新築マンションや建売住宅が売れ残ったら、値引きをして販売するべきなのでしょうか?

以前に「洋服などはシーズンを過ぎればバーゲンセールをやるのだから、住宅も売れ残れば40%とか50%オフで売るべきだ」という一般消費者の意見を聞いたことがあります。

しかし、住宅は金額が金額なだけに、他の商品のように派手なバーゲンセールをすることはできないのが実情でしょう。値引いて売れば「資産価値が下がった」などを理由として、先に定価で購入した人の反発を受けることにもなりかねません。

かつて1990年代頃までは、大っぴらに値引いて売れ残り住戸を販売するケースも少なからずありましたが、先に購入した人たちが「差額を返還しろ」という裁判を起こす事例がいくつかあってから、表面的にはあまり値引きをしなくなったようです。

2003年頃に東京都住宅供給公社が多摩ニュータウンのマンションを大幅に値下げして在庫処分に踏み切り、応募が殺到していました。

また、2008年には大手デベロッパーが大規模分譲マンションで20%~25%の値下げをして物議を醸したこともありましたが、これらはいずれも特殊な事例だと考えられるでしょう。

もちろん、抽選などで即日完売するような物件や、順調に販売が進んでいる物件を値引くことはありません。しかし、ある一定期間を経て売れ残った住戸があったり、当初から売れ行きがあまりよくなかったりする場合には、内々で値引くことが現在でも行なわれています。

比較的少ない区画の建売住宅なら「価格改定」として値下げした物件広告がされる場合もあるほか、新築マンションでは売れ残った部屋を棟内モデルルームとして使用した後で、最後に値下げして処分する例もあります。

その一方で、2005年頃に私の友人やお客様から直接聞いた事例では、いずれも営業担当者のほうから(購入者側から価格の話を切り出す前に)値引きの示唆があったのだとか。

そのうち私の友人が検討していたマンションでは、まだ建築途中で販売の最盛期なのに、5千万円あまりの部屋で1千万円近い値引きの提示だったようです。

結局、大幅な値引きに不信感を抱いたことと、さらに別の要因もあって、友人はそのマンションの購入を見送ったようですが、極端な値引きも考えものでしょう。

その後、2006年あたりから大都市圏を中心に新築マンション価格の上昇が目立つようになり、値下げの話はほとんど聞かれなくなっていたものの、2007年末頃からは売れ行きが急速に落ち込みをみせるようになりました。

2008年にはリーマン・ショックも重なり、新興・中堅マンションデベロッパーが相次いで倒産したほか、新築マンションの在庫数も積み上がったのですが、一般消費者へ値引き販売する代わりに、売れ残り住戸をまとめて別の不動産会社が買い取るケースも少なからずありました。

そして、売主名義を変えて販売広告をやり直すと、なぜかもとの価格のまま値下げをせずに売れることも多かったのですが……。

2015年あたりからは再びマンション価格の上昇が目立つようになり、2016年末の現在は一部で売れ行きが鈍くなったり、価格の頭打ちがささやかれたりするようになっています。

今後の値引きに期待する声もあるようですが、過去の状況と違うのはマンションであれば大手デベロッパーによる寡占が進んでいること、住宅ローン金利がきわめて低い水準で推移していること、そして販売地域や供給数そのものがかなり絞り込まれていることでしょう。

以前のようにあっさりと値引きを受けることは難しいかもしれません。


>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX

(この記事は2007年2月公開の「不動産百考 vol.8」をもとに再構成したものです)


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