住まいの建築や購入は、「一生で最も高い買い物」といわれます。ですから、できるだけ後悔のないようにしたいものです。しかし、これまでに住まいを取得してきた人たちは、少なからず何らかの後悔を抱えてきたように思います。その一つは住宅を取得した後、20年、30年後に住宅(建物)の価値がほとんど無くなってしまっているということです。では、どうしたらそうした思いをしなくてすむのでしょうか。この記事では「投資」という視点から、これからの住まいや住まいづくりのあり方を考えていきます。

住宅に投資することとは?

住宅に「投資」するといっても、ピンと来ない人が多いかもしれません。しかし、30年ほど時間をさかのぼると、日本で住宅が投資の対象として明確に見られていた時期がありました。いわゆる「バブル期」の頃です。

当時は住宅を購入すると値上がりが見込まれていた時代。それを支えていたのは主に土地価格や株高でしたが、少なくとも住宅を購入することで損はしない、と考えられていました。今の中国や東南アジアなどの状況を考えるとわかりやすいでしょうか。

アメリカ

アメリカのある住宅街の様子。街全体が美しく整備されているが、これは資産価値を維持、向上させることを見据えたもの。現地の住まいに関する考え方は、芝を伸ばし放題にしたりすると近隣とのトラブルになってしまうほどシビアだ(クリックすると拡大します)

一方、欧米を中心に長く「住宅購入は投資」という感覚が定着しています。その背景には、住まいが60年以上、イギリスなどでは100年使われるものという前提、世代や所有者を変えながらも大切に済み継いでいくものという認識があるためです。

サブプライムローン問題などの経済状況の変化もあり、必ずしもうまくはいっていないこともあるようですが、ライフスタイルに合わせて積極的に住み替えていくのが欧米の状況で、そこには住まいに投資して、資産価値とする考え方が根付いています。

かたや日本ではどうでしょうか。住まいはつい最近まで20~30年で建て替えられるものという認識が一般的でした。その中で、投資をしたもの、資産としてみる感覚はあまり強く養われてきませんでした。

これから住まいを手に入れたいと考える若い世代の方々の中にも、「私たち夫婦が住む間しっかりしてればいいや」というように安易に考えていらっしゃる方も多いように思われます。しかし、これからはそれではちょっとまずいように思われます。

転換期を迎えた日本の住まい

というのも、日本の住まいは今、大きな転換期を迎え、「空き家問題」が深刻化しつつあるからです。少子高齢化の中で人口や世帯の減少期に入り、住宅が必要とされなくなりつつあるわけです。

日本

人生には様々な転換期があり、場合によっては住まいの売却を考えなければいけないケースもある。その時に備え、売却することも考慮に入れて住まいの建築・購入をしておくことがこれからは大切になる。写真は20年ほど経過したある日本国内の住宅地(クリックすると拡大します)

深刻なことは、それが過疎地域にとどまらず、東京も含めた全国的な問題となっていることです。つまり、地域に関係なく、これから皆さんが建築・購入しようとする住まいが、空き家という価値のないものになる可能性が十分にあり得るわけです。

中でも、大事にされていない住宅は、いの一番にそうなる可能性があります。数千万円もの投資をしてせっかく取得した住宅がそのようになるのはあまりにももったいないことだと、皆さんは思わないでしょうか。

では、「大事にされてきた住宅」とはどんなものでしょうか。それは、新築時から維持管理が計画され、新築後数十年にわたりその計画に則り、しっかりと点検や維持管理が行われてきた住まいのことをいいます。

点検や維持管理が行われ、良好な状態であることが他者に分かれば空き家になったり、資産価値が低いと見なされにくくなります。投資をした金額、もしくはそれ以上というということは難しいかもしれませんが…。いずれにせよ、住宅に相当の価値が残るため、建てた人にとっても安心感があります。

言葉を換えると、中古(ストック)住宅となって、何らかの理由で売却をし、不動産の流通市場に乗せなければならなくなったときに、購入者が現れやすい住宅である必要があるわけです。では、購入者が現れやすい、購入しても良いと思われやすい住宅とはどのようなものでしょうか。

