若者世代の東京都心へ大移動という現象
私は不動産投資家の一人として、日本の人口動態関連のニュースにはつねに注目しています。そして先日、年間の出生数がついに100万人を割ったということで、人口減少に拍車がかかるというニュースが流れました。が、一方で若者世代の東京大移動という現象もニュースになっています。若者が東京に集まっている大きな理由は、やはり雇用や求人が東京に集中しているからですが、大学の都心回帰の影響も大きいようです。2000年から2015年にかけて、東京所在の大学は113校から138校と25校も増えています。定員割れの大学が増えるなど学生の獲得競争が厳しくなり、集客のために郊外にあったキャンパスを都内に移す動きが活発化しているのが背景です。
直近5年だけでも12の大学が都心に移転またはキャンパスを新設しており、たとえば青山学院大学は2013年、相模原キャンパスにあった人文・社会科学系7学部の学生約7000人を青山キャンパスに移行させました。
2014年には実践女子大学も日野市にあった2学部と短大を渋谷のキャンパスに移行。拓殖大学は2015年、八王子キャンパスから文京区のキャンパスに2学部を移転。大妻女子大学は2016年から学部ごとに、多摩キャンパスから順次、千代田区にある千代田キャンパスに移転予定。東京電機大は2012年に開設した北千住駅徒歩1分のキャンパスを拡充し、2018年には千葉ニュータウンキャンパスを廃止。
そして私の母校の中央大学が、看板学部の法学部を八王子の多摩キャンパスから文京区にある後楽園キャンパスへ移すそうです。将来的には経済学部や商学部なども移す計画があるそうで、そうなると5,000人以上の移動になります。そして今後も都心回帰は続き、数万人規模の大学生が都心へと流れ込んでくることになりそうです。
一方で、7,000人もの青学生が去った淵野辺駅周辺のアパートの中には、家賃を2万円台にしても空室が埋まらないという状況が起こっているそうです。もちろん自宅通学の人もいるので、7,000人の借り手がいなくなったわけではないですが、地元の飲食店なども含め、やはり影響は小さくないでしょう。
不動産投資は都市部の物件ほうが安全?
そう考えると、不動産投資をするなら、郊外の中途半端なアパートよりも都市部の物件ほうが安全ではないかと感じます。私が所有している物件もすべて都内ですが、ほぼ1カ月未満で埋まりますし、今月も1部屋退去がありますが、内見することなく早や次の入居者が決まっています。もちろん、地方都市は地方都市で、若い世代が住みたいような良質な賃貸物件が不足している状況も少なくないですから、土地勘のある場所でなら有効ではあると思います。しかし、人口減少は地方や郊外から始まり、こうした場所の未来は流動的で不透明ですから、20年30年の長期安定運用を目指すなら、やはり都市部に軍配が上がります。
一方で今は金融緩和でお金が借りやすい状況ですから、将来は苦戦が予想される物件を売却して別の物件に買い替えたり、他の運用対象に切り替えるなど、資産の組み換えをしておくのもひとつの戦略です。
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