お金の悩みを解決!マネープランクリニック/教育費が準備できるか不安な子育て世代

42歳貯金450万。持病を抱え夫の自営業を手伝うが不安(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、夫が独立開業した40代の主婦の方です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 青色専従者ではなくパートで収入を得たい

まず、ご主人の会社の青色専従者であるべきかどうかについてですが、結論から言えば、専従者にはならない方がいいと思います。もちろん、相談者であるナチュラルさんの健康面で問題がなければという条件付きですが、看護師としてパートで働くことをおススメします。

理由は2つ。まず、夫婦の収入源が同じだということ。自営の仕事が順調なときはいいですが、まだ立ち上がったばかり。もし今後きびしい時期が来れば、世帯収入が大きく落ち込むことになります。とくに住宅ローンを抱え、教育資金も用意しなくてはいけない状況ですから、そういう事態は避けたい。ナチュラルさんが外で働ければ、そういったリスクをある程度抑えることができます。

もうひとつの理由は、ナチュラルさんの心の問題です。外で働く理由として「気分転換」とあります。長引く病気治療は不安やストレスを抱えるもの。狭い世界に閉じこもればなおさらです。ご自身もそれを感じているのではないでしょうか。

もちろん、外で働くことでの新たなストレスもあるでしょう。しかし、すでに看護師としての経験もあり、社会や多くの人と接すれば、それが気持ちの部分にもいい影響を与えるはずです。

青色専従者としたのは節税対策だと思いますが、データにあります「180万円の所得控除」も別の形で、同様の効果が得られます。たとえば、小規模企業共済の賭け金を満額の月額8万円に引き上げる。さらに、国民年金基金もその掛け金は所得控除の対象となりますから、合わせて加入すれば、青色専従者と同程度の節税となるわけです(同時に老後資金づくりにもなります)。

もし、経理や事務等の業務についてナチュラルさんを頼りにしているのであれば、それは看護師の仕事のない日に行い、その場合、専従者にこだわらず、アルバイトとして月3万~4万円受け取る形でもいいと思います。

また、節税とは異なりますが、ナチュラルさんが看護師として勤務すれば、職員の処方薬の全額助成制度を利用できるとのこと。結果的に家計支出が減るのですから、これも大きなメリットです。社会保険加入については、希望の勤務先を変える、あるいはもっと働けるまで体調が回復してから考えても遅くはないのではないでしょうか。
 

アドバイス2 5年間で教育費を貯めなくてはならない

次に、教育費を考えます。
お子さんを看護大学に進学させたいとのとこ。具体的な大学名はわかりませんが、4年生の看護学科や保健学科がある大学だとすれば、国公立で250万円、私立は高額の大学であれば750万円ほどが学費として発生します。国公立を目指すとしても、私立に進む場合を想定して、学費を目標に貯める必要があるでしょう。しかし、お子さんは13歳ですから、貯める時間は5年間しかないことになります。

もちろん高校卒業までに全額貯める必要はありません(授業料は入学から毎年発生するので)が、事前に用意できていれば安心です。目安としては、年間100万円×5年間で計500万円。現在の貯蓄が450万円ですから、貯蓄の総額は950万円となります。これで、手元に資金を200万円残すことができます。

そこで現在の貯蓄ペースですが、現在の収支が正しければ2万3000円、貯蓄できることになりますから、実際はこの程度は普通預金に貯まっているかもしれません。あるいは、毎月貯蓄ができていないのなら、これは何か使っていることになります。年間にすれば30万円近い金額です。明確にしておきましょう。

ボーナスについては、全額貯蓄する予定とのことですから、年間40万円。しかし、もし毎月貯蓄できていないのなら、先の貯蓄目標額には届きません。
そこで不可欠となるのが、家計の見直しです。
 

アドバイス3 自営業の家計を意識しよう

では、具体的に何を見直すか。ナチュラルさんも指摘されている保険。ここから手をつけていきましょう。まずご主人ですが、死亡保障は収入保障保険と任意の労災保険で十分。終身保険は払済保険にします。また医療保障は、病気等に手厚い業界の健保に加入されていますし、団信も疾病保障付き。したがって、医療保険とがん保険、2本入っている必要性は低い。どちらかを解約します。

次にナチュラルさんですが、死亡保障に関してはさほど必要ありません。終身保険を払済保険にして、収入保障保険は解約を。対して医療保障は、現状を考えると、悩まれているがん保険も含め、加入できているものはそのまま継続でいいのでは。あと、子ども保険はあえて必要性は感じません。結果、保険だけで2万3000円程度、支払いが減ります。

その他の生活費も、これを機会に見直してみるといいでしょう。目標としては、保険の見直し分も含めて毎月5万円、貯蓄ができること。具体的には、食費、雑費、家族の小遣いに手をつけることになりそうです。また、使途不明金があればそれを貯蓄に回します。

認識しておいてほしいことは、会社員や公務員のようにボーナスが支給される家計の場合、毎月何とか赤字を出さないようにやりくりできれば、ボーナスを貯蓄に回すことができます。しかし、ナチュラルさんのご主人のような個人事業主は、原則ボーナスはありません。毎月ギリギリの家計だと本当に貯蓄ができない恐れがあるのです。

したがってハードルは高いかもしれませんが、現状では月5万円の貯蓄と、専従者として受けとる予定のボーナスを全額貯蓄に回す。これで年間100万円の貯蓄が可能になります。

ナチュラルさんが看護師のパートを開始すれば、専従者としてのボーナスもなくなるはず。そうなると、月8~9万円の貯蓄ペースが必要です。しかし、その分、ご主人の収入が上がる(妻の収入としていたのを夫に加算)でしょうし、新たにパート収入も加わります。大事なことは、目標額を毎月確実に貯め、それに合わせて生活をやりくりしていくこと。あくまでナチュラルさんの健康が優先ですが、無理のない範囲で働き、かつ徐々に目標額に近づけるよう、しっかり家計管理をしていきましょう。
 

相談者「ナチュラル」さんから寄せられた感想

大変わかりやすく、また私の心のケアまでしていただいた返信にとても感謝しています。なんとなく思っていた事をプロの方に指摘していただいて、家計見直しの後押ししていただけました。やはり、大学資金は時期が決まっているので、頑張ろうと思います。また保険の見直しは、持病もあり不安でしたがアドバイスしていただいた事を参考に主人と話しあっていこうと思います。


教えてくれたのは…… 

深野 康彦さん
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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