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街や住宅の将来性は町丁目単位で考えるべき!?

これから人口減少が本格化していきますが、まだ人口増加が続いている都市の中にも、町丁目単位でみれば異なる様相を示しているエリアがあるでしょう。街や住宅の将来性を考えるときには、都道府県や市町村単位とは違う視点も欠かせません。

執筆者:平野 雅之


日本はすでに人口減少社会へ突入しています。人口が減り続ければ住宅のニーズは減り、空き家が増え、街の活気は次第に失われていくでしょうが、街や住宅の将来性を考えるときには狭い単位としての「町丁目」に注目するべきかもしれません。

もう10年ほど前のことになりますが、あるとき物件の資料を作成するためにいろいろなデータを集めていたところ、興味深い動きに気がつきました。

東京都心部にほど近い地下鉄駅を起点とした同一エリア内で、駅から5分以内程度のところでは人口の増加が続いているのに対して、5分~10分程度のところでは(その時点で)過去3年にわたり人口が減少していたのです。

駅からの距離以外の要素でみた利便性はそれほど変わらないエリアだったのですが、少し離れただけで人口動態に差が生まれ、物件価格にも影響が出ているようでした。

このような狭いエリア内における住宅需要の二極化がどの程度起きているのか、詳細に調べたわけではないので定かではありませんが、駅から離れたところに住んでいる人にとっては気になる事象でしょう。

日本全体では人口減少が進む一方で、東京都など大都市圏ではまだこれから先しばらくは人口が増えるとみられ、あまり気にしていない人が多いかもしれません。

しかし、東京都のなかでも多摩地域ではすでに人口減少に転じた市町村が多く、横浜市でもいくつかの区は人口が減っています。首都圏の4都県(東京、神奈川、埼玉、千葉)を合わせれば、100を超える市町村ですでに人口減少が始まっているのです。

ところが、都道府県単位あるいは市町村単位の数字はニュースになりやすいものの、町丁目単位の動きが報じられることはありません。

「◯◯市はまだ人口が増えている」と認識していても、町丁目単位の詳細な人口推移をみれば、実際にはすでに何年も前から人口が減り続けているというエリアもあるでしょう。

さほど遠くない将来に「都市内過疎」や「地域総高齢化」も、大都市を含む各地で社会問題になりそうですが、さらに今後はコンパクトシティ化政策によって、厳しい言い方をすれば「見捨てられる街」が生まれることにも留意しなければなりません。

単純に現在の環境や利便性だけを判断材料にして住宅を選ぶと、数年~数十年後には想定した以上に不便な街へと変貌してしまうケースもありそうです。


>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX

(この記事は2007年2月公開の「不動産百考 vol.8」をもとに再構成したものです)


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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