手紙の書き方・文例

「そちら様」は正しい敬語? 注意したい意味や使い方

相手側を呼ぶ際に用いる敬称の「様」の使い方にもいろいろあります。名前に付ける以外に、例えば「そちら様」などの表現をメールなどで目にすることもありますが、この使い方は正しいでしょうか?「様」の使い方を見直して、正しい敬語表現を学びましょう。

井上 明美

執筆者:井上 明美

手紙の書き方ガイド

「そちら様」「あちら様」は正しい敬語?

「そちら様」は正しい敬語? 注意したい「様」の使い方

敬称としてよく使われる「様」のいろいろ、どのような意味をもつのでしょうか

「鈴木様がいらっしゃいました」などの「鈴木様」は使い方に迷うということはまずありません。

しかし、「そちら様」、「あちら様」などの「様」は、使っているけれど、どのような意味なのか、正しいのかどうか迷うということもよく聞きます。
   

「そちら様」とはどういう意味?

まず、「そちら様」の「そちら」というのは「そこ(そっち)」「その」などを丁寧に、改まって述べた表現です。

「カタログはそこの棚にございます」→「カタログはそちらの棚にございます」
「その商品は入荷したばかりです」→「そちらの商品は入荷したばかりです」

一方「様」は、人または団体名などを表す言葉に付いて、尊敬の意味を表す言葉、敬称です。「鈴木様」「○○会御一行様」などの例がそうです。

ですから、「そちら様」というのは、「その人」を改まって述べた尊敬語の意味をもちます。「そちら」だけでも、「その人」の意味はありますが、そこに「様」が付くことで、より敬意の高い表現になります。

このような例は正しい使い方ですが、以下のような表現はよく問題になります
 

気になる注意したい「様」の例

問題になるのは「お名前様、おところ様、お電話番号を頂戴できますか」というような表現です。

こちらは「頂戴する」の部分は、適切か不適切か諸説あるようです。「頂戴する」を「(~ていただく」と解釈して、「(教えて)いただけますか」の意味だと考えればわからなくもありませんが、「教えてください」のみのほうが、誤解もなくスッキリする感はあります。

「お名前様」は「お名前」のみで「名前」に「お」が付いた尊敬語になります。ですから「様」は余計です。

「おところ」の「ところ」は住所、住居の意で「おところ」で尊敬語の意をもちます。漢語で表すならば「住所」→「ご住所」です。

それらをふまえて言い換えるならば、「お名前、ご住所、お電話番号をお教えいただけますか」が適切でしょう。

相手側を表す敬称は、よく使う言葉ですから間違えのないよう注意しましょう。

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