軽自動車以外でも「ダイハツ vs スズキ」の争いが激化!?
こちらはダイハツ・トールのカスタム。価格帯はダイハツ・トール、トヨタ・ルーミー/タンクが同じで、146万3400円~200万8800円。スバル・ジャスティは「スマートアシスト」装着車のみになる関係もあって152万8200円~213万8400円となっている
ダイハツが設計、開発、生産まで担当しているトールは、トヨタがルーミーとタンクという車名で、スバルがジャスティというモデル名でOEMモデルとして発売されている。
発売から1カ月でトヨタ・ルーミー/タンク合わせて約3万5000台を受注したそうで、ダイハツ、スバルは受注台数を公表していないため分からないものの、4万台のラインを超えているかも。
大ヒットモデルとなったトヨタ・シエンタは、発売1カ月で4万9000台受注という驚きのスタートを切っているだけに、それと比べると少なく感じるが、これだけメーカー別のモデル数が多いことを考えると大健闘といえそうだ。
ダイハツ・トールは、スズキのソリオをターゲットに開発したのは明らかで、パッと見のフォルムは非常に似ている。ミニバン的なスタイルに両側スライドドアも同じ。細部のデザインやシートアレンジなどは異なっているが、かつてのホンダ・ストリームにトヨタがウイッシュという刺客を放ったような構図を思い出してしまうほどだ。
ダイハツ陣営はNAと新開発ターボを搭載
さて、ダイハツ・トールやトヨタ・ルーミー/タンク、スバル・ジャスティに積まれているのは1.0LのNAエンジンと、新開発となる1.0Lの直列3気筒ターボ。組み合わされるトランスミッションは全車CVT。
走り出すと、ダイハツ車らしい軽快感のある走りで、とくに98ps/140Nmのターボは、過給が始まると意外なほど力強い走りも披露してくれる。しかし、乗り心地も全般に「軽く」、リッターカーとしては少し重厚感が足らない気がする。上下方向を中心とした微振動が良好な路面でもやや伝わってくるなど、良くも悪くも軽自動車を運転しているようなフィーリングなのだ。
スズキ・ソリオのハイブリッドモデルが登場
一方、11月29日に発売されたスズキ・ソリオ/ソリオ・バンディット ハイブリッドは、32.0km/Lという燃費が自慢。ダイハツ陣営の24.6km/Lを大きく引き離している。
ソリオ・ハイブリッド(バンディット)は、1.2LのDOHCエンジンに、コンパクトな駆動用モーターを組み合わせ、トランスミッションはシングルクラッチのAGSが搭載されている。なお、スイッチによる強制的なEV走行には対応せず、状況に応じてモーター走行、エンジン走行、モーターとエンジンのハイブリッド走行をきめ細かく切り替えている。
CVTはスペースの都合で採用されなかったそうだが、ハイブリッドならではの走行フィールよりもまず、こちらも良くも悪くもAGSのシフトフィールが気になるところ。
モーターのアシストにより、シングルクラッチならではの変速の「間」が緩和されているが、それでも2から3速へのアップ時、あるいは減速時に変速を意識させられる。AGSとは知らずにCVTやATだと思って乗ると違和感を覚えるだろう。逆に、最初から2ペダルAMTのAGSと分かっていれば、シングルクラッチの割にはスムーズかも!? と思えるかもしれない。
両側スライドドアによる乗降性や後席の居住性などは、細部で後発のダイハツ陣営が「詰めている」ものの、2台同時に比較すると総論では「どんぐりの背比べ」というほど似通っている。後席でいえば、シングルフォールドダウン式のソリオの方が後席座面、背もたれの厚みを感じさせる。
トールなどのダイハツ陣営は後席を床下格納式として、よりフラットに低く後席を倒す手法を採用。それに合わせてリヤゲートの開口部も大きくて、低い位置から開くため、自転車などの積載にはダイハツ陣営の方が向いている。
ただし、後席を格納するには荷室側からは操作できず、後席横側に回ってストラップを引いてたたんだシートを格納する手間があり(戻す際もシート全体をフロアに引き起こす必要がある)、逆に言うと、シンプルに前倒しするだけのソリオの方が自転車などの大物を積む以外の日常ユースでは使いやすいかもしれない。
どちらを買うかは予算やニーズ、好みに応じてとしか言いようがないし、それぞれ長短を併せ持っているのは確か。イニシャルコストが高めになっても燃費重視ならソリオ・ハイブリッド。
大きな荷物を積むなどの用途があり、モデル数、グレード数、エンジン(NAとターボ)も多いことから多彩な仕様から選びたいのであれば、トールなどのダイハツ、トヨタ、スバル陣営ということになるだろう。