お金の悩みを解決!マネープランクリニック/早期リタイア・セミリタイアしたい人のお金の悩み相談

35歳貯金3000万。激務のため50歳で早期リタイヤ希望(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、早期リタイアを希望する30代の会社員男性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 90歳の時点で2400万円近くが手元に残る

50歳での早期リタイア(一切働かないフルリタイア)についてのご相談ですが、結論から言えば、ほぼ問題なくできると考えます。

貯蓄ペースが毎月30万円にボーナスから100万円とのことですから、年間貯蓄額は460万円。これを50歳まで継続すれば6900万円。このうち、お子さんが2人となった場合の養育費(教育費を含めた、子育てすべてにかかる費用)を差し引きます。その額は進路によって大きく異なりますが、高めに設定して1人2000万円とすると、2人で4000万円。結果、実際に貯蓄できるのは2900万円ということになります。

これに退職金1000万円と、今ある金融資産の3000万円(貯蓄、投資とも目減りしないと仮定)を加算した6900万円が、50歳以降の生活資金ということになるわけです。

一方支出ですが、リタイア後の毎月の生活費は月20万円を想定されているので、老齢年金が支給されるまでの15年間で3600万円。その時点で、残りの手持ち資金は3300万円となります。

65歳以降は老齢厚生年金が支給されます。その額はこの場で算出できませんが、仮に20万円とします(夫は50歳まで厚生年金加入。妻は老齢基礎年金を満額受給と想定)。実際は、そこから税金や健康保険料が差し引かれますので、それを3万円とすれば、結果、毎期3万円が不足します。

オレンジさんが90歳まで生きるとすれば、65歳から25年間で不足額の合計は900万円。したがって、90歳を迎えた時点で2400万円が残ります。
あとは、奥様も含め、長生きによる追加の生活費、一般的な病気や介護の費用、自宅にかかる費用(修繕、改築等)が発生する可能性がありますが、それらを考慮しても、足りなくて困るということは考えにくい。したがって、希望されるリタイアについて計算上は可能ということになります。
 

アドバイス2 生活費によってはリタイア後も働くことが必要


では、懸念部分はまったくないかと言えば、2点ほどあります。

まず、リタイア後の生活費です。現在の生活費から、家賃を差し引くと33万円となります。また、ボーナスから100万円を支出していますから、それを月割りし加算すれば41万円となります。

対して、50歳以降は20万円で生活するということですから、21万円削減する必要があります。これは、それだけ生活をダウンサイジングする=レベルを下げるということを意味しますが、そう容易ではありません。ちなみに、もし41万円で生活をすれば1億80万円、先の試算に生活コストを加算しなくてはいけません。そうなると、オレンジさんが64歳のとき、資産は底をつきます。

もちろん、会社員として暮らすイギリスとリタイア後の地元・北海道での生活が、同じコストとは考えにくいですが、本当に生活費の半減は可能か。あるいは、どの程度までなら可能なのか。まだ先の話ではありますが、単なるイメージではなく、細かく試算しておく必要はあるかと思います。

また、もしリタイア後、想定以上に生活費がかさむということになったら、対処法としては、働くしかありません。アルバイトで構いません。月収で6~7万円でも、家計にとっては大きなプラス。また、働くことで、新しい環境により早く慣れるという効果もあります。オレンジさんは完全リタイアを希望されていますが、場合によってはそういう選択肢もあるということを、頭の隅に置いておくべきでしょう。

もう一つが、50歳まで勤務できるかどうか、ということです。リタイアの理由は「仕事が激務」ということ。それがどの程度かは不明ですが、まだ30代で、リタイアを意識するほどハードに感じているわけです。しかも、希望するリタイアまで、まだ16年もあります。

相当に激務であれば、途中で健康を害する可能性も否定できません。仮に、そのために収入が途絶えたら、リタイア計画そのものが白紙となります。ご自身の健康管理には十分に気をつけてほしいと思います。


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武



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