アドバイス1 予定外の支出も受け入れていく
ご相談拝見いたしました。現状の収入でよくここまで貯蓄を増やしたと思います。なかなかここまではできません。本当によく頑張っています。したがって「もっと節約できそうな箇所」との質問ですが、ほぼありません。食費やその他の生活費も、工夫をしてコストを抑えているのが文章からもよくわかります。節約の余地があるとすれば、通信費でくらいでしょうか。スマホもしくは携帯の契約プランの変更や格安スマホへの切り替えなどでコストを下げることは可能なはず。しかし、それも緊急に取り組むべきレベルではないと思います。
それよりも気になるのは「予定外の支出があるとショックを受ける」ということ。もちろん金額や支出の内容にもよりますが、具体例としてあげている医療費などは、体を休めて、また元気な状態に戻すための、いわば必要経費。ショックを受ける必要はまったくありません。そもそも節約プランや資金計画は、100%自分が思い描くとおりにはいかないもの。そういう事態も受け入れながら、次の月からまたしっかり家計管理をしていけばいいのです。
アドバイス2 もっとも大事な資本は「自分自身」
今の生活に節約が欠かせないことは確かです。支出することが怖いという気持ちがあるとしても、それは理解できます。しかし、そういう意識が過度になることは避けなくてはいけません。節約が脅迫観念のようになっては、それこそ慢性的なストレスを抱え込みます。相談者のひよこ姫さんにとって、もっとも大事な資本は貯蓄ではありません。自分自身です。たとえ貯蓄が大きく減っても、自分という人的資本さえしっかりしていれば、貯蓄はまた増えていきます。貯蓄でもっとも重要なのは継続ですが、もし自分が精神的にきびしくなったり、病気で倒れてしまっては、その継続ができず、やがて貯蓄は底をつくでしょう。
その意味で、生活を楽しむために多少支出が増えてもいいと思います。楽しむことが明日への活力になるからです。「もっと趣味や食事、洋服代に使いたいができない」とのこと。ひよこ姫さんならば、大丈夫です。予算さえ決めれば、今より支出が多少増えても気にする必要はありません。それはいわば自分への投資です。老後まであと何年あるでしょうか? 60歳としてもあと20年近くあります。まだまだ長丁場です。継続して貯蓄をするためにも、自分にも投資をしてください。
アドバイス3 勤務先の経営状態悪化は最大のリスク
もうひとつ、転職活動を準備中とのことですが、ぜひ進めてほしいと思います。現在、勤務先の状況が良くなく、ボーナスも支給されなくなる可能性もあるわけですから、考えてみれば家計にとってこれ以上の大きなリスクはありません。おっしゃるとおり、年齢的に簡単ではないかもしれません。しかし、年齢がハンディならば、行動は早いに越したことはないはずです。焦る必要はありませんが、ラストチャンスという気持ちで取り組んでいいのでは。活動エリアを広げるのもいい考えだと思います。
以前は、転職には「35歳の壁」があるなどと言われていましたが、今はその年齢も確実に上がっています。できれば正社員を目標に、あきらめず、可能な範囲で具体的に動き始めてください。
相談者「ひよこ姫」さんから寄せられた感想
嬉しいかつ優しいアドバイスありがとうございました。この中で一番印象に残った言葉は、「一番大事な資本は自分自身」です。確かに収入の低さや雇用の不安定から「貯蓄」にばかり目がいってしまっている自分に気が付きました。また、あまりにも貯蓄に神経質になると体調を崩してしまうリスクにも気づきました。今回のアドバイスをもとに、もう少し自分を大切にしていきたいと思いました。貯蓄も無理しすぎないように気をつけます。転職活動も厳しいですが、自分自身を信じて頑張っていきます。教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
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