様々な産地別カカオのチョコレートバーをいただきますが、以前からよく手にとっていたのが、ベトナム産カカオを使ったチョコレート。フルーティでリフレッシングな酸味があって、仕事途中に気分を変えたいときなどにも最適なので、よくバッグにいれて持ち歩いています。
そうだ。ベトナムへ行こう!
以前からチョコレートを通じて親しみを感じていたベトナム。時間をとっていつか訪れよう、と考えていましたが、ある日、そうだ、ベトナムへ行こう!と思い立ったきっかけは、ベトナム航空の素敵なニュース(羽田ーハノイ線エアバスA350-900型機導入)でした。美しいブルーの最新機種。最新の設備が整った機内。美しいなぁ、ベトナムへ行くなら絶対にこの便で行こう、と私は心に決めたのでした。そしてさらに私の背中をどん、と押したのは、もう一つのとびきり素敵なニュース。
なんと3月26日の新機種初就航時に、搭乗者全員にベトナムで人気のチョコレートブランド「Marou(マルゥ)」のチョコレートをプレゼントしてくださる、というのです!なんて素敵なエアライン!!
機内のみんなが、美味しいチョコレートを持ってベトナムへ行く。ああ、もう想像しただけで私はハッピーになって、初就航当日に羽田からハノイを訪れることを決めました。
記念すべき初就航日にベトナムへ
初就航の3月26日、羽田空港へ。搭乗ゲートでは、搭乗者全員(全員ですよ!)に、2枚のチョコレートが入ったオリジナルトートバッグが配られました。私も受け取りましたが、フライト前に受け取るチョコレート、想像以上にうれしいものです!機内に乗り込む足どりは自然とスキップに(笑)。1枚はベトナム航空らしい、ブルーの「ラムドン」です。
一緒に乗り込む搭乗者の方々に目を向けると「ショコラー!」と笑顔になる外国人女性や、「チョコレートだね、うれしいねー」と目を輝かせるご家族など、みなさん、ハッピースマイルで次々と機内へ向かいます。
機内ではゆっくりチョコレートタイム。ベトナム産カカオのベトナムメイドのチョコレートだからこそ、旅への気分が高まります。
機内で約6時間、チョコレートファンにはお馴染みのベトナムに到着です。今回私は、ハノイとホーチミンを訪れましたが、ここでは特にホーチミンの「MAISON MAROU(メゾン マルゥ)」について、また、そのカフェでしか出会えないチョコレートのケーキを中心にご紹介しますね。
メゾン マルゥへ
Marou(マルゥ)といえば、ベトナムのビーントゥバーチョコレート。日本でもクラフトチョコレート、ビーントゥバーチョコレートファンにはお馴染みですね。 ベトナム国内のカカオ農家と直接取引。ベトナム産カカオを使って、チョコレートになるまでの全ての工程をベトナム国内で行います。 マルゥのアイコンでもあるパッケージを刷るのも、チョコレートを包む作業も、とにかく全てがベトナムで行われています。創業者のお二人は、フランス人。日系フランス人で元銀行員のサミュエル(Samuel Maruta)さんと、フランス出身でサンフランシスコの広告代理店のクリエーターだったヴィンセント(Vinent Mourou)さんがホーチミンで出会い、意気投合し、2011年に設立したブランドです。Marou(マルゥ)は、お二人の名字を組み合わせて作られたブランド名です。
2016年5月、ホーチミン市内にオープンしたMAISON MAROU(メゾン マルゥ)です。手前にバイクがいくつも見えるのが、ホーチミンらしい風景。ホーチミン市内はバイク利用人口が多く、お店の前の道にも、バイクがひっきりなしに通ります。 広々とした店内。中央には、日本でも販売されている定番チョコレートバーをはじめ、日本未発売のボンボンショコラのセットなどが並んでいます。ボンボンショコラの素材は、カカオからフルーツ、ナッツ、ハーブに至るまで、全てがベトナム産。 日本では販売のない、限定チョコレートバーも販売されています。「EXCLUSIVE BARS」というラインナップで、時期ごとに限定生産されるものなので、お土産によいですね。写真奥のホワイトチョコレートはベトナム産カカオのカカオバターにジャスミンで香りをつけた「ジャスミンティ ホワイトチョコレート」です。
カフェスペースでチョコレートケーキ
連日カフェスペースへ出かけて、半袖とサンダルでなんだかのんびりしてしまった、MAISON MAROU。カフェスペースには、色々なお席があって、飽きませんでした。電源もあちこちにあって、PCでお仕事をしている方々も。チョコレートドリンク、ベトナム産コーヒーなど、壁にメニューが表示されています。そんな中、私の目を惹いたのは、ケーキの数々。
