買主がいるようにみせかける「限定チラシ」

マンションや戸建てに投函されるチラシは、不動産会社にとっては重要な営業ツールです。しかし、度を超した量のチラシや内容がいたるところで問題視されています。今回は限定チラシについて解説していきます。

まずは下記のような内容のチラシを目にされたことはありませんか?これがいわゆる「限定チラシ」と呼ばれる不動産会社のチラシです。

■例1:「○○マンション限定でお探しの方がいらっしゃいます!」
お客様は現在、関西の某大手メーカーにお勤めです。この度、長年の念願がかない、転勤で生まれ育ったこの街に戻ってくることになりました。近隣にご高齢のご両親がお住まいで、目が行き届くこちらのマンションを是非購入されたいと希望されています。

予算は○○万で広さは70平方メートル以上。間取りは3LDKをご希望ですが、リフォームをする予定なので、現状の間取りは気にしません。本気でお探しのお客様ですから、冷やかしでのお問い合わせはご遠慮願います。

■例2:「〇坪以上の土地を探しています!」
大手法人が社員寮として広めの土地をお探しです。社員寮なので、駐車スペースを作る必要はなく、道幅は狭くても構いません。予算については○億ほど確保されていますが、決算期が近づいているため、良い物件なら大幅な予算アップの可能性もあります。

手紙

信憑性をもたせるため、直筆の手紙であるケースもあります


限定チラシに記載されている金額は、一般的な相場よりも、1割2割高目で金額が表記されてます。「売却を検討中でどこの不動産会社に依頼するか考えている」「良い金額で売れそうなら住み替えも考えてみよう」と、どこの不動産会社に売却を依頼しようか迷っている人にしてみたら、魅力的なオファーに感じます。

しかし、チラシに書かれているようなお客さんが本当にいるのかというと、実際はいないことの方が多いのが現状です。

いるはずのないお客さんの限定チラシを投函するのはなぜ?

限定チラシ

限定チラシを投函するのはなぜなのか?

オーナーさんから売却依頼をどれだけ受けたかに大きな影響を受ける不動産会社の編み出した広告、それが限定チラシです。

「売主さん、求む!」「売り物件を探しています!」といったどこでもみかける画一的な内容よりも、「こんな物件探しているお客さんがいます!」と内容に具体性があればあるほど、チラシの効果は高まるのです。

このようなチラシが、頻繁に自宅ポストに投函されていると、「うちのマンションは人気があるな」「随分、たくさんの人がこの地域に住みたいと考えてるんだな」と考えます。当初はまったく売る気はなかったとしても、毎回のように限定チラシが投函されているのを見ると、いつしか「本当かもしれない」と思い査定を頼んでみようと考えてもおかしくありません。

「チラシに書いてある条件とは少し違いますが我が家はどうでしょうか?高く買って下さるなら売却を検討したいです」と、チラシの内容を鵜呑みにしたオーナーさんから逆アピールが入ることもあります。

だから不動産会社は、いるはずのないお客さんの内容を書いた限定チラシを、投函するのです。

限定チラシのその後

チラシ

チラシの内容はさまざま

しかし、限定チラシがもとで売却依頼を取り付けたはいいですが、チラシに書かれた内容のお客さんが実際にいるわけではありません。どこかでつじつまを合わせる必要があります。そうしないと大きなクレームにもなりかねません。

その際、どのように対応するかというと、「お客さまに物件の詳細を伝えさせて頂いたのですが、残念ながら少し条件と違ったようです」「会社の予算が上がってこなくて断念されたようです」と、適当な理由をつけて、ダメだった旨を伝えるのです。

売れることを信じて売却を依頼した売主としては、計画が狂ってしまいます。チラシ記載の条件以外で売る気がなければ売却を取り下げれば済みます。しかし、そのままの流れで売却活動を行ってしまえば、いずれは売れるかもしれませんが不本意な値下げに応じなければならないもしれません。一度売却のレールに乗ってしまうと、相手もあることなので途中下車は難しいのが現状です。

たまに本当の「限定チラシ」もある

分譲マンションではよくあります。欲しい部屋があったけれど、他の人に先を越されてしまった場合、購入意欲も盛り上がっていることもあり、「同じマンションが出ればすぐ買うよ!」というケースがそうです。よくある文面は下記のとおりです。

■例
○○マンションにお住まいの皆様へ

一足違いで買いそびれてしまったお客様が同マンションで他のお部屋をお探しです。3LDKタイプが希望です。お部屋の状態によりますが、金額は○○万までなら検討可能です。本気でお探しです!ぜひご一報ください!

過度な期待はNG

しかし、実際のところ、本当にこのようなお客さんがいたとしても、チラシを見た段階でその真偽は分かりません。また、このチラシの結果、同じタイプの物件が出たとしても、お客さんが本当に購入するかどうかは分かりません。つまりどんなケースにしろ、限定チラシに過度の期待はしてはいけません。


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