うなぎ料理に匹敵する! 「なまず料理」が有名な埼玉県・吉川市
厳しい暑さが続く夏には滋養強壮のため、うなぎを食べる食文化が日本には根づいています。毎年、土用の丑の日にうなぎを味わうことを習慣としている人も多いことでしょう。うなぎは川魚ですが、川を覗くと様々な魚が水の中で暮らしています。うなぎのようにポピュラーではありませんが、鯉やなまずも食材となります。都心から約20キロ、埼玉県南東部の吉川市の中川東岸には、わずか徒歩1分足らずのエリアに数軒のなまず料理店が寄り集まる珍しいエリアがあります。今回は、「なまずの里」埼玉・吉川市のなまず推しな町の様子と、バラエティー豊かななまず料理をご紹介。
なまずをシンボルとした街づくりをする、吉川なまずの里
吉川市は江戸川や中川の水の恵みによって、稲作をはじめとして農業が盛んに行われました。市内には用水路や小川が張り巡らされ、かつては水辺でなまず捕りをする子どもの姿が絶えませんでした。網にかかったなまずは、自宅の台所に運ばれ食材となったのです。吉川市の人々にとってなまずは極めて身近な存在であったため、なまずをシンボルとした街づくりが進められました。市内を流れる大場川の東岸には、なまずの養殖池があります。1995年にはJR武蔵野線吉川駅の前に日本一大きな金色のなまずモニュメントが完成し、2010年にはイメージキャラクターなまりんが誕生しました。
2000年に埼玉新聞社が行った「21世紀に残したい埼玉ふるさと自慢の百選」では、吉川市のなまず料理がナンバーワンに輝いています。また、毎年4月上旬には、吉川なまずの里マラソンが開催されています。
驚きのメニューが並ぶなまず料理
なまずは、血抜きがうなぎに比べて容易であるため、生でも食べることができます。刺身はとても柔らかな歯ざわりで、ほのかな甘みをもっています。クセのないあっさりとした味わいは酢味噌、南蛮漬、マリネなどでひきたてられます。
天婦羅、蒲焼、照焼などにも利用され、オールマイティーな食材です。
産卵の時期には卵の煮付けのようなユニークなメニューも登場します。
そして、なまずの料理で最も個性的なのが、たたき揚げでしょう。なまずの中落ちや、骨、頭、肝を包丁で叩き、味噌で味付けし油で揚げた料理。吉川の代表的な家庭料理だったのですが、今では市内の惣菜屋で買い求めることが多くなったようです。
一品料理ばかりでなく、身や骨、肝を包丁で叩いて作った団子を味噌汁に入れた団子汁も、格好のご飯のおともとなります。
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