以前と比べ、住宅取得にあたって「中古住宅」を選択するケースが増えてきているようですが、一方で未だに「耐震性や不具合があるかもしれないから心配」という人も多いようです。そうした方にとっても有力な選択肢となりそうなのが「スムストック」。大手ハウスメーカー10社がこれまでに供給した住宅のうち、中古住宅市場に存在する住宅のことをいいます。先日、その動向が明らかになりましたので、ここで詳しく紹介します。

「スムストック」の三大原則

まず、スムストックについて、基本的なことを整理しておきます。「優良ストック住宅推進協議会」に加盟する大手ハウスメーカーによる中古住宅がそれにあたります。加盟企業は以下の通りです。

旭化成ホームズ、住友林業、セキスイハイム(積水化学工業住宅カンパニー)、積水ハウス、大和ハウス工業、トヨタホーム、パナホーム、ミサワホーム、三井ホーム、ヤマダ・エスバイエルホーム

ただ、上記ハウスメーカーの中古住宅だったら全て対象になるわけではありません。次の三つに適合していることが大原則です。
・「住宅履歴データ」が整備されている
・「長期点検・補修制度」を守り続けている
・一定の耐震性能(新耐震基準以上)を有している


また、「スムストック住宅販売士」という独自の資格を持った人たちが査定から販売までを実施。スケルトンとインフィルで建物を評価し、さらに土地と建物の価格を分離して表示するシステムを導入しているのが特徴です。

スケルトンは建物の構造躯体(柱や梁、壁など)のこと。インフィルは、内装材や設備(キッチン・バスなど)のことです。後者は15年くらいで更新時期を迎えますが、前者は50年くらいの耐久性があります。

ですから、分けて評価しようということです。評価の割合はスケルトンが6、インフィルが4。新築時の建物価格を2500万円とした場合の査定額のシミュレーションは表【1】のようになります。
査定のイメージ

【表1】「スムストック査定」と従来査定の比較イメージ。※以下、表は全て優良ストック住宅推進協議会作成の資料から抜粋(クリックすると拡大します)


現在、一般的な戸建て住宅の査定では、築後20年で建物の評価はゼロになります。一方、スムストックの査定では、築後20年で建物の評価は半分程度となり、その後緩やかに下がっていくということになります。

査定を違う見方、住宅ローン(35年の場合)の残高と資産価値の関係でみてみましょう。従来型の査定では、20年で建物評価がゼロになりますが、その後の15年もローンの支払いが残ります。

スムストックの流通の状況は?

一方、スムストックの査定の場合、適切なメンテナンスを行うことで資産価値を維持し、リフォームで資産価値を高めることで、常にローン残高を上回る価値を維持していくということになります。このあたりが、スムストックの基本的な考え方です。

さて、スムストックの流通は2008年にスタートしました。2015年1月までに3134棟の成約、つまり売買が成立したそうです。初年度の年間成約数は50棟でしたが、2014年度には1200棟となる見込みだといいます。

その実像も見えてきました。平均的なスムストックは、
築年数=15.1年
延べ床面積=128.96平方メートル
建物成約額=1113万円

となっています。

これを詳しくみたのが、表【2】です。築後21年以降の建物は全体の30%を占め、その平均価格は517万円となっていました。くどいようですが、一般的な査定ですとゼロなのですから、圧倒的な違いです。
成約物件の分析

【表2】成約物件について詳しく分析したもの。築後21年以上経過した建物の平均価格は517万円となっていた(クリックすると拡大します)


過去に行ったリフォームも評価されることから、成約した事例の中には築後39年(1973年建築)の建物で、建物価格が262万円と評価されたものもあったそうです。

また、スムストックによる査定額と成約額の差は1.8%程度だったといい、このため「ほぼ査定した金額で顧客(買い手)に受け入れられている」とのことです。

次のページでは、このほかの傾向を見ていくことでスムストックはもちろん、変貌しつつある中古住宅の世界をみていきます。