公的年金額は、毎年、ルールに則って改定されている。
年金額が減ったのは物価が下がったから!
老後の生活費のメイン収入源である公的年金額は、毎年4月に改定されます(振込は6月から)。年金額の改定にはルールがあり、物価変動率、名目手取り賃金変動率、マクロ経済スライドによる調整率を参考に決められます。現状では、マクロ経済スライドによる調整(減額)は行われないルールなので、今年度は、物価変動率と名目手取り賃金変動率を参考に改定されました。2017年度の参考指数は、物価変動率▲0.1%、名目手取り賃金変動率▲1.1%でした。両方ともマイナスで、名目手取り賃金変動率が物価より下がった場合は、物価変動率で改定されることになっています。つまり、物価が0.1%下がったので、年金額も0.1%減らしたということです。
年金額は増えにくい!?
物価と年金額が連動していれば、年金額の実質的価値は保たれます。しかし、2021年4月から、物価変動率が上がっても、名目手取り賃金変動率が下がれば年金額も下げられます。つまり、現役世代の賃金が減った痛みを高齢者にも分かち合ってもらうということ。また、現状では物価が下がったときはマクロ経済スライドによる調整は行われないルールですが、2018年4月から、このルールが変わります。物価が下がったら、今まで通り調整は行わないけれど、物価が上がったらまとめて数年分を調整することになります。つまり、減額分を繰り越すということです。
物価と現役世代の賃金、年金額の関係の見直し、そして、マクロ経済スライドによる調整の繰り越し――今後、年金額が増えるかどうかは、現役世代の賃金と物価の上昇にかかっているわけです。物価は上昇しそうですが、賃金は上がりにくそうですね。ですから、年金額は増えにくいと思われます。それだけ、自助努力の重要性が大きくなっていくということですね。