年金は10年かければもらえるように

10年で年金がもらえるように

10年で年金がもらえるように

年金をもらうために必要な年金をかけなければならない期間のことを「受給資格期間」といいます。

これまでの法律では、受給資格期間は原則として25年とされていました。生年月日によっては厚生年金と共済年金(平成27年10月1日に厚生年金と一元化)の合計の年数が20年から24年でもらうことができる特例や、男性40歳、女性35歳以降の厚生年金の年数が15年から19年で年金がもらえる特例はありましたが、これに該当しなければ、25年の原則を満たす必要がありました。

年金がもらえるかどうかのカウントには、いわゆるサラリーマンの妻である国民年金第3号被保険者期間や、一定の年金未加入や未納期間を算入できる合算対象期間も入りますので、厳密に25年以上自分でお金を払っていることまでは要求されないのですが、それでもかなり長期間年金をかけなければ、将来年金をもらえない制度だったのです。

25年という年数は、諸外国の例を見てもかなり長期間であったので、この短縮が議論された結果、平成24年の年金機能強化法成立により10年に短縮されることになっていました。ただし、これには条件があり、財源として消費税が10%になったとき、とされていました。ご承知のようにこれまで消費税10%は2回延期され、平成31年10月とされています。これに伴って受給資格期間の短縮も2回延期されてきましたが、今回これを消費税増税とは切り離して先行実施することが決まったということです。

年金が10年かければもらえるということで、通称「10年年金」と言われています。厚生労働省の資料によると、約64万人が該当し、新たに年金をもらえるようになるとのことです。

いつから年金は10年でもらえるようになるの?

改正法の実施時期は平成29年8月1日とされています。今回の改正により年金がもらえるようになる人はその翌月の9月分の年金からもらうことができるようになります。実際に手元に入ってくるのは早くて10月ということになります。これに備え、日本年金機構では該当者に対し平成29年2月以降順次通知を発送することになっています。通知が届いたら、最寄りの年金事務所またはねんきんダイヤルに問い合わせをし、手続きの準備をしておきましょう。

年金を10年までかけていない人にも影響があるかも?

今回の改正で「25年には足りなかったけれど10年以上年金をかけていた人」は年金をもらえるようになりますが、実は「10年まで年金をかけていない人」にも影響があるかもしれません。というのは、年金をかけた月数というのは実際に保険料を払った期間ばかりでなく、一定の未納・未加入期間もカウントに入れることができる場合があるからです。

これを「合算対象期間」といいます。また、記録が埋もれている可能性もあります。10年ないから該当しないと諦めるのではなく、念のため調査をおすすめします。もらえないと思っていた年金が多少なりとももらえるかもしれません。また、10年以上で該当した人もこの合算対象期間や埋もれていた記録で25年に該当する人もいるのではないかと思います。もし25年以上に該当すれば、最高5年まではさかのぼって受給できる可能性があります。

10年かけた年金はいくらもらえるのか

例えば国民年金を10年かけたとすると、年金額は78万100円×120÷480=19万5025円となります(平成28年度)。厚生年金であれば当時のお給料に応じてこれに上乗せがあります。

目安としては1年かけて年額約1万円~3万円ほどですから、上乗せ額は10年かけて10万円~30万円といったところ。合計で多くて年額50万円程度。生活に十分な額とはとても言えません。20歳から60歳までの40年間の積み立てが義務であることには変わらないので、「10年積んだからこれ以上は年金払わなくてOK」ではなく、これまで同様公的年金は可能な限り積み立てを行っておくのが必須といえます。その上で、余裕があれば今後加入が開始される個人型確定拠出年金(iDeco)や個人年金保険などを活用し老後の準備を整えておきたいものです。
年金額は目安です

年金額は目安です


注意!遺族年金はもらえないかも!

今回10年でもらえるようになる年金は、あくまで自分ひとりのものです。遺族年金がもらえる条件の一つに25年以上年金をかけていること、というものがあります(「長期要件」)が、ここは変更されません。これまで年金をもらっている人が亡くなった場合、亡くなった人に厚生年金期間があればその配偶者には通常遺族年金の権利が発生していましたが、25年未満の期間で年金をもらっている人が亡くなったとしてもその配偶者に遺族年金の権利はありません。ちなみに、寡婦年金の権利については同じように10年に短縮される予定です。

【関連記事】
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。