そもそも「怒り」って? 怒りが抑えられない理由とは
怒りの感情のない人なんていません
心をコップに例えてみましょう。コップの中には、普段から「悲しい」「寂しい」「むなしい」「つらい」「不安」などの、いわゆるネガティブな感情が溜まっているのです。この感情がコップから溢れたとき、悲しさやつらさではなく、怒りという感情が出てくることがあります。これが、怒りが「防御感情」と呼ばれる理由です。特に新しい環境では不安な気持ちがわきやすくなり、防御感情である怒りの気持ちも起きやすくなります。怒りとの上手な付き合い方を、詳しく解説しましょう。
歯止めが利かない…人間関係をも壊してしまう「怒り」の感情
怒りの感情を露わにすることは、自分の思いを伝えるコミュニケーションの一つでもあります。しかしこの怒りのエネルギーを上手くコントロールできない場合、せっかくの人間関係を壊してしまう恐れもあります。怒りには次のような特徴があります
- 怒りの対象が身近ほど強くなる
- 感情をむける矛先が変わることがある
- 伝わり広がっていく
- 高いところから低いところに流れていく
特に、怒りの対象が身近な場合に起こり得るのが「八つ当たり」。その対象は、人であったり、物であったりさまざまですが、関係ないものに当たってしまうのは、その怒りを上手にマネジメントできていないからです。
「怒り」をコントロールするには、まず分析が必要
怒りの感情は消すことができないので、心理トレーニングによって上手に付き合い、管理していけるようになることが大切です。そのためにまず必要なのが「分析」です。怒りの強度や持続性、頻度、攻撃性、耐性、また自分、他人、物どこに攻撃対象があるのかを分析してみましょう。怒りの背景にネガティブな感情があることに気づき、その感情を除くことができれば、それが解決に繋がるかもしれません。
最初の心をコップに例える流れで解説すると、解決のポイントは「心のコップを大きくする」か、「コップにその感情がたまらないようにする」かです。具体的な方法をみていきます。
- ネガティブな感情があれば、その理由と解決できるかどうかを考えてみる
- 他のことを考えて、ネガティブな感情を減らす
- 適度に体を動かして、ネガティブな感情から注意をそらす
- 自分の経験や価値観、人生に基づく「~するべき」は、他人とは異なることを自覚する
怒りを静める「6秒ルール」のやり方と効果
6秒ルールとなかなかできないけど、「~べき」から「OK」に
6秒ルールのやり方はとても簡単。心の中で「1、2、3、4、5、6」とゆっくり6までの数字を数えるだけ。嘘だと思う方も一度試してみてはいかがでしょうか。とにかく、怒りのピークが来る6秒以内を上手くやり過ごせばよいのです。
他にも、怒りを抑える方法を5例ほど、挙げてみます。
- 好きな言葉を思い出して、呪文のように唱える……般若心経、座右の銘、映画の登場人物のセリフや魔法使いの呪文、アニメのキャラクターのセリフ、変身呪文など
- 怒りの程度を数字化する。怒りを熱く語るなら、温度計をイメージして100℃で湯気が出ているのか、40℃程度でちょっと熱いのかなど、今どの程度の数字なのか考えてみる
- 怒り心頭、はらわたが煮えくり返る、堪忍袋の緒が切れる、腹が据えかねる、むしずが走る、怒りで絶句、怒りの持って行き場がないなど、怒りを文学的に表現してみる
- 緊張を解くのと同じで掌に好きな言葉を書く。指を使うことで気がまぎれるかもしれません
- トイレなどに行き、その場を一旦離れてみる
自分自身の周りには、変えられることができるコントロール可能な部分と、変えることができないコントロール不可能な部分があります。さらに重要であるか、重要でないかの違いもあります。
つまり、本当に怒りを伝えて変えなければならない部分は、「重要で、変えることができて、コントロール可能」なものに対してだけ、とも言えます。変わられない部分に怒りを感じても変化はあまり期待できないでしょうから、6秒ルールなどを使って怒りを鎮めたり、日頃のリラックスが重要になります。
自分と自分の周りの環境が良い方向に向かうよう、怒りを上手くコントロールしてみましょう。
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