「ヒートショック」とは……冬の入浴で多い、血圧上昇に伴う様々な症状
冬の入浴には注意が必要です。適切な温度で、快適な入浴を楽しみましょう
「ヒートショック」とは、間違った入浴法により急な血圧上昇が引き起こされ、身体に悪影響が及ぶこと。正式な医学用語ではありませんが、最近使われるようになった言葉です。急激な温度差で交感神経が強く刺激されることで、血圧の急上昇がもたらされ、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを高めてしまうのです。特に気温が低くなる冬には、入浴前後の危険性が指摘されています。
ご存知の通り、お風呂は正しい方法で入浴すれば、健康に良い生活習慣の一つです。安心、安全に入浴をするために、ヒートショックのリスクや予防、対策方法について知っておきましょう。
「ヒートショック予備軍」は約7割!? 意識調査結果
給湯機メーカーにとってもヒートショック対策は重要な課題です。リンナイ株式会社では、入浴習慣の実態を探るべく、全国の20~60代の男女合計2350人を対象に、「入浴時のヒートショック」に関する意識調査を実施しました(2022年10月)。結果を簡単にまとめると、「冬の入浴危険度」の高いヒートショック予備軍の人は、全国どこでも、予想以上に多いことが分かったのです。調査結果を以下に示します。
- ヒートショック危険度数の高い「ヒートショック予備軍」は、約7割と多数でした。
- 予備軍が多い中、対策として脱衣所を温めている人はわずか25%でした。特に今年は光熱費が高いと感じている人が68%にも上り、脱衣所が寒いと回答した人は54%にもなりました。
- ヒートショック予備軍の最も多かったのは宮城県で82%、最も少ないのは神奈川県と長
野県の48%でした。
なお、この調査の実施・とりまとめに、お風呂・温泉ガイドである筆者も協力しました。
ヒートショック予備軍セルフチェックテスト法
それでは、今回の調査で用いた「ヒートショック予備軍テスト」でセルフチェックをしてみてください。以下の9項目であなたに当てはまるものを数えてみて下さい。- 高血圧や脂質異常症(高脂血症)、糖尿病などの持病がある
- 湯船のふたをしてお風呂の湯を入れている
- 入浴前に水分をとらない
- 飲酒・食直後に入浴することがある
- 風呂に入るとき、家族に声をかけていない
- 寒い脱衣所・浴室でも我慢している
- 湯船に入るときかけ湯をしない
- 熱々の湯船に長く入るのが好き
- 入浴後にめまいや立ちくらみがする
さて、あなたはいくつ当てはまりましたか?
ヒートショック予防法・対策法と注意点
当てはまるものが多ければ多いほど危険度が高いと言えますが、目安として3個以上にチェックがついた場合、「ヒートショック予備軍」と診断します。テストの解説とともに、対策をおさらいしてみましょう。高血圧などがあると、若くても動脈硬化が進みやすくなるため油断はできません。また、動脈硬化を患うと、ヒートショックによって脳卒中などの大きな病気に罹りやすくなってしまいます。これらに該当する方は特に、湯船のふたをしないことや、入浴前にシャワーで浴室を温め、脱衣室は暖房で、ともに18℃以上になるようにしましょう。
血圧を急上昇させないよう、湯は40℃以下にして十分にかけ湯をします。入浴前は飲酒を控え、入浴前にもしっかり水分補給することが、血液ドロドロによる脳梗塞・心筋梗塞を防ぎます。事前の水分補給は水の他、ミネラル入り麦茶などもお勧めです。万一の場合に備えて家族がいる人はひと声かけてから入浴しましょう。長風呂をしすぎると熱中症の危険もあり血圧の低下で立ちくらみも起こります。入浴時間は10分間を目安にして汗をかいたら湯船から出ましょう。
まだまだ寒い日が続きますが、ちょっとした工夫でヒートショックは防げます。安全な入浴法を心がけて、寒い冬を元気に乗り切りましょう!
さらに詳しく知りたい方は、リンナイ 『熱と暮らし通信』/「入浴習慣」と「入浴時のヒートショック」に関する意識調査もあわせてご参照ください。