アイランドキッチンって、どんなプラン?

アイランドキッチンとは、“アイランド”という名前が表す通り、空間の中で“島”のようになっている、キッチンの四方が壁に接していないプランのことです。

アイランド部分に、シンクとコンロ、またはどちらかを配しています。ちなみに、アイランド部分にコンロやシンクがない場合は、厳密にいうとアイランドキッチンのプランではありません。
アイランドキッチン

空間の中心に”島“のように配されているアイランドキッチン。四方が壁に面していないので、明るく開放感が高いキッチンがつくれます(設計・施工:株式会社オレンジハウス)


アイランドキッチンの幅サイズは、シンク・調理スペース・コンロを横並びで設けるなら最低でも約180cm必要です。さらに、キッチンの両脇に動線となる通路が2カ所あり、メイン動線は80cm程度、サブ導線は60cm程度必要なので、最低でも約320cmの間口と、それなりの空間的広さが必要なプランといえるでしょう。

もし、間口は狭いけどキッチン空間の奥行きが広いのなら、コンロとシンクを2列配置にしてコンロを壁側に設け、シンクのみをアイランド部分に設ければ幅150cm程度で収められます。もしくは、カウンターの奥行を深めに取ってそこで作業をするという前提なら、アイランド部分は幅90cm程度でも大丈夫でしょう。

アイランドキッチンのカウンターは、部分的に壁を設けてもOK

アイランドキッチンのカウンターは、段差や壁のないフラットタイプが多くみられます。ただ、特に決まりはないので、必要に応じてダイニング側に低い壁を立ち上げたり、コンロ前などの一部分に天井までの壁を設けたりしてもよいと思います。
アイランドキッチン

カウンターがフラットタイプのアイランドキッチン。コンロ前にはガラスパーテーションを、横側は天井までの壁を設けています

手元が丸見えになるのが気になるという人には、前壁を立ち上げるプランや、対面カウンター付きのキッチンをおすすめします。高さ10cm程度の前壁があるだけで、ダイニングやリビングからは手元が見えませんし、調理中の水や油の床への飛び散りもある程度防ぐことができます。
アイランドキッチン

 
 

アイランドキッチン

対面カウンター付きのアイランドキッチン。手元を隠すだけでなく、カウンター部分にお皿を並べられるので、盛り付けや配膳の時に便利です


アイランドキッチンの一番のメリットは、動線がよくなること

アイランドキッチンの人気が高まっている理由は、キッチンをぐるりと回れる回遊動線や、キッチンの両側にダイニングやリビングへ直接行ける動線があることなど、動線のよいキッチンが作れることでしょう。動線がよくなると、料理や後片付けがラクになりますし、複数人でキッチンを使ってもぶつかりにくくなります。

さらに、動線が増えることで階段や玄関、浴室、洗濯スペースなど、各家事空間へ短い距離で移動できるプランを組みやすくなり、洗濯や掃除を含めた家事動線を短くできるため家事全体の時短につながります。
アイランドキッチン

一方の動線で浴室・洗面室に、もう一方からは階段や納戸に行きやすいアイランドキッチンのプラン。広い家の中をウロウロすることなく、家事をスムーズ進められます(設計:シーズ・アーキスタディオ建築設計室)


動線がよくなると、子どもがキッチンに入りやすくなるため、安全面への配慮が大事です。可能なら、子どもがある程度の年齢になるまで、キッチンの入り口に安全柵を設けておくとよいと思います。特に危険なコンロのまわりは前壁や天井までの壁を設けることで、ダイニング側から手を伸ばしての“うっかり火傷”を防げるでしょう。
アイランドキッチン

コンロの前と横に壁を設けたアイランドのプラン。回遊動線は確保しつつ、コンロまわりの安全性を高めています


大勢でキッチンが使える点も魅力

部屋の壁に接していないアイランドキッチンは、大勢でぐるりとキッチンを囲める点も魅力です。例えば、一人がコンロで調理をしていても、もう一人は横で食器を洗い、対面からは配膳・下膳をするなど、複数人でもスムーズに使うことができます。

