事故のときは必ず保険会社が相手と示談交渉をしてくれる?
もらい事故では、保険会社は示談代行ができません
保険会社が示談代行できない「もらい事故」は、顧客側にまったく落ち度のない、言い換えれば過失割合が自分0:相手100の事故で、以下のような例があります。
- 駐車場に適切に駐車していたが、相手がぶつかってきた。
- 赤信号で停車中に、相手が後ろから追突してきた。
- 直進道路で対向車がセンターラインを大きく越えてきたために衝突した。
「もらい事故」の被害者になった場合は賠償責任が生じないため、契約している保険会社は損害賠償金を支払う必要がないということになります。一般的にこのようなケースで、保険会社が顧客に代わり加害者側との示談交渉を行うと、弁護士法(第72条 非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)に抵触するという問題が生じます。つまり、顧客が「もらい事故」の被害者になった場合は、保険会社が示談代行をしたくてもできない状況なのです。
つまり、「もらい事故」では、相手との示談交渉は自分自身で行う必要があります。もちろん、保険会社に相談すれば親身に対応してくれるでしょう。しかし、自分が直接交渉することが不安であれば、弁護士に委任することもできます。このような場合の弁護士費用への備えとして、自動車保険では弁護士費用特約というオプションを付帯することができます。
弁護士費用特約は、自動車事故などの被害を相手に損害賠償請求するときに生じる弁護士費用や、弁護士などに法律相談をするときの費用などを補償してくれます。補償額としては、以下の額を限度とする保険会社が多いようです。
- 弁護士に相手との交渉を委任する場合の弁護士費用:300万円
(事故1件につき、補償を受ける人1名あたり) - 弁護士などへの法律相談費用:10万円
(事故1件につき、補償を受ける人1名あたり)
この特約で保険金の支払いを受けるには、保険会社の事前同意が必要としているところが多いため、あらかじめ保険会社へ確認してから弁護士などに依頼することは頭に入れておきましょう。
弁護士費用特約についての詳細は、以下の記事が参考になります。
事故対応について3つの勘違いポイントを挙げましたが、これらのポイントをすべて正しく理解できている人は少ないのではないでしょうか。例えば弁護士費用特約のように、対応できないケースへの備えとして機能する特約もあります。補償内容やサービスについてしっかり理解していないと、特約やサービスなどを選ぶ判断を自分にとって適切に行えない可能性があることを頭に入れておきたいものですね。
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