信じる前に、疑うこと!
投資において”信じる力”が重要であることを、前号でお伝えしました。「投資に欠かせない!信じる力とは?」
しかし、信じることが大事だからといって、なんでも鵜呑みにして、軽々に信じてしまっても、それは問題です。実は、信じることの前提にあるのは、”疑う力”なのです。
”疑う力”を発揮して、玉石混交の情報の中から、自分には向かないことや虚偽、誇張を除去して、自分に適した本当の情報だけを抜き取って、そして信じることが大切なのです。
疑う力とは、何なのか?
”疑う力”のコアとなる、3つの疑問文をあげてみました。
その情報は、ウソなのではないか?
いつの時代にも「日本株暴落」を唱える人がいるものですが、初めてそれを聞いたそのときは、大変なときに投資を始めてしまったと後悔するものです。
しかし、何年か経つと、暴落などする気配もなく、やはり長期でつみたて投資をしていれば、利益を築くことができました。それでも、暴落を唱える人は、今でも同じことを言い続けています。
暴落説は予測なので、ウソではありません。しかし、狼少年のごとしですね。いつか来るかもしれないことを、明日来る、来月来る、来年来るというのですから。こんな極論にだまされてはいけません。
その情報は、故意に加工された虚偽ではないか?
株価が順調に上昇しているから、今のうちに投資しないと乗り遅れるとあおる人がいます。確かに、株価は上昇していますが、その理由が問題です。本当に株高を維持できる基調ができているのでしょうか。
もし、今の株高が、単にドル円相場の円安傾向だけに影響されたものであるのなら、その株高は長続きしない可能性があります。しかし、意図を持って情報を加工しようとする人は、円安で株高になったという構図を隠して、独自のシナリオを創作して、人をミスリードするのです。
その情報は、致命的な何かを隠して作られた虚構ではないか?
老後の生活に5000万円が必要だと脅かす人もいます。その極論に接すると、絶望的になったり、ヤケになったりと、誰もが冷静ではいられません。
確かにそのような試算は可能なのですが、大事なのは前提条件です。物価上昇率は適切なのか?公的年金の見込み額は適切なのか?健康保険制度は維持できているのか?
いくつかの重要な試算条件を確認しないまま、安易に信じてはいけない数字です。心に余裕を失うと、資産運用や投資などを前向きに続けられないからです。
”疑う力”を養う方法は?
つまらないウソや、虚偽、誇張を簡単に信じてしまうと、投資がうまくいかないばかりか、貴重な人生設計を誤ることとなりかねません。どんな常識でも、疑ってみること、批判してみることが大切です。ましてや投資をしようとする人であれば、固定観念や先入観を機敏に消し去る知性と精神力が必須です。
では、どのようにしたら、”疑う力”を身につけることができるのでしょうか?私は、以下のようなアクションと習慣で、”疑う力”を養うことを、お客様にオススメしています。
・その反対を考えてみる
株価上昇と勧誘されたら、実は下がるのではないかと反対の可能性を考えてみる。円安と騒ぎ出したら、円高ではないかと邪推してみる。
・裏付けを取るように努力する
米国の株価はどんな時代も右肩上がりでしたと言われたら、「そうなんだ」と無批判に信じずに、自分でデータから検証してみる。
・情報が真実と結論づけられない条件を考え出してみる
この銘柄は有望と勧誘されたが、株価が上昇しないとしたら、どんな理由や因果がありうるか、想像してみる。たとえば、人手不足や資源高騰が理由で、業績が失速してしまうとかの事態を考えてみる。
・自分の中にある思い込みを探してみる
有名な経営者のいる会社は優良な投資先であるというのは、思い込みです。経営者が凡庸でも無名でも、良い会社は良い投資先です。自分の思い込みこそ、疑ってみましょう。
・虚偽を発信している人の動機を想像してみる
世界の金融システムの崩壊を予測する人がいるが、その人は何で収益を得ているか、想像してみる。
ご自身の”疑う力”を強化して、投資力を高めてください。