そのため、共働きや二世帯住宅など、複数人が同時にキッチンを使うご家庭に特におすすめしたいプランといえます。

ただ、“キッチンをぐるりと囲める”という魅力を活かすには、キッチンとテーブルの位置関係は大事なポイントになります。

これまでは、キッチンの正面に、キッチンから少し離してテーブルを置くプランが多く見られましたが、最近では横にぴったりと接続させて置くプランも増えているように感じます。
アイランドキッチン

キッチンの横にテーブルを接続させた例。テーブルにいる家族との距離がより近く、会話も弾みやすいプランです(設計・施工:株式会社飯野建築事務所)

キッチンとテーブルを接続させる場合、テーブルを作業スペースとして使えるようになり、配膳・下膳がよりスムーズになります。その一方で、接続するとキッチンを囲んで使えなくなりますし、回遊する際の動線は長くなってしまいます。

テーブルの置き場所と、接続するか・離すかは、空間の間口の広さや形状を考慮しつつ、何人でキッチンを使うか、自分たちの調理スタイルにはどちらが合うかを考えて、決めてくださいね。

アイランドキッチンの収納力をアップさせる工夫を盛り込もう

アイランドキッチンは吊戸棚を設けないプランが一般的なので、他のキッチンプランと比べるとキッチン内の収納が限られることがあります。ただ、キッチンの四方が壁から離れているという特性と、回遊動線のメリットを活かし、周囲に収納スペースをたくさん確保する方法があります。

例えば、キッチンの背面と両側に壁面収納を設ければ、かなりの収納量が確保できます。また、回遊動線上にパントリーの入り口を設けると、使い勝手のよいプランになるでしょう。
アイランドキッチン

キッチン右手横にはテーブルを接続、背面にはたっぷりとした収納を設けたプラン。キッチン左手からはプチパントリーと勝手口、スタディーコーナーへ行けます(設計:シーズ・アーキスタディオ建築設計室)


アイランドキッチンにリフォームするときの注意点は?

数多くのメリットがあるアイランドキッチンですが、リフォームで取り入れる際には注意すべき点もあります。

まずコスト面では、アイランドキッチンの場合、キッチン本体の四面すべてに化粧パネルを貼ったり、ダイニング側にもキャビネットを付けたりするため、壁付けキッチンよりもキッチン本体の価格が高くなります。見積もりを取って価格を確認しておくとよいでしょう。

プラン面では、現状が壁付けプランの場合、移動先までをつなぐ換気扇のダクトが天井に露わになることがあります。また給排水管は、床下のスペースが少ないと、水を流す勾配を確保するために床面を上げることになり、そのために床に段差ができてしまいます。

一般的なマンションではこのようなケースが多いのですが、一戸建やスケルトンインフィルのマンションで、天井裏や床下にスペースの余裕があればそこに収められるので、ダクトがむき出しになったり、床に段差が生じることはありません。

一方で、このようなスペース自体がなく、キッチンの移動ができないケースもありますので、具体的なプランを検討するときには、天井裏や床下のスペースのを確認してもらいましょう。
キッチンの床下スペース

キッチンや洗面室などの水まわりに床下点検口があれば、そこから床下スペースの深さを大まかに確認できます

そして、前述したように、アイランドキッチンは「キッチン幅+キッチン両側の動線分」のスペースが必要になります。そのため、限られた間口や広さの空間に無理に入れると部屋が狭く感じられますし、かえって移動しにくいプランになってしまいます。

キッチンの左右両方の動線の行き先がダイニング・リビングだけなら、無理にアイランドキッチンにせずに、片方は壁につけたペニンシュラ(半島)型の対面キッチンにした方が、調理スペースを広く確保できるため、使いやすいキッチンがつくれると思います。

メリットや注意点を知ったうえでプランを決めよう

アイランドキッチンのメリットや、リフォームする際の注意点をご紹介しましたが、もし「床に段差ができても構わないから回遊動線にしたい!」と思うなら、臆せずにアイランドキッチンにした方がリフォームの満足度は高くなると思います。

大事なことは、そのプランのメリット・デメリット、取り入れる際の注意点をよく知ったうえで決めることです。キッチンにいる時間は思いのほか長いものです。自分の調理スタイルや家族一緒にキッチンを使いたいかなども考慮し、依頼先のリフォーム会社や設計士とよく相談してプランを決めてください。


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