ローンで家を買うには悪くないタイミング。でも資産価値の低下が怖い
タワーマンションや高級物件だけでなく、郊外のマンションも売れ残りが増えてきており、マンション市場に調整の兆しが見られます。しかし現在は史上最低金利ということもあり、ローンを組んで家を買うには悪くないタイミング。でも資産価値の低下が怖い……。そういう場面において、資産価値の下がりにくい家を買う一つの視点をご紹介します。
不動産購入とはそれ単体で価値を持つわけではなく、周辺の環境も一緒に買う行為です。どんなに高品質な物件でも、周辺の治安など環境が悪ければ、価値は下がります。反対に、物件そのものは普通でも、「オシャレな街」にあれば、資産価値は保たれます。
そこで、自分が買おうとしているその街は、将来も発展していくのか、成熟して衰えにくいのか、それとも衰退していくのか、を想定しておくことが重要です。
こうした想定があれば、「将来、売るか貸すかするだろう」「将来は二束三文になってもいいや」という将来設計が固まり、判断軸が明確になります。そして「こんなはずじゃなかった」という事態を避けることができます。
発展する街なら、誰もが注目して移り住んできますから、住宅需要は増えます。そんな人たちを相手に商売をしようと、企業や商店が進出し、ますます利便性が高まります。自分は何もしなくても、自宅の価格は上昇していくのです。
衰退する街では、人は出て行き、商店は閉店・撤退し、空き室のマンションやビルが増える。すると街は不便になり、ますます人通りが少なくなり、さらに人気が衰えます。こうした街にどんな高品質な物件を買ったとしても、地名や駅名を聞いた途端に敬遠されるようになります。
そこで、今よりも衰退しない、あるいは衰退するにしても非常に緩やかで、自分が生きている間くらいは有望だろう、という街を選べば、資産価値は保たれやすいといえます。
見分けるコツは「街の未来を想像してみる」こと
もちろん、街は生きており、将来を見極めるのは非常に難しいこと。たとえば湾岸エリアで人気のあった東京・豊洲も、築地市場移転問題がニュースとなったために、ブランドイメージの低下が懸念されます。かといって、港区や渋谷区といった人気の超一等地や高級住宅地は、値段が高くてなかなか手が出せない。そこでひとつの見分け方としては、「評判がある程度固まっている街を選ぶ」ことです。
新橋といえばサラリーマンの街、早稲田といえば学生の街、というふうに、多くの人がその街について何らかのイメージを持っています。たとえば「安全」「閑静」といった評判が固まった街なら、将来もそう大きくブレることはないだろう、という予測ができます。つまり、価格は上がらないかもしれませんが、価格は下がりにくく、維持されます。
反対に、新興住宅地など街の歴史が浅い場所では、そのイメージが形成されていないか形成途上ですから、どうなるかはわかりません。また、都心から離れれば離れるほど、そもそものイメージや評判すらない場合が多く、そういう街も未来は流動的です。
不動産選びは街選び――。こうした視点で、物件だけでなく自分が買おうと思っている街の未来を想像してみることが資産価値の下がらない家を買うには非常に大切なのです。