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知っておきたいリバランスとリ・アロケーションの違い

分散投資において、もっとも重要なメンテナンス作業は、「リバランス」です。そして、「リバランス」に似て非なるものに「リ・アロケーション」があります。今日は、この二つの違いをご説明しながら、最新のアロケーション(資産配分)をご紹介したいと思います。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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分散投資の肝は資産配分にあり!

分散投資において、もっとも重要なメンテナンス作業は「リバランス」です。そして、「リバランス」に似て非なるものに「リ・アロケーション」があります。今日は、この2つの違いをご説明しながら、アロケーション(資産配分)をご紹介したいと思います。

結論から先に書きますが、分散投資の肝は資産配分にあり、最初の理想的資産配分に戻すことが「リバランス」、理想とする配分を変えることが「リ・アロケーション」です。

リバランスとは復元!

2001年に、私が国際分散投資を始めたとき、理想の資産配分を「日本株:米国株=30:70」と定めました。しかし、価格が日々変動するリスク商品である以上、その比率は固定されていません。価格変動に応じて、配分も変わってしまいます。その頃は、日経平均が7,600円(2003年3月)に向かって下落を続けていた時期でしたので、日本株に全体の30%の資金を投じても、時間が経てば比率は30%より下がり続けます。

この変化に対処する方法が、リバランスです。邦訳すれば、資産配分の復元。日本株(相対的に値下がりの大きい資産)により多く投資して、資産配分を30%に戻そうとする作業を半年ごとにしました。結果として、割安な資産をたくさん買うこととなり、2003年4月からの日経平均の反発局面で、大きな利益を作ることができました。これがリバランスの成果です。

リ・アロケーションは適応!

その後、海外投資の環境は大きく変わります。ユーロという通貨が普及し、ヨーロッパ市場が米国に対抗する経済圏として、強く意識されるようになりました。欧州株という新しいアセットクラスの登場です。そこで、理想とする資産配分を「日本株:米国株:欧州株=30:40:30」と設定し直しました。

欧州株の後に注目されたのは新興国株です。アジアやブラジル、南アフリカまでもが海外投資の対象と見なされるようになりました。リーマンショック後の私の理想とする資産配分は、「日本株:米国株:欧州株:アジア株:新興国株=20:20:20:20:20」となりました。このように、目標とする資産配分を変更することがリ・アロケーションです。

国際分散投資をする人は、毎年のリバランスを行いつつ、戻ろうとする原点の資産配分そのものが適切なのかどうかも、併せて考えないといけません。そして環境変化に伴い、理想の資産配分も変化しているなら、目標(ターゲット)の資産配分を変えることにも、躊躇してはいけないのです。

さて、金融の超緩和政策が終わろうとしている今、あるいはトランプ・ラリーが株高を牽引している今、どんな資産配分が理想なのでしょうか?

最新の最適アロケーションは?

いろいろな見解があると思いますが、私は米国株へ重心を移すリ・アロケーションを考えています。欧州株には、英国のEU離脱問題や極右勢力の政治的リスクから、株価の調整があるかもしれません。また、新興国経済は、米国の自国優先の経済政策により打撃を受けるリスクがあります。アジア株は、上の二つのアセットクラスに比べると、相対的には堅調ですが、米中関係の緊張と無縁ではいられません。

消去法からいっても、これから数年は米国株重視のアロケーションが、効率的であろうと考えています。ただし、未来のアロケーションには、正解はありません。ご自身の歴史観や世界観が反映される極めて主観的なプランですので、最後は自己責任でお願いいたします。分散投資のおける、「リバランス」と「リ・アロケーション」を使い分けて、効率的な運用で大きな成果をあげられることを祈っています。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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