火を含む漢字は、子どもの名前には使わないほうがいい?
火を含んでも名前に向く字はある
A: 火を含む字が子供の名前にいけないと言われることがありますが、まったく根拠のない話です。
名づけで大切なのはご自分が「どういう字が好きなのか」という正直な好み、本音です。火の入る字が良いとか悪いとかいう区別はありません。燈の字も遠慮なく名前に使ってかまいません。
火を含む字がいけないという迷信がある
昔からどういうわけか「火の入る漢字は名前によくない」と言われることがあります。もちろん何の根拠もない話で、漢字にあまり詳しくない人達が言っているようです。火を含む漢字の中で「勲」「薫」「秋」「照」などは昔から名前に多く使われてきました。最近特に人気なのは「煌」の字です。シルクロードに敦煌という地名があり、小説にも映画にもなり、ロマンを感じさせる字です。
また、現在の楷書では火という字を含んでいなくても、旧字・古字に戻すと火を含んでいる字があります。遼、栄、蛍、舜、瞬、勤、菫(すみれ)などの字です。これらも昔から名前によく使われてきました。
そもそも光という字がもとの象形文字では火を含んでいるのです。そうなると光、輝、晃、洸、滉など名前に多く使われる字もすべて火に関係する字だということになります。
燈と灯は同じ漢字では無い……意味の違い
ついでに説明をすると『「灯」と「燈」は書き方が違うだけで同じ字だ』と説明している辞典もありますが、この2つの字はもともと成り立ちも意味も違います。灯の右側の「丁」はクギを描いた象形文字で、ぶつかることをあらわし、釘(くぎ)、町(田んぼを歩いてぶつかる所)、汀(波打ちぎわ)、寧(建物に入って食事をする)、などの字に含まれます。つまり灯は固定された照明のことです。
これに対して燈の右側の「登」は高くのぼることですから、高い所から照らす明かりのことです。
高い所に固定された照明であればどちらの字を使っても良いことになるわけですが、実は懐中電灯というのは持ち歩くものですから、どちらの字でも合わなくなります。つまりこれはおかしな熟語の作り方ともいえるのです。
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