史上最年少プロ棋士・藤井聡太氏を育てたモンテッソーリ教育とは?
史上最年少プロ棋士・藤井聡太氏を育てたモンテッソーリ教育とは?
将棋の強さもさることながら、藤井聡太四段の類いまれなる集中力、思考力、判断力はどのようにして育まれたのか誰もが知りたいところです。
その要因の一つに幼少期にうけた「モンテッソーリ教育」があると言われています。そこで、モンテッソーリ教育の概要とその魅力について解説していこたいと思います。
モンテッソーリ教育を理解する上で需要な教育用語
モンテッソーリのお仕事「縫いさし」
例えば、下記の太字部分について、掘り下げて、説明していきましょう。
子どもの「敏感期」にあった「教具」を自由に選び、使える「環境」を整え、「提示」することで、子どもは夢中になって「お仕事」をする「集中現象」が見られます。そして、子どもが間違っていた場合も、「誤りの訂正」をするのではなく、子ども自身が気付くまで待ってあげることが重要です。
■敏感期
乳幼児期の子どもが、成長に必要な6つの要素(運動・秩序・感覚・言語・数、文化)に対し、強い感受性が現れ、特に敏感になり、その要素をどんどん吸収していく「集中現象」が現れる時期のことを言います。「敏感期」は一過性のものであり、その時期を逃すと大きな努力を必要とします。
■教具
「お仕事」の道具を「玩具」と言わず「教具」と言います。子どもが自分で持ち運びできる形、大きさであり、手触り、重さ、材質にまでこだわりがあります。また、「教具」には、子どもが「お仕事」の誤りに気付いたときに訂正できるような配慮がなされています。
■環境
子どもが「教具」を選びやすく、集中して「お仕事」に専念しやすい環境を整えることが大切です。「教具」はいつも子どもの目に触れる場所に置くことで、まだ使えない「教具」にも、好奇心を持ち、やってみようという動機付けにもなります。
また、いつも決まった「教具」が決まった場所にあると気持ちが落ち着き、片付けもスムーズなので、環境の全体構成は出来るだけ変えないようにします。
■提示
子どもが「お仕事」をひとりでするのを助けるため、丁寧に「教具」の使い方の見本を見せることを「提示」といいます。ゆっくり見せているつもりでも、子どもにとっては早く感じることも多いので、ゆっくり過ぎるかなと思うぐらいでちょうどいいでしょう。
動作を連続的に行うのではなく、一つ一つの動作に分けて見せます。そして、大切なことは、言葉では説明しないことです。情報を与え過ぎると、子どもは混乱してしまいます。一度で理解できない場合は、ゆっくりと一つずつ繰り返えすことでできるようになっていきます。
■お仕事
子どもの作業は「遊び」ではなく、「お仕事」と言います。途中でやめることができる「遊び」と違って、必ずやり遂げなければならない大切なことだからです。大人における「仕事」のように、子どもにとっても、重要で尊重されるべきものであるということから、そう呼ばれています。子どもは、指図されるのではなく自分でやりたいことを見つけ、集中して「お仕事」をし、終われば、元あったところに片づけます。片づけるまでが、「お仕事」になります。
■集中現象
子どもが「敏感期」にあった「お仕事」、つまり一番興味関心があることに出会い、何度も何度も繰り返し、夢中になって活動することです。「集中現象」を興している子どもは、自分が納得するまで「お仕事」をやめず、途中で投げ出したりしません。
■誤りの訂正
子どもも人格を持ったひとりの人間として尊重して、間違えを直接的に訂正するのではなく、子ども自身が気付くように導いてあげることを「誤りの訂正」と呼んでいます。また、間違わないように仕向けることもしないように。間違うことで学んでいきます。子ども自身による自己教育を促すということです。簡単に誤りを指摘してしまうと、すぐに大人を頼ってしまう子どもになる危険があります。
モンテッソーリ教育が育む力
モンテッソーリ教育が育む力
・自分でやりたい教具を選んでお仕事をする⇒自立心
・お仕事を終えるタイミングも自分で決める⇒判断力
・上の子どもは下の子どもの世話をする⇒責任感
・お仕事を納得いくまでやり遂げる⇒達成感
・お仕事に集中し満足感や成功体験を得られる⇒情緒の安定
・自分の感覚で自由な発想で作業ができる⇒創造力
・お仕事を繰り返しすることで、工夫することを覚える⇒思考力
そのほか、数の概念、言語能力、空間認知能力、指先の巧緻性などの力を育む様々な教具が備わっています。
モンテッソーリ教育の特徴
●集団活動ではなく、個人活動みんなで同じことをするのではなく、同じ空間で、各々が違う作業を行います。
●やらされるのではなく、自発的に
興味のあることを自分で選び、自分のペースで納得いくまで繰り返し行います。
●異年齢今後の縦割りクラス
年下の子どもは年上の子どもの活動を見て学び、年上の子どもは年下の子どもの世話をすることでお互いに学び合います。
モンテッソーリ教育の注意点
●教師・親からは動かない子どもの自主性を重んじる教育方法なので、大人は子どものお手伝いをするというスタンスで接します。子どもをよく観察し、もし子どもが困っていても、子どもが助けを求めてくるまで、こちらからは動きません。手も口も出しません。
●子どもの気持ちを汲み取る
子どもによっては、自分の思いをうまく言葉で表現できない場合もありますが、子どもの気持ちを汲み取ってあげるよう努力しましょう。
●温かく見守る
子どもが、仕事をやりたがらなかったり、仕事を途中でやめたりした場合、無理強いせず、子どもが自ら仕事を始めるまで、あるいは再開するまで、温かく見守りましょう。
次ページでは「藤井聡太四段が100個も作ったという、ハートバッグの作り方」について解説します。