睡眠の質を左右する「眠る前1時間」の過ごし方
睡眠が大切だと分かっていても、たっぷり寝ている暇はありません……
ポイント1. 就寝1時間前には、スマホやパソコンを消す
就寝前のスマートフォン(スマホ)やパソコンのメールチェックには、エスプレッソコーヒー2杯分もの覚醒作用があります。画面から発せられている「ブルーライト」が、安眠に誘うホルモンである「メラトニン」を減らしてしまうからです。特に暗闇でのメールチェックは、目への刺激が強いので止めましょう。
DVD鑑賞やゲームも、眠る前にはやめておきましょう。チカチカした光が脳を刺激して、眠気が減ってしまいます。どうしてもテレビやDVDを見たり、パソコンやスマホ、ゲーム機を使ったりしたいのなら、朝起きてからがおすすめです。睡眠ホルモン・メラトニンが減り脳が活性化して、スッキリ目覚めやすくなるからです。
ポイント2. カフェインやアルコールは早めにやめる
ミシガン州のヘンリー・フォード病院の研究チームが行なった調査によると、コーヒーなどのカフェイン飲料は、6時間後も睡眠に悪影響を与えることがわかりました。それを考えると、夕方以降のカフェイン摂取は、安眠のためには控えた方がよいでしょう。
眠るためにアルコールを飲む「寝酒(ナイトキャップ)」という習慣が、世界中にあります。日本人は世界の中でも、眠れないときに寝酒に頼る傾向が強くあります。しかし、アルコールは眠気を誘う一方で、時間とともに分解されると眠りを浅くします。また、利尿作用によってのどが渇いたり、トイレに起きたくなったりして、夜中に何度も目覚めてしまうこともあります。
ポイント3. 「温め」と「リラックス」を大切に過ごす
眠気が強まるのは、深部体温(脳や内臓などの温度)が下がってくるタイミングです。眠る1時間ほど前に運動や入浴で身体を温めると、皮膚の血管が広がり血流量が増えます。すると、脳や内臓の熱が血液に乗って皮膚に運ばれ、そこで放熱されることで深部体温が下がります。赤ちゃんや幼児ではこの働きがはっきりしていて、眠たくなると手足が熱くなります。体温を一度上げておくと、そのあと体温の下がり方が急激になり眠気も強くなり、ぐっすり眠れます。
心と身体のリラックスも大切です。血めぐりが良くなって身体からの放熱が促されることで、体温が下がり、心地よい眠気が訪れやすくなります。
「温め」と同時に「リラックス」をかなえるために、入浴を上手に活用しましょう。入浴は、38~40度のお湯に通算20分ほどつかります。全身浴でなく半身浴でも、同じほどの効果があります。時間がないときは、身体の一部に温めたタオルを乗せるだけでも結構です。特に、首や目元を温めるのがよいでしょう。
眠れない外部要因にうまく対応する
ポイント4. ホワイトノイズなどのBGMを利用する眠る前の1時間をゆったりと過ごしても、いざ眠ろうとすると、エアコンの運転音や時計の秒針の音などが気になってしまい寝付けない、という人もいます。消せない「音」を耳障りに感じてしまう場合、あえて「ホワイトノイズ」を聞いてみるのも有効です。
ホワイトノイズとは、テレビの番組終了後に流れる「ザーッ」という音です。「砂嵐」とも呼ばれています。あらゆる周波数の音を含むホワイトノイズを聞くことで、他の雑音が気にならず、リラックスして安眠できます。耳栓をすると眠りにくいという方も、比較的抵抗なく利用できる「音」関係の安眠法です。起きているときにホワイトノイズを聞くと、集中力が高まったり、耳鳴りが軽くなったりする効果もあります。
ホワイトノイズだけでなく、好みに合わせて波の音や雨音などの自然の音や環境音楽を、小さな音量(40デシベル以下)で流してみるのもよいでしょう。
眠りと目覚めの鍵は、規則正しい生活にあり!
ポイント5. 体内時計を整えて眠りと目覚めのリズムを作る私たちの身体のリズムを作る体内時計は、規則正しい繰り返しによってパワーを発揮します。起床時刻と就寝時刻を一定にすることで、より熟睡できます。
また、よく知られているように、睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠の繰り返しで、1.5時間ほどのサイクルがあります。たとえ睡眠時間が短くても、約1.5時間の倍数のタイミングであれば、心地よい目覚めを得やすくなります。
忙しい毎日を支えるのは、質の良い睡眠です。環境を上手に整えて身体を休め、さわやかに朝を迎えましょう。