定年・退職のお金/老後の生活費と家計管理

「孤食」の多い高齢者はうつ病になりやすい?

ひとり暮らしの高齢者の人数は増加の一途をたどっています。内閣府発表の統計によると、2020年には女性451万人・男性217万人、2035年には女性501万人・男性261万人になると推計されています。ひとり暮らしになると「孤食」が増えがちです。すると、うつ病になりやすいのだとか。現役時代から、高齢期に孤食にならない努力をしましょう

執筆者:小川 千尋

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孤食がうつ病を誘発する?

ひとり暮らしで孤食の高齢男性は、そうではない男性より、うつ病になる可能性は2.7倍も高い。

ひとり暮らしで孤食の高齢男性は、そうではない男性より、うつ病になる可能性は2.7倍も高い。

ひとり暮らしで、食事もひとりでする「孤食」の多い高齢者は、うつ病になりやすいとの調査結果が明らかになりました。調査を行ったのは、東京大学の谷友香子研究員らの研究グループです。この調査によると、一緒に食事をする人がいる高齢者と比べ、ひとり暮らしで孤食の高齢者はうつ病になる可能性が女性で1.4倍、男性で2.7倍も高かったとのこと。

食事は社会的活動の場であり、単に栄養をとるだけではなく、精神的な健康を保つうえでも重要と言われています。特に、高齢者にとっての食事は人と交流する重要な役割を担っているとのこと。なのに、孤食になると、早食いになる、咀嚼回数が減る、メニューが偏る、楽しい時間ではなくなるなど、うつ病を誘発する要因が多くなるのだそうです。

うつ病の症状は人それぞれでしょうけれど、喜びの喪失、意欲の低下、思考力の低下が基本的な症状だそうです。老人性うつ病は、これに、原因不明の身体的症状(痛みや不調)を訴えるケースが多いとのこと。

高齢期の孤食を避けるために現役時代から努力を!

意欲と思考力が低下し、喜びも感じられず、しかも、身体のあちこちに痛みや不調があったら、仕事をするどころではありませんね。これから高齢者になる人たちの多くは、高齢期に「働かない」という選択はできないので、うつ病になったら困ります。うつ病で仕事ができなくなると、公的年金と貯蓄で補えない生活費をカバーできず、死活問題になりかねないからです。

それに、痛み・不調の原因探しにドクターショッピングに走ったりしたら、かかる医療費もバカにならないでしょう。何より、高齢期の生活を楽しめないのは、極めて残念なことです。

うつ病の原因は孤食だけではありませんが、原因のひとつになりえるわけですから、その原因は取り除くべきです。そのためには、現役時代から、高齢期の孤食を避ける努力をしましょう。これをすれば防げるという決定的な方法は思いつきませんが、日ごろから家族や仕事の同僚、友人・知人、近所の人と食事をする習慣を身につけておくことが必要だと思います。また、行きつけの飲食店をいくつか作り、ひとりで行く習慣も身につけて。ひとりで行って、黙って飲食して帰ってくるのではダメですよ。店主や同席のお客さんと会話しながら飲食しなければ、孤食と変わりませんから。

なお、ひとり暮らしの親御さんがいらっしゃる人は、孤食にならないよう気をつけてあげましょう。親御さんがうつ病になったら心配で仕事に集中できなくなりすし、病院に連れて行ったりで時間の自由もなくなりますから。親御さんには、近隣の人たちと会食したり、地域の会食サービス・コミュニティレストランなどを利用して、孤食にならないようにしてもらいましょう。

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