、ゆうみ。

主な舞台歴
月組時代
2012年『ロミオとジュリエット』新人公演・ジュリエット(本役・愛希れいか)*新公初ヒロイン
2012年『春の雪』綾倉聡子*バウ初ヒロイン
2013年『ベルサイユのばら―オスカルとアンドレ編―』小公女、幼少時代のオスカル
2013年『月雲の皇子―衣通姫伝説より―』衣通姫 *バウヒロイン
2013年『ルパン―ARSÈNE LUPIN―』マリ・テレーズ/カーラ・ド・レルヌ(本役・愛希れいか)*新公ヒロイン
2013年『THE MERRY WIDOW』ハンナ・グラヴァリ *ヒロイン

雪組時代
2014年『ベルサイユのばら―オスカルとアンドレ編―』ロザリー
2014年『一夢庵風流記 前田慶次』捨丸

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