大きく次のよう整理できます。
・耐震性が確保されている
・定期的な点検が行われている
・適切な修繕が行われている
・それらの情報が明らかである
・リフォームなどの履歴情報がある

親世代が直面している住まいと資産の問題

要するに、購入者にとって中古住宅を購入する際に不安にならないようにしている住宅である必要があるわけです。ここまで読んでいただいて、「なぜそこまでしなければならないの?」と、いまいち腑に落ちない方もいるかもしれません。

ベランダ

住宅を売買する際には、建物の状況がどうであるかがわかりやすくなければならない。スムストックでは、スムストック住宅販売士と呼ばれる資格をもった人物が、ベランダの排水といった細かい部分までチェックが行われる(クリックすると拡大します)

そうした方々のために現在のシニア層、皆さんの親世代の方々が直面している状況を紹介しておきます。彼らの中には若い頃に取得した住まいを手放し、老後生活に適した新たな住まいに移る動きが大変増えてきています。

新たな住まいとは、サービス付き高齢者住宅や有料老人ホームなどといったもの。それらに住み替える際に、それまで住んでいた住宅を売却するわけですが、必ずしも希望した、または想像したかたちにはなっていません。

新築時にはウン千万円で取得したのに建物の価格がゼロと査定され、不動産のみの価値しか評価されないからです。また、いざ住まいを売却しようとしても、信頼できる不動産事業者を見つけづらいということもあります。

一昔前まで、賃貸住宅→マンション→戸建てと住み替えていくスタイルが一般的で、そのことを「住宅すごろく」などと称していましたが、現在ではそうした状況とは大きく異なる姿になっているのです。

現在20~40歳代の方々でこれから住宅を取得しようという方がシニア世代になった時には、現在よりさらに難しい状況になるでしょう。というのも、年金の問題など老後の生活がさらに厳しくなっていると考えられるためです。その時、住まいへの投資が役に立つのであれば少しは安心できるはずです。

このような状況を受けて、国や住宅事業者、不動産事業者らは良質な中古住宅についてはその資産価値を認め、より高額に査定しようと、中古住宅の流通の仕組みづくりをしようとしています。その一つで、先導的なものが「スムストック」と呼ばれる仕組みです。

将来のことも考慮して住宅取得を検討しよう

これは大手ハウスメーカー10社が加盟する「優良ストック住宅推進協議会」によるもので、前述したような項目をクリアした住宅については、一般的な査定方法より高額で売却をできるようにしたのが特徴です。

詳しくは、以前アップした以下の記事をご覧ください。
中古住宅だけど安心!? 「スムストック」とは
質の良い中古住宅を手に入れるには

スムストック

総合住宅展示場(福島県郡山市)に見られたスムストックのノボリ。加盟10社は独自の不動産ネットワークを有してるが、そのことも含めて、他の事業者と将来を見据えた対応力に違いがあることをアピールしていた(クリックすると拡大します)

これらは、買い手の視点を中心に書いた物です。今回はその逆で売り手の視点によるものですが、これから建築・購入する住まいが将来的にどうなってくかということは、なかなか考えない、思いつかないものです。

というのも、住まいの取得は夢のある楽しみなことで、売却する可能性なんて縁起でもないと思うからです。ただ、住まいを取り巻く環境は時代の変化と共に確実に変化しているため、本当に住まい選びに慎重を期すのなら、このようなことも頭に入れておくべきです。

売却することだけでなく、転職や転勤などで住宅を売却せざるを得ないことだってないわけじゃないですから。そのような環境の変化に対応できるうにしておくためにも、スムストックに加盟しているハウスメーカーなど、将来の売却のことにまで対応している住宅事業者が供給する住宅は選択肢として有力になるのではないでしょうか。

ところで先日、私は福島県郡山市内にある総合住宅展示場でスムストックに関するイベントをしている場面に出会いました。最近は、このようなイベントが全国各地で開催されているようです。つまり、そのくらい中古住宅に関する社会的な関心が高まっているということなのだと思われます。

皆さんも情報を集めて是非、足を運んでみてください。住まいの将来のこと、せっかく大きな投資をしたのにそれが無駄にならないようにするという視点を持ってみると、これまでになかった住宅取得の選択肢が見えてくるかもしれません。


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