宝塚ファン/宝塚歌劇団 トップスターの変遷

宙組トップ娘役・実咲凜音―退団(3ページ目)

宙組トップ娘役・実咲凜音さんが、ミュージカル・コメディ『王妃の館 -Ch?teau de la Reine-』、スーパー・レビュー『VIVA! FESTA!』の千秋楽(2017年4月30日(日)東京宝塚劇場)に宝塚歌劇団を退団しました。略歴や舞台歴をまとめるとともに、新人時代からの活躍を振り返ります。

桜木 星子

執筆者:桜木 星子

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実咲凜音の魅力

『エリザベート』

(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

東千晃さん(元雪組、元星組トップ娘役)や紺野まひるさん(元雪組トップ娘役)を彷彿させる楚々とした美人の実咲凜音さん。在団期間の半分以上を、トップ娘役として活躍しました。

近年のトップ娘役の中では抜群の歌唱力の持ち主で、エトワールは4度も経験し、ショーでも一人で歌う場面が多かったです。中でも、『シトラスの風』や、実咲凜音ミュージック・サロン『Million Carat!』で披露した『ジャンニ・スキッキ』のアリア、「O mio babbino caro」の伸びやかな歌声は、鳥肌が立つほど素晴らしいものでした。

役に合わせて歌声のトーンを変えたり、台詞から歌へのチェンジも自然。自由自在に音を奏で、どんな高音を出しても、歌っている顔は涼しく美しく、まさに歌姫。『王家に捧ぐ歌』や『エリザベート―愛と死の輪舞―』といった、娘役が歌う比重のとても高い作品が上演できたのも、実咲さんの歌唱力あってのことでしょう。

宝塚では男役が主演をすると決まっていますが、原作では、または外部の舞台では主役となるマリー・アントワネット、アイーダ、エリザベートなどの大役を次々と演じたのも、特筆すべき点。スレンダーな体形ながら凛とした姿で、堂々とパワーあふれる舞台を作り上げました。

明るくて爽やかで、可愛らしい役から大人の役まで何でもござれの娘役ですが、演じるどの女性にも、優しさと気品がありました。そしていつも感じるのが、丁寧できめ細やかな演技。だからこそ男役たちが、より豪快に演じる事ができるのでしょう。

花組時代に芽を出し、演技巧者、凰稀かなめさんに育てられ、旧知の仲、朝夏まなとさんと共に大きい花を咲かせた実咲凜音さん。誠実に咲かせた花は実となり、後進という若い芽も育てました。
清く正しく美しく――。実咲凜音。そのままの娘役でした。

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