どのケーキもヴィジュアルが洗練されていて、むむ……これは!と反応した私は、気になるものをいくつかオーダー。是非シェフとお会いしたく、特別にお願いをして、しばし楽しいお話タイムとなりました。
マルゥでケーキ、ボンボンショコラを創っているのはフランス人パティシエールのステファニーさんです。
彼女はフランス人シェフMichel Roux(ミッシェル・ルー)氏がダナンのラグジュアリーホテル「インターコンチネンタル・ダナン・サン・ペニンシュラ・リゾート」にオープンした「ラ・メゾン 1888」でシェフパティシエとして活躍した経験の持ち主。ご家族は4世代パティシエで、「私のボンボンショコラやケーキのレシピの基礎はミッシェル・ルーから学んだものと、家族から学んだものです」とお話してくださいました。
コーヒーフラワーポット
私が最も気に入ったのはこちら。ベトナムは世界有数のコーヒー生産国。ベトナム産コーヒーを使ったチョコレートケーキです。
カカオ分65%のマルゥのクーベルチュールで、鉢の部分も、お花の部分も手作り。コーヒーの入ったクリームのほか、クランブル、中には少しガナッシュも。ポットのふちにはカカオニブがあしらわれています。洗練されたヴィジュアルデザインは、ステファニーさんによるもの。スプーンできれいに食べられて、最後はカップ部分のチョコレートを堪能できます。
ホワイトエキゾチックムース
ホワイトチョコレートを使ったムースです。伝統的な竹細工を思わせる、繊細なパーツ、ジャスミンを模したお花。きれいです。ムースの中にはパッションフルーツのコンフィチュール、フレッシュマンゴー、マドレーヌ生地が少し。ステファニーさんいわく、「オールベトナミーズ(全てベトナムのもの)」。
エクレールは存在感、サイズ感がよいです。マルゥのチョコレートを使ったクリームがサンドされ、中には小さなチョコレートがいくつか入っています。ベトナム産カカオの風味が広がるエクレールです。
それからレジの横にあるのが、ポップコーン。ビーントゥバーチョコレートをポップコーンにコーティングしたのはステファニーさんのアイディアです。フルーティなチョコレートが、意外と塩気にマッチ。私は機内に持ち込み、映画を観ながらいただいて帰りました(笑)。
ホーチミンへお出かけになる機会があればぜひどうぞ。
カカオが育つ国のカフェ
3月末ですが、私は毎日半袖。一歩お店を出れば、みんな半袖かノースリーブ、足元は素足にサンダルです。そう、ここはカカオが育つ国、ベトナムの南部。メゾン マルゥの店内でカカオの木がすくすくと健康的に育っています。
日本ではちょっと考えにくいのですが、ディスプレイのカカオは、さっきカカオ農園から運んできたばかりの、本物のカカオポッド(カカオの実)!
カカオは暑い国でいきいきと育っているんだ、チョコレートの生まれ故郷は、こういう暑い国なんだ、と、ここに身を置いていると、実感します。
DATA
MAISON MAROU(メゾン マルゥ)
167 Calmette
Nguyen Thái Bình
Quan 1
Ho Chí Minh
MAISON MAROU WEBサイト
ベトナム航空もベトナム産カカオに注目
東京/羽田~ハノイ線(最新機種、エアバスA350-900型機)初就航記念に、ベトナム産チョコレートを搭乗者全員にプレゼントしたベトナム航空。ベトナム航空の方にお話を伺うと、「ベトナムのフードはとても人気がありますが、さらに最近ベトナムのプロダクツとして人気が高まっているカカオ・チョコレートに注目していただくことで、ベトナムに興味を持っていただきたいと考えました」とのこと。初就航記念の、お洒落なサービスだと思います。
新機種は天井が高く、機内が広く感じ、ホスピタリティ溢れるサービスに心あたたまりました。私は、ベトナム航空の女性客室乗務員さんの制服が好き。アオザイのデザインは、ブルーのシフォンのドレスのよう。ふわりと裾が歩く度に揺れて美しいです。旅って、目的地に到着するまでの気分も、大切ですよね。
帰りはホーチミンから成田まで、約5時間半のフライトでした。機内にはもちろんベトナム産カカオから作られたチョコレートを持ち込んで。カカオが育つこの国へきっと私はまた旅に出ると思います。
■取材協力 Vietnam Airlines (ベトナム航空)