お金の悩みを解決!マネープランクリニック/マイホーム購入・住宅ローンで悩むファミリー世帯

38歳、住宅購入して頭金に500万円。貯金が減り、不安(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、住宅購入を目前に控える30代の主婦の方です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 返済期間は「30年」にするべき

住宅購入を控えて、気になるのが住宅ローンの返済期間です。35年ローンということは、完済はご主人72歳のとき。これはやはりリスクがあります。毎月の返済額を家賃並みに抑えたいという意図からかもしれませんが、家賃を返済額がオーバーしても、30年返済で組むべきだと思います。

いただいたデータで試算すると、35年返済で月額8万6000円ほど(ボーナス払いを併用せず)。これを30年返済にすれば、約9万8000円になります。これで完済は67歳のとき。そして、購入後は繰上返済を行って、少なくとも65歳、できればより60歳に完済時期を近づけるよう返済期間を短縮する。全体としては、こういう形の返済が望ましいと考えます。

確かに、不安はあるかと思います。頭金500万円を支払い、うち200万円手付けとして支払っていますが、諸費用が別途200万円発生しますので、結局あと500万円支払うことになります。一方、現在の貯蓄は540万円。一時的とは言え、一気に手持ち資金が減ることに変わりはありません。

しかし、現在の貯蓄ペースが平均して月12万円程度でしょうか。これにボーナスからの20万円を加えると年間160万円超。住宅コストが現在より増えても、4、5年で今と同程度までには貯蓄額も回復します。
 

アドバイス2 毎月10万円、さらにボーナスの半分を貯蓄に回す

では、具体的に購入後の家計を見ていきましょう。家賃に対して住宅ローンは8000円アップとなります。加えて、ランニングコストとして固定資産税を年間10万円と見ておきます。

あと、団体信用生命保険に加入されないということですが、ご主人の死亡保障をトータルで考えたとき、やはり加入した方がいいと思います。借入額や返済期間から試算して、保険料は当初は年間11万円弱。保険料は毎年段階的に下がります。35年間支払うとして、平均の月額保険料は約5000円。定期保険で同様の保障を確保するよりも、おそらく割安となるはずです。

したがって、団信に加入するとして、住宅コストは計11万3000円。それでも毎月の貯蓄額は10万円をキープできるはず。「10万円貯蓄できるでしょうか」とありますが、十分可能です。

今後、教育費が上がって、とくに幼稚園、保育園に通う時期はきびしいかもれませんが、小学校に入学すればそれも解決されます。また、教育費に合わせて、趣味娯楽費等を削るといったやりくりをすれば、それもペース維持につながるでしょう。

また、支出費目でどうしても気になるのは保険です。終身タイプの保険に2本加入されていますが、この年払い保険料が計39万円。老後資金づくり、もしくは教育資金づくりとして加入されているのかもしれません。しかし、保険商品ですから、保険料の一部は保険コストに使われています。現金で貯めた方が、流動性もあり、合理的なのです。

したがって、この2本を払済保険します。これでボーナスからの支払いが40万円近く浮きますので、少なくとも支給額の半分、50万円は貯蓄に回せるはずです。毎月の貯蓄と合わせて、年間170万円が貯蓄ペースとなりますから、10年間で1700万円。

大学費用に500万円(私立理系を想定)、それ以外の教育費(進学塾や私立高校進学など)として500万円と考えても700万円余ります。手持ちに200万円残しても500万円繰上返済ができるというわけです。ちなみに、10年後に500万円を繰上返済に充てると(手数料は考慮せず)、5年2カ月返済期間が短縮できます。
 

アドバイス3 保険に頼らなくても貯蓄があれば問題はない

学資保険はあえて加入する必要はありません。定期預金で、必要な時期までに大学費用が貯まるよう積み立てていけば十分。ただし、より確実に貯めたいのであれば、満期のある保険商品として、学資保険を利用してもいいかと思います。

保険についてはさらに言えば、奥様に保障がありません。もし持病で加入できない、あるいは保険料が割高になるというなら、未加入でも構わないでしょう。そもそも保険は万能ではありません。例えば医療費がかっても、それを捻出できるだけの貯蓄をしておけばいいのです。

その貯蓄ですが、先のペースが定年まで維持できれば、数回の繰上返済で住宅ローンを60歳完済にして、さらに10年後、20年後に発生する住宅の補修費用を支払っても、定年までに2000万円前後は現金が残るはず。それに退職金を加えた金額が、とりあえずの老後資金となります。

これで足りるかどうかは、まだわかりません。20年以上先の話ですから、不確定要素が多いのです。しかし、どのような状況でも、有効な老後対策はあります。それは、ご主人が60歳以降も働くことです。もし奥様も働ける条件等が整えば、やはり働く。収入の額よりも収入を得る、そのことが重要です。そして、そのために今から健康に留意して、毎日を明るく元気に過ごしていくことです。


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ



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